何者(なにもの)
監督:三浦大輔(みうら だいすけ)
脚本:三浦大輔
出演:佐藤健(さとう たける)
公開日:2016/10
ジャンル:ヒューマン
「何者」は就職活動を契機に集合した5人の男女が自身のアイデンティティや社会との繋がり方を見つめなおすヒューマン映画です。
監督・脚本は北海道出身、「裏切りの街」、「愛の渦」の三浦大輔さんです。
学生時代に演劇部に所属し、観察能力に長けた就活男性役を、埼玉県出身、「億男」や「ひとよ」に出演されている佐藤健さんが演じています。
他に有村架純さん、菅田将暉さん、二階堂ふみ さん、岡田将生さんといった方々が出演されています。
朝井リョウさんの同名タイトルの小説が原作です。
あらすじ
エントリーシート、合同企業説明会、就職試験__
就活生の拓人(たくと/佐藤健)はライブハウスに来ています。その日は、ルームシェアをしている友人の光太郎(こうたろう/菅田将暉)のラストライブです。光太郎はこのライブを最後に引退し、就職活動に専念するつもりです。
階上からステージを見下ろす拓人には、気になることがありました。それは密かに想いを寄せていた瑞月(みずき/有村架純)が留学から帰ってくるという報告をSNS上で確認していたためです。
そのSNSを拓人が改めて見ていると声をかけられます。声がしたほうにはスーツ姿の瑞月がいました。瑞月は光太郎が歌がうまくなったと感傷に浸っています。そして、拓人の舞台もまた観たかったと瑞月は言います。
拓人は演劇部に所属していました。脚本の制作が得意で、「プラネット」という劇団名で仲間の烏丸ギンジと一緒に舞台に熱中していました。院に進学している部の先輩(山田孝之)とはアルバイト先も同じで今も親交があります。
ある日、拓人が帰宅すると、バンドマンから就活生へと変貌した光太郎の姿がありました。2人はこれから就活を頑張ろうと気合を入れなおしていると、瑞月がやってきます。
偶然にも拓人たちの部屋の上の階の住人が、瑞月の留学時代の友人でした。そこで、拓人、光太郎、瑞月に加えて、瑞月の友人の理香(りか/二階堂ふみ)、理香の彼氏で同棲相手である隆良(たかよし/岡田将生)の5人で就活戦線を乗り切ろうと意気投合し、理香の部屋を「就活対策本部」として集まるようになります__
感想
多くの人が直面する就職活動という人生の岐路に立たされる登場人物たちが織り成す物語です。SNSといったその時代を象徴するツールも作中で何度も登場します。
三浦監督と朝井リョウさんのコンビは相性がいいのかもしれないと感じました。中途半端な諦念や些細な承認欲求、微妙な距離感の人との取り繕っただけの会話、当人がいないところでの会話、それらの描き方が居心地が悪くなる空間、いたたまれなく雰囲気を作り出しています。
決して主人公自身に確固たる目的、到達点があるわけではありません。そのため、物語の結末に不満を覚えてしまう人もいると思いますが、個人的にはこのオープニング前から始まっていて、エンディン後までも続いていくであろう登場人物たちの人生の1コマを切り取った描き方が好きです。
佐藤健さんの卑屈な感じはよかったのですが、いかんせん男前のため、もっと冴えない雰囲気があったほうがしっくりくるなとは思いました。
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