映画 ~ ひとよ ~




ひとよ
監督:白石和彌(しらいし かずや)
脚本:高橋泉(たかはし いずみ)
出演:佐藤健(さとう たける)、鈴木亮平(すずき りょうへい)、松岡茉優(まつおか まゆ)
公開日:2019/11
ジャンル:ヒューマン






「ひとよ」は最愛の子供たちのために父を殺めた母、15年後、残された3人の子供たちと出所してきた母親の再会を描いた家族の物語です。

監督は北海道出身、「凶悪」、「彼女がその名を知らない鳥たち」の白石和彌さんです。

脚本は埼玉県出身、「凶悪」や「ソラニン」の高橋泉さんです。

フリーライターの次男役を佐藤健さん、妻子を持つ長男役を鈴木亮平さん、長女役を松岡茉優さんが演じている他、田中裕子さんや佐々木蔵之介さんが出演されています。

桑原裕子さんが手掛けた同名タイトルの舞台作品が原作となっています。



あらすじ

2004年5月23日、日曜日、土砂降りの雨の音が響く夜、飲まなきゃやってらんえよと聞こえてくる怒声、稲村交通というタクシー会社があります。

パソコンの本を読みながらねじを回している長男の大樹(だいき)、赤いランドセルを傍らに人形の髪をカットしている妹の園子、次男の雄二は記者の真似事のようにその様子を記録しています。

3人に共通しているのは、顔や腕に怪我を負っていることです。3人の父親は度を越えて暴力を振るう人間でした。その夜は母親が父親を迎えにっているため、事務所を兼務する家に3人だけで過ごしていました。

ただいまと、母親が帰ってきます。母親は事前に準備していた簡単な食事、おにぎりと卵焼きとウィンナーを配って回ります。

一息ついた母親は、お母さん話がある、と3兄弟の注意を集めます。そして続いた言葉、お母さん さっき お父さんを殺しました、との言葉、車ではねて あんたたちを傷つけるお父さんだったから お母さんは警察に行きます 15年経ったら必ず戻ってきますから、と淡々と放ち、そしてお母さんは出て行きます__


15年のときが経ち、3兄弟はそれぞれ成長していました。 長男の大樹(鈴木亮平)は地元の会社で専務として働いています。妻と子供もいます。次男の雄二(佐藤健)は地元を離れ、フリーライターをしています。妹の園子(松岡茉優)は美容学校を中退し、地元のスナックで働いています。

稲村交通は3兄弟の伯父の息子(音尾琢真)が引継ぎ、稲丸タクシーの社名で営業しています。最近、新しい社員として堂下(佐々木蔵之介)さんを迎え入れました。

母親が父親を殺してちょうど15年、家にいた大樹と園子のもとに、母親のこはる(田中裕子)が帰ってきます__



感想

DVに苦しむ家族を守るために父親を殺めた母親と、残された子供たち、その15年後の家族の様子を描いた作品です。

全体的に重い内容です。0か1かの2極論では語ることのできない微妙な家族間の葛藤や繋がりを描いた様子がよかったです。また、時折ある笑える場面にも救われます。やっぱり家族なんだなと。

主人公以外の家族の問題も描いている点が良くも悪くも感じました。多様性が見られる一方で、ドラマが渋滞してしまって、少し使い捨て感、押し売り感を感じてしまいました。

いろいろな登場人物の視点から物事を考えられるほど、印象的な登場人物が多かったと思います。しかし、結果として主人公の家族のために存在させられてしまった不便な人たちという印象を受けた登場人物も多かったのが心残りです。



またやっちゃうとこだった



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