映画 ~ 愛の渦 ~




愛の渦(あいのうず)
配給:クロックワークス
監督:三浦大輔(みうら だいすけ)
脚本:三浦大輔
出演:池松壮亮、門脇麦
公開日:2014/3
ジャンル:ヒューマン






「愛の渦」は乱交目的に秘密のクラブに集まった見知らぬ男女各4人の計8人が、マンションの一室という閉鎖的な空間内で、互いの欲望や葛藤を織り成すエロシチュエーションを取り扱った映画です。

監督・脚本は「何者」や「娼年」、そして映画だけでなく舞台作家としても著名な北海道出身の三浦大輔さんです。

主演は映画「ラストサムライ」や「DIVE!!」、テレビドラマ「銀と金」等の池松壮亮さん、映画「シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸」や「オオカミ少女と黒王子」、テレビドラマ「まれ」や「トドメの接吻」等の門脇麦さんです。

他にも滝藤賢一さん、中村映里子さん、新井浩文さんといった俳優陣が出演されています。



あらすじ


「いらっしゃいませ」と応答する機械の音声、ATMを操作している若い男(ニート/池松壮亮)、口座の残高は20,357円、それを全額引き出す男、右手は股間のほうにあります。

午後11時、六本木の駅周辺で「駅着きましたけど」と誰かに電話しているニート、電話の指示でどこかに移動しています。到着した場所はマンションで、向かう先は301号室のようです。

マンションのエレベーターに男が乗り込むと、後から別の男(サラリーマン/滝藤賢一)が乗り込んで来ます。サラリーマンは3階の行き先ボタンを押しました。

気まずくなったか、4階への行き先ボタンを押すニート、結局、階段を使って3階に降りて、目的地である301号室の部屋のインターホンを押します。



部屋から男(店員/窪塚洋介)が出迎えてきます。

(場面が切り替わっていて、)インターホンを押したのは若い女(女子大生/門脇麦)でした。

部屋の一室、ヤクザのような風貌の男(店長/田中哲司)がタバコをふかしながら「何か質問があったらどうぞ」と若い女に尋ねます。

女は「実際はどういう感じになるんですか」と逆に尋ねます。

風俗の面接のような雰囲気の中、男が、ここはSEXをしたくてしたくてしょうがない人が集まるサークルであるということ、ここのホームページは、“乱交パーティ”という語句で検索したときだけヒットするということ、そして、「怖いならやめたほうがいいかもしれないですね」と答えます。

「参加します」と大学生の女は意を決したように答えます。


場面が戻って、最初のニートの男が店員に金を渡しています。

午後11時半、「どうぞ」と店員に案内されたのはホームバーも備えたおしゃれな部屋、そこには数人の男女が、先ほどエレベーターでニートと一緒になったサラリーマンもいました。

シャワーを浴びて部屋に戻るニート、部屋には男女が各4人と店長と店員、そこは0時から朝の5時まで初対面の人間同士で密かに行われる乱交パーティの場でした__



感想


乱交パーティを話の中心に据えたという点で珍しい作品、初対面の男女がSEXをするという目的の中で駆け引きや欲望が渦巻く様子を描いています。

8割ほどがマンションの一室という場所、服を身につけていない状態というある種のエロティックなワンシチュエーション作品となっています。

探り探りの会話があったり、自身が取り残されないように立ち振る舞ったり、時には相手を傷つけたり、観賞していて、その状況に容易に共感したり、辟易したりしてしまう会話や雰囲気の作り方がとても印象的です。


尺の都合かテーマの都合か、ニートと女子大生が交わした“本当の自分”という話題に関してはもう少し描写が欲しかったというのが個人的な印象です。

マンションの薄暗い部屋でのやり取りと、朝の眩しすぎる光が差し込む喫茶店でのやり取りの対比、服を着ていない裸での特別な状況でのやり取りと、服を着た普段と同じやり取りの対比、せっかくの対比の印象が全体としては薄くなっているように感じました。


また、店員の赤ちゃんが生まれたというシーンも少し消化不良です。

女子大生にも、いい加減に見えた店員にも帰る場所があり、ニートにだけ帰る場所がないということを印象付けるためであれば、他の登場人物であるフリーターの存在が微妙に感じてしまいますし、ましてや結婚しているのに乱交の場に来るサラリーマンの存在もいらない気がしてしまいます。


作中でBGMとして何回か流れていたドイツ語の劇中歌ですが、タイトルは「Wirbel der Liebe」という“愛の渦”をドイツ語にしたものであり、作詞が監督の三浦大輔さんで、歌はテノール歌手として活動のある水野亜歴さんという日本人コンビだったのも少し驚きでした。





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