億男(おくおとこ)
配給:東宝
監督:大友啓史(おおとも けいし)
脚本:大友啓史、渡部辰城(わたべ よしき)
出演:佐藤健(さとう たける)、高橋一生(たかはし いっせい)
公開日:2018/10
ジャンル:ヒューマン
「億男」は金と人間の関係をテーマとした作品です。借金持ちで妻子と別居していた男性が宝くじをあて、事業で成功した親友にそのお金の使い方を相談したところ、親友とお金がまとめて目の前から消える事件が発生したことから生じる物語です。
監督は岩手県出身で、NHKでディレクターとして勤務、土曜ドラマ「ハゲタカ」といった様々な作品に携わった経験を持ち、退職後は映画「るろうに剣心」シリーズ等を手がけている大友啓史さんです。
脚本はPS2の「ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁」や、ソーシャルゲーム「忍者ロワイヤル」等に携わった渡部辰城さんです。
借金を抱え、妻子と離れて昼夜働いている男性役を、埼玉県出身で「亜人」や「るろうに剣心」シリーズ等、数多くのドラマや映画に出演されている佐藤健さんが演じています。
事業に成功した主人公の親友役を、東京都出身でアニメ映画「耳をすませば」の声優や、テレビドラマ「カルテット」等、こちらも数多くの作品に出演されている高橋一生さんが演じています。
他にも、黒木華さん、池田エライザさん、北村一輝さん、藤原竜也さん、沢尻エリカさんといった方が出演されています。
原作は映画「電車男」や「君の名は。」等、数多くの作品の企画を担当されている川村元気さんの同名小説です。
また、本作品は落語指導に立川志らく さん、主題歌の「話がしたいよ」をBUMP OF CHICKENさんが担当されているといった点も注目です。
あらすじ
パーティ会場の一室、部屋の中央にはステージがありポールダンサーが踊っています。部屋の隅には寿司バーもあります。
主催の一人、眼鏡をかけた男性、一男(かずお/佐藤健)が会場内を散策しています。パーティ会場にいた女性が突然、一男のスマホを奪い取り、一男の指をとって指紋認証を解除し、勝手に自分の名前を登録してしまいます。
彼女はあきら(池田エライザ)と名乗ります。未読だろうが既読だろうがスルーしたら殺すと言い残して一男の前から消えます。
呆然とする一男、すると一人の男性が近づいてきます。その男性の名前は九十九(つくも/高橋一生)、今回のパーティの主役の一人です。
二人は東京タワーを遠くに眺めながら談笑し、パーティに戻ると二人でステージの中心に立ちます。九十九がダンサーのハイヒールを奪い、そこにシャンパンをそそぎます。
“二つで一つだ。靴も僕たちも”と二人でそれを飲み干し、“ようこそ一男くん”と九十九から手渡された札束を、二人でばら撒きます。
一男は飲みすぎ、酔いつぶれます。周囲の喧騒の中、九十九はパーティから離れ、階上にある一室に入っていきます。そこには大量の札束があり、彼は用意した鞄にそれを放り込んでいきます。
翌朝、一人で床に突っ伏していた一男が目を覚まします。周囲には乾いた一万円札と、空き瓶が散乱していました。上の部屋に移動する一男、そこで酔いと眠気が一瞬で覚めます。金庫が開けられ、中にあったお金が消えていました__
2週間前、一男は昼に図書館司書として、深夜にパン工場として働きづめの生活を送っていました。月の稼ぎは37万円、そのうちの15万円を借金の返済に充てています。
借金の総額は3千万円にのぼります。利子も含めると返済の見込みは30年以上先です。借金の理由は兄の保証人となったことが原因です。一男には妻子がいますが、現在は別居しています。もうお金のことで失敗したくないという想いが一男にあります。
翌日、一男は妻の万左子(黒木華)と娘のまどか(菅野真比奈)に会いに行きます。駅ビルに遊びに行った三人、一男はまどかと一緒にそこで開催されていた福引を引き、景品として宝くじ券をもらいます。
当選発表日、一男が当選番号を確認すると、1等の3億円があたっていました。
一日にして億万長者となった一男、お金の使い方に不安を覚えた彼は、事業で成功して資産が百億円以上と噂されている大学生時代の親友である九十九に相談することになります。
十一年と三ヶ月ぶりに再会した二人、九十九が会社の節税対策として住んでいる豪勢なマンションでお金に関する話をしていたさい、九十九から1度、思い切って百万円ほど使ってみることを提案されます。結果、一男はパーティを開催して、そして、いつの間にか目の前からお金と親友が消えることになりました。
消えた3億円と親友を捜し求める一男は、パーティで知り合ったあきらに連絡をとり、カフェで待ち合わせをすることになります。あきらは九十九のことはよく知らないが、九十九が成功した事業のフリマアプリ「バイカム」でエンジニアを担当していた百瀬さん(北村一輝)となら連絡がとれるということで、二人は百瀬のもとを訪ねます__
感想
「お金とは何か」、小栗旬さんが出演している「三井住友カード」のCMがまず印象にあがりますが、この作品もそのテーマをシンプルに描いた作品です。
借金もちの主人公が3億円を現金で持ち歩いたり、親友が謎のタイミングで現れたり、胡散臭すぎる登場人物が鼻についたり、リアリティを求めては駄目ですが、その分、話がシンプルになっていて観賞しやすい作品です。
特に北村一輝さんと藤原竜也さんが演じる役のインパクトは強烈です。このお二方だからこそクセのある人物も作品の魅力として受け入れられると思います。
登場人物の名前に数字を用い、細かいところでこだわっている点は好印象です。ただし、お金をテーマにしていますが、金銭が絡むコンゲームとは一線を画する作品であり、あくまでシンプルに軽い気持ちで楽しめる作品としているため、リアリティや金融や経済の専門的な領域を期待して観賞したら期待外れで終わってしまうと思います。
このお金 今の君にはどう見える
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