少女邂逅(しょうじょかいこう)
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
監督:枝優花(えだ ゆうか)
脚本:枝優花
出演:保紫萌香(穂志もえか/ほし もえか)、モトーラ世理奈(もとーら せりな)
公開日:2018/6
ジャンル:青春
「少女邂逅」は、いじめによる緘黙症(かんもくしょう)の女子高生と、転校生の少女の脆くて儚げな青春映画です。
監督・脚本は群馬県出身、「さよならスピカ」、「恋愛乾燥剤(21世紀の女の子)」の枝優花さんです。
周囲からいじめられている口数が少ない女子高生役を、千葉県出身、「愛がなんだ」やドラマ「100万円の女たち」に出演されている保紫萌香さんが演じています。
転校生の女子高生役を、東京都出身、「ブラック校則」や「out of fashion(21世紀の女の子)」に出演されているモトーラ世理奈さんが演じています。
他にも、松浦祐也さん、松澤匠さん、土山茜さんといった方々が出演されています。
あらすじ
夕焼けが差し込む電車の車内、群馬県のとある地域__
人目のつかない山林に女子高生が4人います。1人は地べたに横たわり、他の3人が取り囲み嘲笑しています。
小原ミユリ(おばら みゆり/保紫萌香)は受験を控えた女子高生です。いじめにより言葉を発することができず、頼れる友人もいません。
3人が去った後、ミユリは思いつめてカッターを構えて自傷行為を試みますが、踏ん切りがつきません。すると、左手に虫が這ってきました。蚕の幼虫です。
ミユリはそれを家に持ち帰ります。ミユリの両親は仲が悪く、彼女と母親の2人で食事をとっています。母親は地元の公立大学に進学して欲しいとミユリに希望しています。
ミユリは部屋に戻ると、ツムギと名づけた蚕に食事を与えます。彼女はその蚕を宝物のようにしています。
後日の生物の授業中、教師の篠崎(松澤匠)が蚕の説明をしています。蚕は家畜化された昆虫とも称される、人間に頼らなければ生命を維持できない存在です。
放課後、ミユリはいつものようにいじめっ子に山林に連れて行かれます。ちょっかいを受ける中、うっかり蚕の箱を見つけられ、奪われてしまいます。
いじめの主犯格の生徒は蚕を取り出し、広い世界を見せてあげる、とそれを放り投げてしまいます。そして彼女はミユリに対して、もういないよ、あんたの友達はどこにも、と告げて去っていきます。
取り巻きのいじめっ子2人がミユリのスカートを巾着縛りし、ミユリは身動きが取れなくなってしまいます。もがくミユリ、そのとき、誰かが近づいてきます。
解放されたミユリの目の前には白いワンピース姿の女の子がいました。君、大丈夫?とミユリは問いかけられます。
ミユリは足やスカート、下着に着いた土の汚れを払います。すると、目の前にいた女の子は、あげる、と言って、パンツを脱いでミユリに渡して去っていきました。
翌日、ミユリのクラスに東京からの転校生がやってきます。それは昨日、ミユリを助けてくれた女の子でした。富田紬(とみた つむぎ/モトーラ世理奈)と彼女は担任から紹介を受けます。
東京から来た紬はすぐにクラスの人気者になります。ミユリは遠くからその様子を眺めています。紬のことが気になります__
感想
少女が主人公の青春譚です。暖かく輝かしい青春作品の面もある一方で、「害虫」や「かしこい狗は、吠えずに笑う」のような、どこか儚げで危うい雰囲気も漂う作品です。学校という舞台が他の青春映画以上にうまく活用されていると思った点が個人的によかったです。保健体育の授業で思春期のメンタルに関する説明をして、現代文の授業でカフカの「変身」を扱っていて、生物の授業で蚕の特性を説明し、それらが物語とリンクしています。
主人公が生物教師とのやり取りで、蚕のパーソナルスペースを広くしようとするシーンがあります。それが観賞後の深い余韻を残す大きな要因となっていると感じました。
ただし、あまりにも儚すぎるため、合わない人もそれなりにいるのかなと思います。
人が一生のうち
何らかの接点を持つ人と
出会う確率
24万分の1
そのうち
友人と出会える確率
2億4千万分の1
そして、
親友とである確率は
24億分の1らしい
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