映画 ~ かしこい狗は、吠えずに笑う ~




かしこい狗は、吠えずに笑う(かしこいいぬはほえずにわらう)
配給: ※自主制作映画
監督:渡部亮平(わたなべ りょうへい)
脚本:渡部亮平(わたなべ りょうへい)
出演:mimpi*β(みんぴ)、岡村いずみ
公開日:2013/06
ジャンル:青春





「かしこい狗は、吠えずに笑う」は周囲から孤立した二人の女子高生の清爽な友情と、憂惧すべき友情、そして彼女達が関わる事件を描いた青春映画であり、ガールズサスペンス映画です。

監督は愛媛県東温市出身の渡部亮平さんです。
自作脚本として、また自主制作としてこの作品が初監督作品となっています。
他にもテレビドラマの「時をかける少女」や「今からあなたを脅迫します」の脚本、また映画では「3月のライオン」の脚本も担当されています。

制作費は150万程度という話もありますが、「ぴあフィルムフェスティバルエンタメ賞」「映画ファン賞」等の様々な賞を受賞されたり、『SHADY』のタイトルで海外でも上映された実績もあったり、多くの人からその内容を賞賛されています。



あらすじ

授業は学級崩壊、行方不明のクラスメイトもいる女子高に通う主人公の熊田美沙(mimpi*β)は、苗字とおっとしたしゃべり方や動作からか「プー」と周囲から呼ばれ馬鹿にされ、からかいの対象となっています。

生物部に所属していますが、部員は一人で、部室で金魚の「キンタロウ」や家でインコの「チュンタ」の世話をすることで孤独な学校生活を耐え忍んでいます。

そんな美沙が図書室で勉強していると、突然、クラスメイトである清瀬イズミ(岡村いずみ)が話しかけてきます。

自分に自信がなく、ブルドッグのような不貞腐れた表情が多く周囲から蔑まれていた美沙と、明るくチワワのように可愛いらしいが、周囲の嫉妬でからまれていたイズミ、理由こそ異なりますが、共に孤独な学校生活を送っていた二人は急速に仲を深めていくことになります。

美沙は自分のことを大切にしてくれるイズミに対して心を開いていくのですが、時折見せるイズミの異常な執着行動に違和感を感じ、また、ある出来事をきっかけにイズミの狂気に巻き込まれていくことになります。


犬は鎖に 金魚は水槽に 鳥は籠に
でもわからないんですよね 人は



感想


二人の女性の友情なら岩井俊二監督の「花とアリス」、未成年が抱える問題なら同じく岩井俊二監督の「リリイ・シュシュのすべて」、女子学生のアンファン・テリブルなら塩田明彦監督の「害虫」、この映画は低予算、初監督作品らしいですが、先に挙げた青春映画に劣らず、とてもおもしろかったです。

友情がテーマにありますが、のほほんと平和なやりとりを見せるシーンもあれば、お互いの価値観にどこか違いがあるシーンをあったり、そして、嫉妬や独占欲から異常な行為に走るシーンもあったり、限られた時間の中でテンポよく話が展開されていきます。

岡村いずみさんが演じるイズミは150cm程の小柄な身長と柔らかな雰囲気がいい意味で狂気なシーンを引き立てていたと思います。というか、ヤンデレでもかわいいです。

さすがにお弁当のシーンだけはかなりドン引きしましたが……
(私的にここまで引いたのはファニーゲームUSA以来かもしれません。まああっちは中盤から終盤まで引きずるタイプで、こっちは瞬間最大風速の違いがありましたが)

お弁当やエビを食べているシーンなど印象的な場面が多く、またミステリーではないのですが、細かく見ることで気づく場面もたくさんあります(新聞記事の詳細 等、初見では気づきませんでしたが)。

人によって様々な解釈ができるラストも鑑賞後に楽しめます。


予算とか初監督とか関係なく、満足できる映画でした。

レンタルはTSUTAYA限定ということで、注意が必要です。





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