映画 ~ 乱 ~




乱(らん)
監督:黒澤明(くろさわ あきら)
脚本:黒澤明、小国英雄(おぐに ひでお)、井手雅人(いで まさと)
出演:仲代達矢(なかだい たつや)
公開日:1985/6
ジャンル:ヒューマン






「乱」は家督を譲ることにした高齢の武将と3人の息子を巡る、確執や策略を描いた戦国ヒューマン映画です。

監督は東京都出身、「羅生門」、「七人の侍」の黒澤明さんです。

脚本は黒澤明さん、小国英雄さん、井手雅人さんの共同脚本です。

3人の息子に後を任せようとする領主役を東京都出身で無名塾主宰、「海辺のリア」や「切腹」に出演されている仲代達矢さんが演じています。

他に寺尾聰さん、根津甚八さん、隆大介さん、ピーターさん、原田美枝子さんといった方々が出演されています。

本作品は1986年のアカデミー賞で衣裳デザイン賞を獲得しています。



あらすじ


戦国時代を生き抜いてきた武将、一文字秀虎(仲代達矢)は3人の息子と、隣国の2人の領主、そして、多数の家来を引き連れて巻狩りを楽しみます。

巻狩り後には皆で食事を囲みます。狂阿弥(ピーター)が場を盛り上げますが、客人の領主の1人、藤巻(植木等)が端を発した一言から場に緊張が走ります。長男の太郎孝虎(寺尾聰)には妻の楓の方(原田美枝子)がいて、次男の次郎正虎(根津甚八)には妻の末の方(宮崎美子)がいますが、三男の三郎直虎(隆大介)には妻がいないため、自身の娘との縁組を藤巻が求めたところ、もう1人の客人である綾部(田崎潤)のほうからも同様にせがまれます。

秀虎は巻狩りに疲れたのか、疲れたふりなのか、その場で寝入ってしまいます。時間を経て秀虎が目を覚ますと、嫌な夢を見たと言います。枯野で周囲には誰もおらず、自身が孤独になってしまっている夢でした。

この夢をいい契機だと考え、秀虎は以前から考えていたことを実行に移すとその場にいた人たちに宣言します。それは嫡男の太郎に家督を譲り、3人の兄弟にそれぞれ城を与えるという唐突な宣言でした。この国を若者どもの力に委ねたい、束ねた3本の矢のように協力して一文字家を守っていって欲しいということでした。

しかし、ひねくれ者の三郎は束ねた矢を無理やり圧し折り、秀虎を耄碌したと罵倒します。父の志や願いを踏みにじるような三郎の振舞いに対し、秀虎は激怒し、一転、三郎と親子の縁を切ると言い放ちます。

重臣である平山丹後(油井昌由樹)は、それだけはやめるよう必至で進言しますが、秀虎には聞き入れられません。結局、三郎と平山はその場で国から追放されてしまうことになります__



感想


「リア王」の戦国武将版です。

望遠の多用、怒涛の落馬など、あまり目にすることがなかったシーンが多く印象に残っています。世の性や社会の不条理の描き方もよかったです。2時間半を超える作品ですが、楽しく観賞できました。

個人的には平民の街並み、市井の生活の描写が違和感を覚えるレベルでなかったため、一文字家の偉大さがわかりにくかった点、重要人物の隙が多すぎる点が気になりました。

「海辺のリア」も似たような部分がある一方で、違いを楽しむということができます。

身一つで生きて行けるのは
鳥や獣だけだ





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