映画 ~ 切腹 ~




切腹(せっぷく)
配給:松竹
監督:小林正樹(こばやし まさき)
脚本:橋本忍(はしもと しのぶ)
出演:仲代達矢(なかだい たつや)、三國連太郎(みくに れんたろう)
公開日:1962/9
ジャンル:時代劇





「切腹」は江戸時代前期の泰平の期、武士らしく潔く切腹したいため、屋敷の庭先を貸して欲しいと貧窮した浪人が井伊家の上屋敷に現れたことから生じる時代劇映画です。

監督は北海道出身の小林正樹さんです。他の監督作品に「人間の條件」、「食卓のない家」があります。

脚本は兵庫県出身の橋本忍さんです。他の脚本作品に「八つ墓村」、「砂の器(※山田洋次 さんと共同)」があります。

主人公の浪人役を東京都出身で無名塾主宰、「人間の條件」や「ハチ公物語」に出演されている仲代達矢さんが演じています。

主人公が尋ねる屋敷の家老役を群馬県出身で、「利休」や「宮本武蔵」シリーズに出演されている三國連太郎さんが演じています。

その他、石浜朗さん、岩下志麻さん、丹波哲郎さんが出演されています。

本作品は滝口康彦さんの小説「異聞浪人記」をもとに制作されています。

本作品は1963年のカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞しています。



あらすじ


寛永7年、井伊家の屋敷の表玄関に一人の浪人が尋ねてきます。その者は津雲半四郎(つくも はんしろう/仲代達矢)と名乗ります。彼は福島家で仕えていたが、主が没して以降、生活に困窮したため、生き恥を晒すより武士として潔く腹を掻っ捌きたい。そこで、表玄関を貸して欲しいと井伊家にお願いします。

井伊家の家老職である斉藤勘解由(さいとう かげゆ/三國連太郎)が応対にあたります。斉藤は津雲に対して思い直してはいかがかと尋ねます。斉藤は津雲の前にも同じような浪人が井伊家を尋ねてきたと伝えます。

その若い浪人は千々岩求女(ちぢいわ もとめ/石浜朗)という津雲と同じ福島家出身でした。斉藤は知り合いかと津雲に尋ねますが、津雲は福島家も当時は数多くの人がいたため、存じ上げないと答えます。

斉藤は求女の話を続けました。近頃、江戸の町々では武士の風上にも置けぬ浪人者どもが切腹を致すと称し、諸家の玄関先を借りたいと強要し某の金銭にありつくという横行が流行っていたため、斉藤はある行動をとりました__



感想


武士の矜持と江戸版貧困ビジネスを描いた時代劇です。白黒作品ですが、切腹の鬼気迫る場面では色がないほうが緊迫感があってよかったと感じられました。

物語の前半の3分の1と後半の3分の1で登場人物に抱く印象が変わる構成や展開もよかったです。仰々しい伏線など使用せずにこのような見せ方ができる作品は少ないと思います。

時代関係なく、よい作品はよい、の代表格だと思います。








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