楽園(らくえん)
配給:KADOKAWA
監督:瀬々敬久(ぜぜ たかひさ)
脚本:瀬々敬久
出演:綾野剛(あやの ごう)、杉咲花(すぎさき はな)、佐藤浩市(さとう こういち)
公開日:2019/10
ジャンル:ヒューマン、サスペンス
「楽園」は、郊外にある田舎町の少女誘拐事件から時を経て生じた二つの凄惨な事件を描いたサスペンスです。
監督・脚本は大分県出身、「友罪」、「菊とギロチン」の瀬々敬久さんです。
幼いころに日本にやってきて疎外感を抱きながら日々の生活を送る青年役を、岐阜県出身、「そこのみにて光輝く」や「怒り」に出演されている綾野剛さんが演じています。
幼少時に友人が失踪した衝撃を抱えて生きる女性役を、東京都出身、「トイレのピエタ」やドラマ「とと姉ちゃん」に出演されている杉咲花さんが演じています。
高齢者ばかりの限界集落で犬とともに過ごす男性役を、東京都出身、「青春の門」や「誰も守ってくれない」に出演されている佐藤浩市さんが演じています。
他にも、村上虹郎さん、片岡礼子さん、柄本明さんといった方々が出演されています。
本作品は吉田修一の短編小説「犯罪小説集」の5編の中の2編、「青田Y字路」と「万屋善次郎」を原作としています。
あらすじ
長野県にある田畑が広がる町並み、祭りの喧騒から少し外れたところで男の怒声が飛び交っています。みかじめ料を支払わずにリサイクル商品を販売している女、洋子(黒沢あすか)に、男が暴力をふるっています。
離れた場所で怯えならその様子を伺っている青年がいます。豪士(綾野剛)は7歳のときに洋子に連れられて日本にやってきた口下手な青年です。
豪士は周囲に助けを求めることにします。付近にいた藤木吾郎(柄本明)が仲裁に入り、その場は何とかおさまります。藤木はその場にいた豪士に、よかったら後日、就職の世話をしてあげると伝えます。
豪士の運転で二人は帰宅します。しかし、洋子は途中で降ります。二人は現在、別々のところに住んでいます。豪士は一人、家でテレビを見ながら弁当とコーラで夜を過ごしています。
二人の女子小学生が道脇の野原で花飾りを作っています。紡(つむぎ)はあいちゃんと呼ばれている子から自分が使おうとしていた花を1本とられてしまって、少し不満げです。二人は町のY字路で別れます。
あいちゃんの家、赤ん坊が泣き叫ぶ中、家族があいちゃんの帰宅が遅いことを心配しています。祖父の吾郎も心配しています。皆であいかちゃんの行方を捜そうとします。警察も一緒です。そして、18時に吾郎と約束をしていた豪士も手伝うことになります。
一緒にいた紡から、別れたときのことを様子を大人たちが尋ねます。紡は白か青の車が停まっていた、と記憶が曖昧な状態です。あせる吾郎は紡を強く問い詰めてしまいます。
懸命の捜索にもかかわらず、あいちゃんは発見されませんでした__
あいちゃんが行方不明になってから12年の時が流れました。成長した紡(杉咲花)は地場のホームセンターで働いています。普段の移動には自転車を利用しています。
仕事の後、紡は奈良澤神社で開催される秋季例大祭の祭りの練習に向かいます。笛と太鼓の演奏に合わせて演舞する子供たちがいます。紡は笛を担当します。
紡の同級生は高校卒業後、ほとんど地元を離れていきました。同じクラスで地元に残ったのは広呂(村上虹郎)だけです。広呂はいろいろと紡を気にかけています。
帰り道、自転車がパンクしていることに気づいた紡、その様子を見た広呂が送っていこうかと声をかけてくれますが、紡は素っ気のない態度をとり、自転車をひいて帰っていきます。
その帰り道、紡の後ろから車が近づいてきて、驚いた紡は転んでしまいます。車に乗っていたのは豪士でした。これをきっかけに二人は少しの間行動を共にすることになります。近い将来、新たな悲劇が待ち受けている中で__
感想
吉田修一さんの小説が原作ということで、追い込まれ、積み重ね、崩壊していく人間関係の重苦しさがつきまといます。特に綾野剛さんと佐藤浩市さんの二人が強く印象に残りますが、全体的に出演されている方々がよかったと思います。
村上虹郎さんが演じる青年の存在が重要である一方で、どこかとってつけたような存在だと思う面もありました。
ストーリーの展開がフラフラしているように感じる箇所もあったのですが、これは原作2編を1本の作品にしているためと後で合点がいきました。この手法にはメリット・デメリット両方あったように思います。
個人的には綾野剛さんと杉咲花さんがT字路で会話を交わす場面が好きです。
どこ行っても同じ
どこにもない
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