舞台 ~ アサルトリリィ×私立ルドビコ女学院 vol.4 「白きレジスタンス~約束の行方~」 ~




公演:アサルトリリィ×私立ルドビコ女学院 vol.4 「白きレジスタンス~約束の行方~」
原案:尾花沢軒栄(acus)
脚本・演出:桜木さやか(ルドビコ★)
公演期間:2018年9月21日 (金) ~2018年9月27日 (木)
公演会場:シアターグリーン BIG TREE THEATER





今年2月に開催されたアサルトリリィ×私立ルドビコ女学院×TLPTのコラボ企画である舞台「人狼TLPT S『未来への十字架』」がおもしろかったため、シリーズ本編も観にいってきました(前回公演の記事 → (1)(2) )。

※若干のネタバレ有、個人的感想強め、記憶があやふな部分がある点をご了承願います。






概要


まずは設定の確認です。


アサルトリリィ

アゾンインターナショナル×acus(アクス)の送る1/12アクションドールコンテンツです。

近未来という舞台設定、出演者が装備している武器「CHARM」や「リリィ」の設定は本作品の世界観によるものです。


私立ルドビコ女学院

2004年に旗揚げされた「聖ルドビコ学園」をベースとした学園型演劇集団です。

登場人物を女子高生とシスターに限定し、女性のみのキャストでより深く世界観を構築するとのことです(前回は神父が出演していた気がしましたが、冷静に思い返すとあれは幕間でした)。


「アサルトリリィ×私立ルドビコ女学院」のコラボ作品は過去3公演ありました。

・Vol.1 『シュベスターの祈り』 2016年4月16日 (土) ~2016年4月24日 (日)
・Vol.2 『シュベスターの秘密』 2016年9月16日 (金) ~2016年9月25日 (日)
・Vol.3 『シュベスターの誓い』 2017年3月1日 (水) ~2017年3月5日 (日)


今回の作品は上記の続編となります。

以下は公式ホームページから引用です。

シュベスターシリーズが完結し、新章が開幕!
岸本・ルチア・来夢の持つ秘密とは…
泉教導官は何故ガーデンを去ったのか…
暴かれていく私立ルドビコ女学院のもつ謎と闇…
次々と降りかかる新たな試練にリリィたちがどう立ち向かうのか!!?
そしてそれぞれの約束の行方は…!!?

出演者は以下となっています。(※敬称略、役名 学年 / 演者)

岸本・ルチア・来夢 1年 / あわつまい
一之宮・ミカエラ・日葵(ひまり) 2年 / 西本りみ
福山・ジャンヌ・幸恵  2年 / 中村裕香里
天宮・ソフィア・聖恋 1年 / 星守紗凪
黒木・フランシスカ・百合亜 2年 / 安藤遥
立花・テレジア・渚 2年 / 白河優菜
松永・ブリジッタ・佳世 2年 / 緒方ありさ
鳴海・クララ・優子 1年 / さいとう雅子
宝城・モニカ・朝妃 1年 / 広沢麻衣(エラバレシ)
佐野・マチルダ・こころ 2年 / 藤堂光結
瀬戸・ベロニカ・いちか 2年 / 七海とろろ(バクステ外神田一丁目)
羽田·カタリナ·芽衣 1年 / 遠野ひかる
長谷川・ガブリエラ・つぐみ 1年 / 長橋有沙
高取・ナタリー・永遠 3年 / 手島沙樹
佐伯・ジュリア・花蓮 1年 / 小菅怜衣
花丘・アンジェラ・萌(もえ) 1年 / 仲野りおん
李・クリスティーナ・思思(スースー) 3年 / 河合柚花
永瀬·マルタ·のの花 1年 / 沖あすか

小阪・アナスタシア・涼子 / 木村若菜
海堂・ベアトリス・千春 / 内多優
真壁・メラニア・小夜子(さよこ) / 酒井栞

取手・スザンヌ・麗香 / 嘉陽愛子







ストーリー等の補足(+一部感想)


後で見返したときのための簡単な補足情報や舞台での出来事です。

(本編外)

・開演直前のスペシャル企画として、前作「シュベスターの誓い」がYoutubeにて期間限定で無料配信されました。
 泉教導官が学園を去る理由や花蓮といちか間の出来事、登場人物のシュベスターの契りの過程を過去作で確認することで本作品をより楽しめたことは間違いなく、大変ありがたい試みでした。

・購買にはアサルトリリィ×ルドビコ女学院の2.5次元舞台版シリーズの第4弾「一之宮・ミカエラ・日葵」のドールが2種類、さらに第5弾として「天宮・ソフィア・聖恋」の新作ドール(サンプル)も展示されていました。





・恒例?の写真くじ、今回は控えめに15回分実施しました。

 




 来夢 1
 百合亜 1
 萌 2
 渚 1
 いちか 1(サイン付)
 永遠 1(サイン付)
 佳世 1
 優子 1
 こころ 1
 小夜子 1(サイン付)
 つぐみ 2
 芽衣 1
 のの花 1



・開演前には、遠野ひかるさん、小菅怜衣さん、長橋有沙さん、仲野りおんさん、沖あすかさんの1年生キャラ5人(もっと言えば成績優秀なジョックスを羨むワナビー的な立ち位置にいる5人)による歌とダンスのパフォーマンスがありました。
 パフォーマンス曲は日替わりらしく、私が観劇した際は「ファインド」でした。
 歌とダンスが素敵なのはもちろん、コウモリやお化け、かぼちゃを模したハロウィンチックな小道具がキャラクターのヘアアクセサリーに合わせて装飾されていたりして、やっぱルド女の細かい部分まで丁寧に作る姿勢がすごいなと思います。
 本作品の演出助手であり、小道具担当である佐藤夕夏さんが作成して用意してくれたようです。

・木村若菜さん演じる小阪シスターと内多優さん演じる海堂シスターによる世界観の説明と本編振り返りコーナー、今回は熱心に説明しようとする小阪シスターに対して時折すかし芸のようなことをする海道シスターとの掛け合いがおもしろかったです。


(本編)

・時期に関して、恐らく前作「シュベスターの誓い」から期間はそれほど空いていないように思われますが、そういった時期に関する台詞は記憶に残っていません(泉教官がいなくなったタイミング、いなくなってどれくらいかもわかりませんでした、まあこの部分は聞き逃している可能性も高いです)。
 のの花にスポットがあたったときの過剰なエフェクトの演出で(恐らく)桜の花びらがたくさん舞っていた部分が唯一季節を感じたシーンだったかもしれません(ただし、あくまでエフェクトの話であるために本編の季節とは関係ないのですが……)


・泉教導官は自分の意思で学園を去ったことになっています。残された小阪教導官は彼女が書き残した手紙を見て、彼女が学園に不信感を抱いていることを改めて確認しています。
 手紙には続きがあるようですが、その行方がわかっていませんでした。

 手紙の続きは作中で発見されるのですが、そこに書かれている内容は一部のシスターしか確認していない状態です。またそのことが原因で海堂シスターは悲劇に巻き込まれます。

 ものものしい雰囲気により泉教導官がすでに亡き者にされている可能性もありましたが、作中で指名手配犯と扱われる場面もあることから、存命であると思われます。


・来夢の秘密に関して、未来と来夢の失踪中の父親(岸本研究員)がリリィの強化実験に携わっていて、妊婦に対する強化実験が施されたことが未来や来夢の特性の原因でないかという疑いや、聖恋の母親にも実験が何かしらの影響を与えたのではないかという疑いが挙がります。

 ただ、来夢は父親が世界をよくするために研究を続けていたと信じています。


・聖恋は幼いころに両親を別々に亡くしており、来夢の家族と一緒に多くの時間を過ごしたことで、未来を尊敬することになり、来夢とは幼なじみであり親友であると感じています。

 しかし、リリィだった母親が事故死ではなく、岸本教授の実験の影響で殺害されたという話をシスターから聞かされ、聖恋はひどく困惑します。

 ヒュージが発生しても自身が何をすればよいのかわからない聖恋に対して、シュベスターの契りを交わす百合亜や、未来の意志を汲み取ろうとする幸恵、聖恋のことが心配な来夢が寄り添おうとします。


・1年生は実力がある者やシュベスターの相手がいる者に対して、自信を失っている者もいる状態です。そんな中で1年生と2年生の合同訓練が実施されます。


 (萌パート)
 萌はもともと日葵の大ファンだったこともあり、日葵と行動を共にする機会が増えます。

 その後、イケブクロ駅前(シブヤ?新宿御苑前ではありませんでした)で発生したケイブからヒュージの襲撃が発生し、日葵がピンチになったときに萌のレアスキルが発動します。
 萌に発動したレアスキルは「ファンタズム」、未来予知が可能な非常に希少なレアスキルでした。

 日葵は今後のテンプルレギオンに萌が必要不可欠な存在になるだろうということを伝え、今後も自身と積極的に訓練するように伝えます。

 ただでさえ萌によって日葵との時間が減らされていた中での日葵からの萌への強烈なアプローチを見て、日葵とのシュベスターの契りを交わしている優子はショックを受け、シュベスターの契りは解消できる、とまで言い放ってしまいます。

 しかし、優子のことを想う朝妃はシュベスターの契りはその程度の約束だったのかと伝えます。


 (芽衣パート)
 こころという師匠を慕い、弟子として行動することが多い芽衣、作中で諜報活動に勤しんでいたところ、意図せずショッキングな出来事を目の当たりにして、戦闘に参加できなくなります。

 こころはそんな芽衣をサポートしようと尽くしますが、煮えきれない芽衣に対して師弟関係の解消を持ち出します。
 ますます動揺してしまう芽衣でしたが、こころの想いを改めて確認し、二人はシュベスターの契りを交わします。
 尚、芽衣のオメダイはダイヤモンド製でした。


・未来に関する学園の対応で疑問を抱いている幸恵、そんな幸恵に対して同じく学園に疑問を抱いた永遠と思思の3年生コンビがテンプルレギオンと異なる新しいレギオンを結成することを提案します。

 レギオンの名前は「アイアンサイド」、テンプルレギオンのようにメンバーが都度変わるのではなく、固定メンバーとすることでチームとしての成熟度を高めていく、また未熟な部分がある(フィニッシュだけの)来夢のためにもそのほうが良いという内容でした。

 アイアンサイドのジャケットの裏面にはルドビコ女学院の校章でもある「白い薔薇」が描かれています。


・いちかは未だに右足を引きずっている状態です。
 負傷中は高廠科の授業に参加するなどしてCHARMの製造にも携わりました。
 万全の状態に戻らない中、リリィではなく、CHARMを製造するアーセナルへの転身も検討しています。

 一方で、いちかの負傷が自分に原因があると考えている花蓮、強くなりたいと願いトレーニングに積極的に取り組み、いちかもその様子を見ています。

 また、いちかがリリィを辞めるかもしれないという話を聞いた渚は、いちかの存在があったから自身が留学したのだと、副隊長としてだけではなく親友としていちかと語り合います。


・佳世はテンプルレギオンかアイアンサイドかで迷っている状態です。テンプルレギオンに選ばれなかったときにはアイサンサイドにいくという都合の良い考えを述べますが、周囲から却下されてしまいます。

 そんな佳世に対して、シュベスターの契りを交わしているつぐみは、佳世がどちらを選んだとしても自分はついて行きますとの誓いを述べます。


 

感想

事前にキャストが宣言していたとおり、全員が主役・見所がたくさん、という言葉は決して大袈裟ではなく、大変見ごたえがある内容でした。

OPやEDのダンスはもちろん、先輩を前にした1年生のそれぞれの姿勢に違いがあったり、マギを使い果たした後の立ち振る舞い等、気づかないところも含めれば何回も見て楽しめるのではないかと感じました。

125分という限られた上演予定時間の中でここまで各キャラにスポットを当てられているのはすごいと思います。
もっと丁寧に描いて欲しいと思う場面もなくはないのですが、どこまで描いてどこを削るかに正解はない以上、好みの問題であり、私はこの形が好きだと思えたのでよかったです。


最初にメインビジュアルを拝見したときには全然タイトルで謳っている「白」要素が見当たらずタイトル詐欺の予感すらしていましたが、内容としては新章らしく学園に対抗する形で新しいレギオン、レジスタンスを発足する形となり、次回作が待ち遠しくなる内容となっていました。

その新しいレギオンのジャケットの背面にはルドビコ女学院の校章である白い薔薇が入っています。OPでは白い羽根が舞っている演出があるため、もし白い翼とかだった某有名漫画を連想してしまうなと思っていましたが杞憂でした。

ただ、学院に不信感を抱いて結成したレギオンにもかかわらず学院の校章が入っているのはどうなのでしょうか。これは裏では永遠様が泉教導官か小阪教導官あたりと連絡を取っていて、あるべき学院の姿を取り戻そうとしているといった補足が欲しいなという印象です。

一方で、「白い薔薇」の花言葉には“約束を守る”という意味があり、今回の内容を考えるととてもスッキリできる展開でもあります。


個人的にキャラクターとして特に印象が強かったのは朝妃でした。

成績優秀でプライドが高く、テンプルレギオンにも選抜されていながらシュベスターの契りがまだで今作中での立ち位置もなかなか微妙なところにいる印象がありましたが、そんな朝妃が大切な優子のことを想って、シュベスターの契りはその程度のものだったのと諭すシーンが特に好きでした。

デュエルが得意でプライドが高い朝妃だからこそアイアンサイドをどう想っているのかはもっと観たかったように思います。


また本作品を観劇したことで改めて2月に公演された「未来への十字架」を思い起こすと、各キャラを演じながら人狼ゲームを観客の前でしたということの凄さを再確認させられました。

そのときに強く印象に残っていた百合亜様は相変わらず百合亜様でよかったです。
本作中ではヒュージの発生に加えて二つのレギオンや学院内のゴタゴタが発生している中でまったく姿が確認できない時間帯があったため不安を覚えていたのですが、おいしい場面でしっかりと登場してくれました。


次回作は1年以上先ということですが、期待して待っていたいです。

もちろん、2月公演予定のTLPT Sのほうも楽しみにしておきます。




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