映画 ~ Diner ダイナー ~




Diner ダイナー
配給:ワーナー・ブラザース
監督:蜷川実花(にながわ みか)
脚本:後藤ひろひと(ごとう ひろひと)、杉山嘉一(すぎやま よしかず)、蜷川実花
出演:玉城ティナ(たましろ てぃな)、藤原竜也(ふじわら たつや)
公開日:2019/7
ジャンル:サスペンス、スリラー





「Diner ダイナー」は殺し屋専門の会員制食堂で、平凡な女性がウエイトレスとして働くことになってしまう作品です。

監督は東京都出身で、映画「ヘルタースケルター」やAKB48のPV「ヘビーローテーション」の監督、写真家としても著名な蜷川実花さんです。

脚本は後藤ひろひとさん、杉山嘉一さん、蜷川実花さんの共同脚本です。後藤ひろひとさんは山形県出身で、舞台「止まれない12人」を手がけたり、映画「パコと魔法の絵本」の原作を手がけたりされています。杉山嘉一さんは東京都出身で、テレビドラマ「エリートヤンキー三郎」の脚本を手がけたりされています。

料理好きの平凡な主人公役を、沖縄県出身で映画「惡の華」「地獄少女」「サクラダリセット」といった数多くの作品に出演されている、元ファッション雑誌「ViVi」の専属モデルもしていた玉城ティナさんが演じています。

食堂の王を名乗るシェフ役を、埼玉県出身で映画「バトル・ロワイアル」「デスノート」「カイジ 人生逆転ゲーム」をはじめ数多くの映画やドラマ、舞台に出演されている藤原竜也さんが演じています。

他にも、窪田正孝さん、本郷奏多さん、真矢ミキさんといった方が出演されています。

原作は「独白するユニバーサル横メルカトル」などの平山夢明さんの小説です。



あらすじ


なぜ私を連れて行ってくれなかったのか、幼い頃に母に捨てられた記憶、もう誰のことも信じないと決めた女性、オオバカナコ(玉城ティナ)、一人でいるのは平気だと思う一方で、自身がここにいてもよい理由がわかりません。気づいたら透明人間になっていました。

カナコは小さいころから料理だけは好きでした。遠い昔の記憶にあるドヴォルザークの編曲「家路」をたまに口ずさむことがあります。

ある日、朝のテレビの占いでラッキーカラーと聞いたブルーのハンドバッグを持って出社するカナコ、今日の仕事は旅行代理店だと上司が手渡してきたのは、アンラッキーカラーとされていたイエローの制服でした。

看板を持って街中で立つカナコ、街中を行き交う人たち、そんな中、怪しい骸骨のような仮面に色とりどりの鮮やかな衣装を身につけ踊る人たちの集団が目に留まります。

その集団の一人からカナコはカードを渡されます。そこにはメキシコの都市ガナファトの鮮やかな街なみの風景が描かれていました。カナコの目に留まったのはメキシコの「死者の日」を祝う集団でした。

カナコはその集団に出会ったことで、無機質だった世界に血が通った気がしました。これまでの色の無かった世界から豊かな色彩の世界に行ってみたいと、それがいつからか行かなければならないと変わっていきました。

旅行代理店に問い合わせたところ、渡航費や宿泊費を合わせて30万円ほどかかるようです。カナコにとっては大金だったため、検索サイトで30万円の報酬がもらえる怪しげなアルバイトを探して応募します。

そこにはドライバーの仕事と記載されていました。待ち合わせに指定されたゲームセンターのクレーンゲームでカナコが時間をつぶしていると、依頼主から電話がありました。


程なくしての仕事の結果、カナコはクレーンゲームの景品みたいに吊るされてしまいました。依頼主の男は顔を血だらけにしています。相棒の女は殺さないでと泣き叫んでいます。

周囲には怪しげな集団がその様子を眺めています。リーダー格の男が、何も言わないのか?生かしておいて何の得があるのか?とカナコに問いかけます。

何も無いカナコでしたが、料理が得意でおいしいものが作れます、と懸命に答えます。周囲の人はその答えを嘲笑しています。そしてカナコは気を失います__


カナコが目を覚ますと、そこは怪しげなバーのようなお店でした。お店には一人の男がいました。男はボンベロ(藤原竜也)と名乗り、自身をここの王だと言います。

そこは、客が全員人殺しの会員制の店「Dinner」、カナコはオーナーに買われてそこでウエイトレスとして働かされることとなります。カナコの選択は従うか、死ぬかです__



感想


平山夢明さんの不条理なディストピアが蜷川実花さん監督によって映画化された作品です。とても素敵な組み合わせに思えました。重くて暗い世界観が色や音楽によってどこか輝かしくも見えました。

色鮮やかな食材や装飾、ドヴォルザークの「新世界より」の第2楽章や第4楽章がいい味を出しています。歌とダンスのミュージカル調の演出も映画ならではです。また、メキシコの「死者の日」もうまく利用して、物語の顛末を映画としていい形で終えていたように思います。

出演者も豪華でキャラも濃いので印象深いです。藤原竜也さんのキャラクターはインパクトがあります。私は今でも「バトル・ロワイアル」で命の尊さを訴える藤原竜也さんが印象に残っていて、本作品のボンベロとは真逆のキャラクターとなるのですが、どちらにせよ魅力的な登場人物ということには変わりありません。

そして、濃いキャラクターが多い中でも、平凡な女性を魅力的に演じた玉城ティナさんが可憐でした。ここまで目を惹きつけられることになるとは序盤では予想しおらず、オオバカナコの魅力、成長譚をこれまでもかと表現されていたように感じました。



望みが叶わないことが
生きる希望になってる人間もいるんだ




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