映画 ~ エレファント・ソング ~




エレファント・ソング
原題:Elephant Song
配給:アップリンク
監督:シャルル・ビナメ(Charles Binamé)
脚本:ニコラス・ビヨン(Nicolas Billon)
出演:ブルース・グリーンウッド(Bruce Greenwood)、グザヴィエ・ドラン(Xavier Dolan)
公開日: 2014/9(2015/6)
ジャンル:サスペンス




「エレファント・ソング」は精神科病棟で繰り広げられる医師と患者の心理戦を描いたサスペンス映画です。

監督はベルギー出生、カナダ出身のシャルル・ビナメさんです。他の作品にテレビシリーズ「Durham County」等があります。

脚本はカナダ出身のニコラス・ビヨンさんです。本作品はもともとニコラス・ビヨンさんの戯曲であり、他に「The Measure of Love」といった作品があります。

主人公の病院長役を、カナダ出身、「スター・トレック」等に出演されているブルース・グリーンウッドさんが演じています。

病棟に入院している患者役を、カナダ出身、「マイ・マザー」といった多くの作品を監督したグザヴィエ・ドランさんが演じています。



あらすじ


精神科病院で入院している患者のマイケル(グザヴィエ・ドラン)が“起きろ”という声で目を覚まします。彼は夢を見ていました。

1947年のキューバ、鏡台の前にドレス姿で身だしなみを整えている女性、マイケルの母です。

舞台では多くの拍手が彼女を迎え入れます。マイケルは舞台袖からその様子を伺っています。ジャンニ・スキッキさんの「O mio babbino caro」が舞台に響きます。彼女は当代一のソプラノ歌手として名をはせています。



1966年1月、雪の積もる街、グリーン院長(ブルース・グリーンウッド)が理事長から査問を受けています。数週間前に発生した事件に関してです__


グリーンは精神科に勤めるローレンス先生の部屋にいました。ローレンスは行方不明となっていて、その手がかりを探しています。

グリーンは娘のエイミーと、彼女の叔母にあたるオリビアと住んでいます。妻とは3年前のある事件をきっかけに離婚しています。

看護師長のピータソン(キャサリン・キーナー)に連れられてマイケルが部屋に入ってきます。マイケルはローレンスの患者であり、ローレンス行方不明の手がかりを知っている可能性があります。ピータソンは部屋の外で待機しているように言われます。ピータソンから“象に関しての知識は?”とグリーンは尋ねられます。グリーンは質問の意図がわかりません。

グリーンとピータソンは夫婦でした。1963年9月、娘のレイチェルを事故で亡くしてからはお互いに疎遠になっています。

グリーンはマイケルにローレンスのことを尋ねます。マイケルは自身のコードネームが“ホワイト・エレファント(無用の長物)”と答えます。そして、マイケルは象の話がしたいと言います。象は母系集団を形成する動物であり、身内の死を悲しむことができると、ダーウィンいわく、それは象だけだと熱弁します。

話がかみ合わない中、マイケルは話す代わりに自身の要求に応えて欲しいとグリーンに伝えます。彼の要求は以下の3点です。先入観を持たないために「カルテを読まないこと」、マイケルの好物である「チョコレートをくれること」、そして、行方不明に関与しているからといる理由で「ピーターソンをこの件から外して欲しい」という内容でした__



感想


精神科病棟の一室で繰り広げられる会話劇、心理戦を描いた作品です。

私は観賞していてまっさきに多島斗志之さんの小説「症例A」を思い浮かべました。自身の気持ちが見透かされているのか、会話の主導権がどこにあるのか、対話の中に緊張感が漂っています。

「症例A」が統合失調症を深く掘り下げていた分、本作品の院長の行動は少しお粗末だったかなという印象です。また、人間関係こそ少しずつ明らかになっていきますが、本題である事件に関しては中盤あまり進展せず、少し退屈に感じてしまいます。

しかし、マイケルが求めている人間関係のドラマや、グザヴィエ・ドランさんが演じたマイケルの狂気は印象深いものがありました。グザヴィエ・ドランさんの監督作品は未見ですが、1度観賞してみたいと思います。








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