映画 ~ おっさんのケーフェイ ~




おっさんのケーフェイ
配給:インターフィルム
監督:谷口恒平(たにぐち こうへい)
脚本:橋本夏(はしもと なつ?)
出演:松田優佑(まつだ ゆうすけ)、川瀬陽太(かわせ ようた)
公開日:2019/2
ジャンル:ヒューマン





「おっさんのケーフェイ」は小学生と謎のおっさんのプロレスを通した交流を描いた作品です。特技もやりたいこともなかった小学生が、とあるきっかけでプロレスに魅せられ、プロレスに関係する謎のおっさんと偶然出会ったことから生じる物語です。

監督は京都府出身、映画「バクマン」や「アイアムアヒーロー」などのメイキングディレクターも担当されている谷口恒平さんです。

脚本は橋本夏さんです。ここからはネット情報なので間違っているかもしれませんが、橋本さんはTOHOシネマズ学生映画祭のショートフィルム部門で準グランプリを受賞しています。そのときの作品が「ゴム」であり、監督が橋本さん、脚本が谷口さんだったようです。

主人公の小学生役を、大阪府出身で、映画「菊とギロチン」や連続テレビ「マッサン」、「ごちそうさん」等に出演されている松田優佑さんが演じています。

プロレスきっかけに交流を持つ謎のおっさん役を、北海道出身で、「羊の木」や「シン・ゴジラ」といった数多くの映画、ドラマ作品をはじめとして、最近ではユニコーンさんの新曲「でんでん」のPVにも出演されている川瀬陽太さんが演じています。

本作品には大阪を中心に活動する道頓堀プロレスさんが協力しています。また、覆面レスラーとしても市議会議員としても活躍されているスペル・デルフィンさんも本作品に出演しています。


あらすじ


大阪で暮らす小学校の青木ヒロト(松田優佑)は、二学期最後の道徳の時間で特技発表会が開催されると聞いて困ります。

休み時間中、ダンスが得意なイケテル男子グループから離れているヒロトと友人の二人、体が大きい丸岡君(小林陽翔)は口笛を披露し、東京から転校してきた北山君(埜田進)は英語でスピーチするつもりだということです。ヒロトは一人真面目に悩んでいます。

放課後、河川敷で時間をつぶす三人、彼らは一人のおっさん(川瀬陽太)を観察しています。

河川敷で安っぽいラジカセと紙コップ飲料、ボロボロの空気を入れる愛玩人形にヘッドロックをかけてプロレスの練習をしているおっさんがいます。

丸岡君がじゃんけんで負けた奴があのおっさんに石を投げることを提案します。ヒロトが負けます。おっさんからは距離が離れているため、ヒロトが石を投げたところで全然届きません。特にやることのない三人の暇つぶしです。

時間が経ち、丸岡君は飲食店を営む店の仕込みの手伝い、北山君は塾ということで、ヒロトを残して二人は家路につきます。独り残ったヒロトがおっさんの様子をボーっと眺めていると、おっさんと一瞬目が合いました。

夜、ヒロト家は父親、母親、ヒロトの三人で食卓を囲みます。父親が補欠選挙のニュースを見て嘘つきばっかりであると、休日出勤だとぼやいています。母親は臨時収入だとちょっと喜んでいます。父親はヒロトに嘘をつくことだけは駄目だと注意します。

続けてのニュースで、ヒロトのクラスメイトである川島(神保舜莉紋)が登場します。ダンスに取り組む将来期待のスーパー小学生ということです。川島君の父親であるPTA会長(松浦祐也)も登場します。

ニュースを見ていて、習い事のひとつくらい大丈夫だと母親、何かやりたいことがあったら言えやと父親はヒロトに伝えます。ヒロトは悩み続けています。


ヒロトはとりあえずダンス教室で習い事をはじめようとします。しかし、真剣にダンスに取り組む川島君にとって、やる気が見られないヒロトの態度がおもしろくないのか、すぐにヒロトはからかいの対象にされてしまいます。

消沈して自転車をひいて帰るヒロト、世界館の前を通ったとき、プロレスマスクをかぶったレスラーが目の前にいて、ヒロトは驚きます。その日、ダイナマイトウルフというレスラーの引退試合の興行が開催されているようです。

驚かして悪かったなとスタッフのお兄ちゃん(原篤志)が、特別サービスで観てきとヒロトを会場に案内してくれます。

初めてのプロレス観戦となったヒロト、場面はダイナマイトウルフの入場シーンでした。登場したダイナマイトウルフは、チッツさんの「メタルディスコ」が流れる中、多くの観客との握手やボディタッチ、手拍子で花道を進みます。

試合も盛り上がります。ヒロトの目の前で場外乱闘が開始します。パイプいすを凶器で使う対戦相手、声援が高まる中、周りの歓声に合わせてヒロトも叫びます。そして、フライングスープレックスからのスリーカウント、ダイナマイトウルフの逆転勝利にヒロトはすっかり心を奪われてしまいます。

さっそく自転車をこぎ、書店でプロレス雑誌を購入するヒロトでした。


ある日、プロレス雑誌片手に街を歩いていたところ、上級生がヒロトにちょっかいをかけてきます。ヒロトがプロレス雑誌を抱えていたため、おもしろがった上級生はヒロトにスリーパーホールドの技をかけながら、かつあげをしようとします。

苦しそうなヒロト、しかし、そこに河川敷で見かけていた謎のおっさんが全然あかんなと現れて、上級生にスリーパーホールドをかけます。頭おかしいちゃうんか、とたまらず上級生は逃げていきました。 

謎のおっさんはその場から立ち去りますが、ヒロトはおっさんがいつも手にしていたビニール袋が道路に放置されているのに気づきます。思わず、置いていった袋の中身を覗くと、中からダイナマイトウルフの覆面マスクが見つかり、ヒロトは驚きます。

そこに、おっさんが慌てて戻ってきます。おっさんはヒロトの頭を軽くはたいて、ビニール袋を奪い取ってその場から逃げていきます。

ヒロトは憧れのレスラーが身近にいて、しかも自身を助けてくれたことでますますプロレスに夢中になっていき、特技の発表会でプロレスを披露しようと考えます__



感想


小学生とみすぼらしいおっさんの交流を描いた作品です。上映時間が短く観やすいです。

河川敷で独りラブドールとプロレスをしているおっさんと小学生の交流なんて通報されてもおかしくはない案件ですが(作中でそれを止めようとする大人たちもいますが)、下町情緒が感じられる粋な絆で繋がれた交流は観ていてほっこりしました。人情の街を形容される大阪を舞台としているのもよかったです。笑いどころもたくさんありました。

小学生とおっさん、それぞれにしっかりと焦点を当てている点も良かったです。特に小学生のストーリーでは、特技なんてなくとも、その友情があればいいよねと思える小学生同士のやり取りが応援したくなってきます。純粋無垢な子供のキャラクターもいいですが、少しやさぐれた面もある、冴えない小学生もそれはそれで魅力的かなと思います。いざというときの行動によりスカッとできます。

プロレスは何十回も試合を観ていましたが、ケーフェイという言葉ははじめて知りました。異種格闘技系の漫画でも外せない存在のプロレスだと思っていますが、1番スゲぇのはプロレスなんだという想いが大切なことだと改めて感じました。


明るいライトに照らされ♪
オシャレな雰囲気漂う♪
どうせお前はオシャレさん♪
今夜はディスコでダイナマイト♪




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