漫画 ~ ワールドゲイズ クリップス ~




ワールドゲイズ クリップス
作者:五十嵐藍(いがらし らん)
出版社:KADOKAWA
掲載誌:ヤングエース
巻数:全4巻(2012/11 ~ 2015/9)





「ワールドゲイズ クリップス」は代わり映えのしない日々を過ごす人たちが、とある非日常的な出来事をきっかけに、いつもの社会から距離を置いて、自分や他者、世の中を別の視点から見つめなおそうとするノスタルジックな(青春)短編漫画です。

作者の五十嵐藍さんは「エース新人漫画賞奨励賞」を受賞しており、他の作品に「鬼灯さん家のアネキ」等があります。

本作品は松岡茉優さんも主演された映画「放課後ロスト」の原作となっています。



あらすじ


委員長と呼ばれている女子高生の佐藤アヤコ、朝の挨拶程度はクラスメイトと交わしますが、昼食中も放課後も一人で勉強ばかりしています。

決して真面目な性格というわけではなく、帰りのコンビニで万引きを試みるようなところもあるのですが、普段授業に顔を出さない別の女子生徒、有川ユウキにその現場を目撃されます。

有川と会った後で財布がなくなっていることに気づいた委員長、翌日、通学路に財布が落ちていないか確認しながらも、有川が掏ったのではと疑っています。しかし、当の有川は登校していませんでした。

その放課後、気分転換に立ち寄った音楽ショップで偶然にも有川を発見した委員長、有川から財布を返してもらった委員長は、そのまま有川の溜り場となっている客の少ないライブハウスに一緒に行き、他愛の無い雑談を交わします。

翌日、委員長は有川の影響を受けてか学校をサボってしまいます。

結果、有川と委員長は一緒に追試を受けることになります。いい点をとらなければ、と相も変わらず勉強のことばかりの委員長、有川は委員長の顔の痣に気づいて委員長を遊びに誘います__


(『放課後ロスト』より)



感想


短編であり、ストーリー上もオムニバス形式と言うほど統一感はないため、軽く読める点が魅力です。

緩くて雰囲気もふわふわとしていますが、作中で語られるキャラクターのメッセージや行動には印象が残るものも多く、読んでいて楽しめました。

一方で、アンニュイな感じや中二病的な内容が苦手な人には合わないと思われます。

1~2巻で高校生が主人公の作品かと思っていると、3巻ではいろいろな人たちが関連するコメディ作品があったり、4巻ではさらに短いショートショートの構成をとっていたりと作者が書きたいものを書いたという印象が強く、それもこの作品の魅力ではないでしょうか。



ちゃんとやってても こうだよ
家でも 学校でも
ルールが破綻してる
だから 私が毎日やってることって 意味無いんだよね






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