機械仕掛けの愛(きかいじかけのあい)
作者:業田良家(ごうだ よしいえ)
出版社:小学館
掲載誌:ビッグコミック、ビッグコミック増刊号
巻数:既刊5巻(2012/07~2018/02)
「機械仕掛けの愛」はペット、介護、神父といった様々な役割を与えられたロボットを主人公として、“人間とは”、“心とは”を描くオムニバスストーリー形式のSFヒューマン漫画です。
著者の業田良家さんは福岡県出身で、2009年に是枝裕和監督で映画化された「空気人形」の原作となった作品(「ゴーダ哲学堂 空気人形」)等があります。
本作品は朝日新聞社様が主催する手塚治虫文化賞で、第17回の短編賞を受賞されています(尚、同回のマンガ大賞は原泰久さんの「キングダム」です)。
あらすじ
“まい”と呼ばれる女の子は、ペットロボットとして家族と遊園地で楽しく遊んでいます。
しかし、人間の母親はメリーゴーラウンドで遊んでいる“まい”を見て飽きてきた、次は男の子がいいと言い、父親も2年も“使っているから”という理由でそれに同意します。
家族は帰りに、ペットロボという動物型、機械型、人型といった様々な種類のペットロボットを新品・中古に関わらず購入できるショップに寄ることにします。
そこには様々なペットロボが展示されていて、“まい”もそのペットロボ達を眺めます。
その夜、新しく迎えられた男の子のペットロボと楽しく過ごしている父親と母親_
充電中の“まい”はこれまでの自分の記憶を辿るうちに、忘れられないお母さんに会いに行きたいと思うようになります。
(「ペットロボ」より)
感想
過去の漫画紹介作品である「AIの遺電子」に引き続いての人工知能を備えたロボット(ヒューマノイド)に焦点をあてた作品です。
両作品ともオムニバス形式ですが、「AIの遺電子」は須藤という主人公を軸としてより客観的に作品を読み進められる点、「機械仕掛けの愛」はロボットを主人公として主観的に作品を読み進められる点が私が感じた大きな違いです。
よって、「機械仕掛けの愛」のほうが主人公に感情移入した場合の破壊力は大きいかもしれません(「AIの遺電子」でもそんな作品はたくさんあるのですが……)。
また、「機械仕掛けの愛」は「ロボット工学三原則」に関して取り扱っている場面が相対的に多いように思います。
どちらも必ずしもハッピーエンドで終わる話ばかりではなく、人間の性善説、性悪説、心とは何かを提示してくれる切ない話や優しい話がたくさんあります。
サテ、ココハ何処ダ。
コノ男ハ誰ダ?
自分ハナンノタメニココニイルンダ?
目ノ前ノモノヲ見テ、ヤルベキコトヲヤル?
最後ニソンナコトヲ言ワレタ記憶ガアル。
今、ヤラナケレバイケナイコトハ… キットコレダ。
コメント
コメントを投稿