私の知らないわたしの素顔(わたしのしらないわたしのすがお)
原題:Celle que vous croyez
英題:Who You Think I Am
監督:サフィ・ネブー(Safy Nebbou)
脚本:サフィ・ネブー、ジュリー・ペール(Julie Peyr)
出演:ジュリエット・ビノシュ(Juliette Binoche)
公開日:2019/2
ジャンル:恋愛、サスペンス
「私の知らないわたしの素顔」は年齢を重ねた大学教授の女性が、他人になりすましたSNSを通してバーチャル恋愛に深入りしていく様子を描いた恋愛サスペンス作品です。
監督はフランス出身、「Angel of mine[L'empreinte de l'ange]」のサフィ・ネブーさんです。
脚本はサフィ・ネブーさんと、フランス出身、「あの頃エッフェル塔の下で」のジュリー・ペールさんの共同脚本です。
大学教授の女性役を、フランス出身、「イングリッシュ・ペイシェント」や「ショコラ」に出演されているジュリエット・ビノシュさんが演じています。
その他、ニコール・ガルシアさん、フランソワ・シビルさんといった方々が出演されています。
カミーユ・ロランスさんの小説が原作です。
あらすじ
ミヨー・クレール(ジュリエット・ビノシュ)は心理療法士のカトリーヌ・ボーマン(ニコール・ガルシア)に語ります。以前に彼女が経験したことです。
クレールは大学の教授であり、文学の授業で学生相手に講義をしています。彼女には子どもが2人います。夫は他の女性に夢中になった結果、離婚しています。
クレールにはボーイフレンドのリュド(ギョーム・グイ)がいました。親子ほど年齢が離れた2人です。しかし、週末の過ごし方で揉めた後、突然、リュドから一方的に会うことを拒否されるようになります。リュドに電話をかけますが繋がらず、リュドの同居人であるアレックス(ニコール・ガルシア)が電話に出ますが、あからさまな居留守を使われます。
納得いかないクレールはリュドの動向を探るために、SNSを利用しようとします。彼女は自身の姪を参考にクララ・アントゥネスという20代半ばの女性のアカウントを作成します。クレールはリュドと直接ではなく、傍にいるアレックスを狙って彼と繋がろうとします。アレックスは写真家であり、SNSにアップされている写真にいいねを押したり、コメントを残したりしました。
次第にクレールは架空の世界を漂えるSNSへ没頭していくことになります。それはアレックスもまた、クレールのアバターであるクララへの興味を募らせていたためです。やがて2人はそれぞれ恋愛感情のようなものを抱くことになります__
感想
静かな落ち着いた雰囲気の中で、嫉妬や欲望の印象を色濃く残すフランスの恋愛映画です。
まず主演のジュリエット・ビノシュさんの静かな狂気がとても印象に残ります。クレールがアレックスを近くで眺めるシーン、彼女が抱いていたであろういくつかの感情を想像すると、彼女のその様に畏怖を抱いてしまいました。
高齢同士、片方が高齢な男女の恋愛やSNSの出会い、承認欲求の話は他にもありますが、この作品の根底にはクレールの想いというのが重要であり、それが作品を楽しめるかどうか肝になる気がします。
死よりも見捨てられることのほうが怖い、という話がありましたが、ではクレールにとっては夫に見捨てられる前に死んだほうが幸福だったのでしょうか。クレールが思い描いた小説の結末や、ラストシーンで彼女が見せた行動も考慮すると、何とも言えない無常観に包まれます。
あなたと私は
目覚めたまま夢を見ていた
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