もう誘拐なんてしない(もうゆうかいなんてしない)
著者名:東川篤哉(ひがしがわ とくや)
出版社:文藝春秋
発売日:2008/1(2010/7)
ジャンル:サスペンス
「もう誘拐なんてしない」は関門海峡を舞台の中心とした、暴力団組長の娘の狂言誘拐を描いた小説です。
著者は広島県出身の東川篤哉さんです。他の著書に「謎解きはディナーのあとで」があります。
本作品は2012年に「嵐」の大野智さんと、新垣結衣さんの主演でテレビドラマ化されています。
あらすじ
20歳の大学生、樽井翔太郎(たるい しょうたろう)は山口県の下関市で暮らしています。季節は7月、大学の夏休み中、日銭を求めてバイトを探していた翔太郎は、卒業生の先輩である甲本一樹(こうもと かずき)の口車に乗り、先輩と一緒に軽トラでたこ焼きを売る仕事を始めました。真夏のクソ暑い時期に鉄板の前でたこ焼きを売る仕事、やってらるか、と根をあげて仕事を放り出した甲本先輩、翔太郎は体よく1人で屋台を任されることになります。
下関で客足に伸び悩んでいた翔太郎は、福岡県の門司まで遠征することにします。翔太郎にとってアウェーの地でしたが、観光客で賑わう門司での商売は順調となるはずでした。しかし、翔太郎にとって運命を変える出来事が起きます。
昼食を終えて屋台に戻ろうとした翔太郎、その途中に女性の悲鳴が聞こえます。サングラスをかけた2人の男から逃げているセーラー服姿の少女が彼に助けを求めてきました。
翔太郎は奇襲攻撃で男2人から彼女を守り、その場から彼女と一緒に逃げることに成功します。
落ち着いたころ、翔太郎は彼女に経緯を尋ねます。彼女の名前は花園絵里香(はなぞの えりか)、門司でシノギを得る暴力団の組長の娘で、彼女を追いかけていた2人はその構成員でした。
そして、事の成り行きから翔太郎は暴力団を相手に、絵里香の協力を得て狂言誘拐を試みることになります__
感想
下関と門司を舞台に、男子大学生と女子高校生が夏休みに暴力団相手に狂言誘拐を試みるという青春とサスペンス、そしてミステリー要素を楽しめる作品です。
軽快な会話のやり取りがコミカルで、話のテンポもよいため読みやすい作品だと思います。その分、強く印象に残る人物や展開、ギミックがないのが少し残念でもあります。
個人的には後日譚が見たかったなという気持ちが強いです。翔太郎にとっても花園組にとっても、少しやっかいな宿題が残っているように感じてしまいました。
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