カラ売り屋(からうりや)
著者名:黒木亮(くろき りょう)
出版社:講談社
発売日:2007/2(2009/3)
ジャンル:金融、サスペンス
「カラ売り屋」は株式・金融市場、政治、企業に関する金と人を描いた短編集です。
著者は北海道出身、「巨大投資銀行」や「冬の喝采」の黒木亮さんです。黒木さんは銀行や証券会社で国内外問わず活躍されていました。さらに、学生時代に箱根駅伝に出走したこともある経歴の持ち主です。
本作品には表題作を含む、「村おこし屋」、「エマージング屋」、「再生屋」の4編の短編作品が収録されています。
あらすじ
北川靖はカラ売り専門の投資会社「パンゲア&カンパニー」に所属しています。その会社は5年前に彼が同僚2人と一緒に立ち上げた会社です。3人で持ち寄った30万ドルのタネ銭をもとに、ブルックリンの古い一室からビジネスを始めました。何度かの倒産の危機を乗り越え、すでに資本は500万ドル以上になり、会社もミッドタウンに移転しました。投資家たちからの委託資金も8,000万ドルに達しています。北川は一人暮らしをしています。もともとは日本で宮勤めしていました。都立高校の教師をしている妻と小学3年生の娘を日本に置いてニューヨークに渡りました。パンゲア社の資本が1千万を超え、確実に食べていける目処がたったときに家族を呼び寄せることを目標にしています。
そんな折、北川の情報筋から、ある日本の企業に関する情報が寄せられます。東証2部の昭和土木工業という会社に関して、決算が赤字でキャッシュフローがマイナスだという情報です。
北川は徹底的にその会社を調べようとします。そして、その会社が取り組んでいる西アフリカのとあるプロジェクトに目をつけることになります__
感想
複数の題材を取り上げた短編金融小説です。仕事小説としても面白いです。
短編ということもあって、格別にストーリーが面白かった、抜群に印象に残った登場人物がいた、というわけではなかったのですが、どの作品も知らなかった世界の一幕を覗けるという点で満足度が高いです。
「エマージング屋」に関しては専門用語についていけなくなる場面がありましたが、本作品が1番印象に残りました。著者の経験談と脚色のバランスがもっとも心地よいと感じました。「カラ売り屋」や「再生屋」は相対的には身近に感じられる作品かなと思います。
長編作品も読んでみたいです。
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