映画 ~ 静かなる復讐 ~




静かなる復讐(しずかなるふくしゅう)
原題:Tarde para la ira
英題:The Fury of a Patient Man
配給:(クロックワークス)
監督:ラウール・アレバロ(Pedro Almodóvar)
脚本:ラウール・アレバロ、デイビット・プリード(Agustín Almodóvar)
出演:アントニオ・デ・ラ・トーレ(Antonio de la Torre)
公開日:2016/9(2017/8)
ジャンル:サスペンス




「静かなる復讐」は宝石店強盗で服役する夫を待つ女性、彼女が働くバーに風変わりな男性が尋ねてきたことから始まる復讐劇を描いたサスペンス映画です。

監督はスペイン出身、「マーシュランド」等、俳優としても活躍されているラウール・アレバロさん、脚本はラウール・アレバロさんとデイビット・プリードさんの共同脚本です。

主人公の男性をスペイン出身、「ボルベール〈帰郷〉」や「チェ 39歳 別れの手紙」に出演されているアントニオ・デ・ラ・トーレさんが演じています。

他にも、夫を待つ女性役にルース・ディアスさんが、強盗の罪で服役中の男性役にルイス・カジェホさんが出演されています。

本作品は2017年のゴヤ賞で、作品賞、脚本賞、新人監督賞、助演男優賞の計4部門を受賞しています。



あらすじ


車中に挙動不審な男、クーロ(ルイス・カジェホ)はしきりに路上の様子を気にしています。

目だし帽の男が助手席に乗り込んできます。もたもたするなと急かされます。しかし、車は発進してくれません。助手席にいた男は車から出て街中へと飛び出していきます。クーロはやっとの思いで車を発進させますが、警察車両に追われます。

必死で逃走するクーロ、しかし、逃走中に横から他の車両に追突されてしまいます。車から這い出るクーロ、結局、彼は取り押さえられてしまいます__



アナ(ルース・ディアス)は服役中のクーロを待っています。もうすぐ8年が経過しようとしています。その間に子供も授かりました。現在は兄のファンホ(ラウール・ヒメネス)が店主の場末のバーで働いています。ファンホの店では客同士でギャンブルをすることもあります。

クーロとは夫婦面会も許可されているため、会えば情事を交わす仲です。ただし、機嫌が悪くてかんしゃくを起こすこともあります。

あるとき、ファンホのお店に風変わりな男が客としてやってきます。ホセ(アントニオ・デ・ラ・トーレ)と名乗る男はあまり笑みを浮かべることがありませんが、店主のファンホと仲良くなります。

ホセはよく病院に通っていて、夜はパソコンで何かを操作しています。病院では呼吸器をつけて重態のある患者の見舞いにやってきています。手を握り何かを考えているようです。

そんな折、ついにクーロが出所してきます__



感想


復讐をテーマにしたサスペンス作品です。市井の男の内側に宿る怒りが沸々と感じられます。最初の復讐シーンは、邦題のような「静か」とは無縁のシーンでしたが、普通の市民がいかに辛抱を重ねてきたのか、鬼気迫るものが感じられました。

笑みをあまり見せず、黙々と自身の目的のために行動していく主人公は若干のハードボイルド要素があります。復讐劇の被害者の顛末を見せたり、見せなかったりする演出も個人的にはよかったです。どちらでも解釈が可能です。

個人的にはクーロの行動やタイミング次第で簡単に破綻すると感じた点が気になりました。派手さはありませんが、コンパクトにまとめられている点がよかったです。









コメント