メランコリック
配給:アップリンク、神宮前プロデュース、One Goose
監督:田中征爾(たなか せいじ)
脚本:田中征爾
出演:皆川暢二(みながわ ようじ)、磯崎義知(いそざき よしとも)
公開日:2019/8
ジャンル:ヒューマン
「メランコリック」は、高学歴大卒ニートの銭湯での非日常的な出来事を描いた作品です。彼はたまたま訪れた銭湯で働くことになるのですが、そこは営業時間外に殺人現場として貸し出されている場所でした。彼はうっかりその現場を目撃してしまいます。
監督・脚本は福岡県出身の田中征爾さんです。本作品でウディネ・ファーイースト映画祭の新人監督に贈られるホワイトマルベリー賞を受賞されています。
東大卒のニート役を神奈川県出身の皆川暢二さんが演じています。皆川さんが本作品のプロデューサーも兼任しており、映画製作チーム「One Goose」の発起人でもあります。
主人公と同じタイミングで働くことになる同僚役を鹿児島県出身、ドラマ「半沢直樹イヤー記念・エピソードゼロ」等に出演されている磯崎義知さんが演じています。
他にも、吉田芽吹さん、羽田真さん、矢田政伸さんといった方々が出演されています。
あらすじ
路上でスマホをいじるひげ面の男(蒲池貴範)、そこに車が近づいてきます。彼は後部座席に乗り込むと、先にいた男(矢田政伸)から、持ってきた?と尋ねられます。
彼は左ポケットから物を取り出し、それを渡します。まぜもんを売りさばいている噂を聞いたと、彼は警告のような問いかけを受けます。彼はその噂を否定し、その場から離れようとします。しかし、彼は拉致られてしまいます。
気づくと、彼は銭湯にいました。目の前に男がいて、右手には刃物があるのが見え__
鍋岡和彦(なべしま かずひこ/皆川暢二)は東大卒実家暮らしの30歳フリーターです。家族3人の食事のさいには母親(新海ひろ子)がそれとなく求人情報の話を持ち出し、父親(山下ケイジ)が優しく様子を伺う感じです。
ある日、和彦が部屋でスマホをいじっていると、母親が顔を出してきて、お風呂のお湯を抜いてしまったと言ってきます。和彦は近所にある銭湯「松の湯」に行くことにします。
風呂上りにジュースを飲んでいると、後ろから、鍋岡君?、と声をかけられます。そこには高校時代の同級生の副島百合(そえじま ゆり/ 吉田芽吹)がいました。
偶然の再会に喜ぶ副島、彼女はたまに広いお風呂に入りたくなるという理由で「松の湯」にちょこちょこと来ているようです。
同窓会に誘われた和彦、後日、彼は再び副島と会話し、現在定職に就いていないことを打ち明けます。すると、「松の湯」で従業員を募集していたみたいだから働いてみたらと彼女から提案されます。
そして和彦は「松の湯」のオーナー、東(ひがし/羽田真)の面接を受け、同じタイミングで応募してきた松本(磯崎義知)、先輩の小寺(浜谷康幸)と働くことになります。
その銭湯に隠された秘密があることを知らずに__
感想
大卒ニートで代わり映えのない日常を過ごしていた男性が、突如として非日常的な殺人に関与することになってしまう作品です。銭湯を舞台にして。人の命を奪うことを題材にしているわりには予想よりも展開がスローでした。これは家族の食事や同僚とのじゃれあい、不慣れな異性との会話といった微笑ましい日常的なシーンを多く描いているためだと思います。いつ何が起こるのか、手のひらが返されるのか、観賞中の高揚感を高めてくれました。
個人的には予告を観ずに(忘れたころに)観賞するのをお勧めしたいです。そのほうが登場人物に驚きと愛着が持てるような気がしました。
後始末や警察の仕事っぷり、銭湯のボイラーの力といった細かい部分で気になる点はあったのですが、とても満足できる作品であり、製作チームに感銘を受けました。
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