映画 ~ あの日のオルガン ~




あの日のオルガン(あのひのおるがん)
配給:Mancy's Entertainment
監督:平松恵美子(ひらまつ えみこ)
脚本:平松恵美子
出演:戸田恵梨香(とだ えりか)、大原櫻子(おおはら さくらこ)
公開日:2019/2
ジャンル:ヒューマン






「あの日のオルガン」は、太平洋戦時下の日本、園児たちを安全な場所に疎開させることを計画した保育士たちの物語です。

監督・脚本は岡山県出身、「ひまわりと子犬の7日間」の監督や、「たそがれ清兵衛」の助監督の平松恵美子さんです。

疎開保育園の発案者でありリーダーの保育士役を兵庫県出身、「LIAR GAME The Final Stage」やドラマ「スカーレット」に出演されている戸田恵梨香さんが演じています。

半人前だけれども爛漫で音楽好きな保育士役を東京都出身、「カノジョは嘘を愛しすぎてる」やドラマ「びしょ濡れ探偵 水野羽衣」に出演されている大原櫻子さんが演じています。

他にも、夏川結衣さん、田中直樹さん、橋爪功さんといった方々が出演されています。

本作品は久保つぎこ さんのノンフィクション「あの日のオルガン 疎開保育園物語」を原案としています。



あらすじ


頭巾をかぶった子供たちの歓声、防空壕の中で影絵紙芝居が開催されています。ここ、戸越(とごし)保育所では戦争を嘆きながらも、文化的な生活を大切にしたいという想いのもと、子供たちの豊かな感性を育む保育を目指しています。

保母の一人、板倉楓(いたくら かえで/戸田恵梨香)は、保育所内で戸越保育所の怒りの乙女と称される、リーダー的な存在です。戦争の足音が近づいてくることを恐れ、疎開保育を提案しています。

楓は主任保育士(夏川結衣)から遠縁にあたる保育士、野々宮光枝(ののみや みつえ/大原櫻子)を紹介されます。光枝は半人前ですが、天真爛漫な性格の音楽が好きな若き保母として期待されているようです。

そこへ戸越保育所の所長である脇本滋(わきもと しげる/田中直樹)先生が帰ってきます。脇本先生は疎開保育の必要性を周囲に訴えていますが、トンチンカンな返答ばかりで話が一向に進んでいないようです。

すると、警報が鳴り響き、先生たちは子供たちを連れて避難します。教室には誰もいなくなり、部屋の真ん中には1台のオルガンが取り残されています。


後日、保護者向けの疎開保育所の説明会が開催されます。保護者からは絶対反対との声が多いです。母親の気持ちなんてわからないんだ、という心のない声も聞こえます。

一方で近縁者が空襲の被害にあったということで、疎開を希望する保護者も中にはいます。空襲は人を選ばない、そばにいる必要があるのは大人の我侭であり、生きているほうがずっといいと考えてくれる保護者たちもいました。

声援を受けて、ますます疎開に向けて準備を進めたい保育士たちでしたが、どこに疎開するのか、空いている建物などあるのか、食料がわけてもらえるのか、問題がたくさんあり不安が募ります。

そうした中、脇本先生が遂に、南埼玉郡の平野村で疎開保育所が用意できるという話をまとめてくれます。蒸気機関車で下見に行く保育士たち、しかし、そこはひどいボロ寺でした。

そして、11月24日にB29による初めての東京空襲が行われた翌日、保育士たちは子供たちを連れて埼玉のほうに疎開することにします。人の子を預かるという重責とともに、豊かな文化的な生活の中で子供たちを守るために__



感想

戦時の市井の保育所に焦点を当てた作品です。ノンフィクションが原作ということで当時の厳しさを目の当たりする一方で、当時も今も変わらないものも描かれています。

子はかすがい、と夫婦に使用される言葉がありますが、この作品を観ていると、時代関係なく、人と人を繋ぐかすがいの役割を子供たちが果たしているように思います。

現代には現代の育児の問題がありますが、当時は物資が不足している中で、いかに子供の面倒を見ることが大変なことかわかります。そして保育士さんがいつの時代も大変な責務を果たしていて、感謝したい存在であると感じました。

主演の二人が目立っていましたが(みっちゃん先生は可愛かったです)、佐久間由衣さんや堀田真由さんといった、他の保育士を演じた方も印象的な方が多かったです。試練が多すぎて上映時間が少し長いかなと観賞中は感じていましたが、最後まで観賞していい作品だと感じました。



この光景を覚えておこう
今日聞いたのは警報じゃなくて
みっちゃんの弾くオルガンと
子供たちの歌声だけ



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