小説 ~ 噂 ~




噂(うわさ)
著者名:荻原浩(おぎわら ひろし)
出版社:講談社(新潮社)
発売日:2001/2(2006/2)
ジャンル:警察、サスペンス





「噂」は新発売される香水の新ブランドのマーケティング戦略で広がった殺人鬼の噂、それを模倣した殺人事件と事件を追う刑事を描いた作品です。

著者は埼玉県出身の荻原浩さんです。他の著書に小説すばる新人賞を受賞した「オロロ畑でつかまえて」や山本周五郎賞を受賞した「明日の記憶」があります。



あらすじ

夜中の12時過ぎに碑文谷公園にいくと、真っ黒いコート姿のレインマンが現れて女の子をさらっていく、そして、女の子の両足を足首から切っていく、ただし、ミリエルの香水をつけていると狙われない__

広告代理店である東京エージェンシーの加藤と西崎、コンサルティング会社COMSITE(コムサイト)の杖村(つえむら)社長とマネージャーの麻生(あそう)、新しい香水ブランド「ミリエル」のキャンペーンとして2社が口コミを利用した販売戦略は、レインマインという都市伝説を用いる方法でした。

その効果は予想以上であり、導入期の売り上げ目標を150%達成しました。しかし、目黒区と品川区にまたがる林試の森で、若い女性の遺体が発見されます。その遺体は額に赤い塗料で文字が描かれており、そして、足首から先がない状態でした。

警視庁目黒署刑事課に勤める小暮巡査部長が当該事件の捜査に加わります。小暮は妻に先立たれ、一人娘の高校生、菜摘(なつみ)と暮らしています。不規則な勤務体系の小暮は菜摘との時間を作るために異動申請も考えています。

そんな小暮と捜査パートナーとなったのは、小暮より一階級上の警部補であり、小暮よりはるかに若い、名島(なじま)警部補でした。

二人は被害者の交友関係から捜査に乗り出します__



感想


仕事と家庭の狭間で苦労する刑事、年齢は下で階級が上の相棒、口コミという若い世代の拡散力が捜査アプローチ、といった部分が魅力的でスムーズに読み進められました。

20年近く前の作品であり、ところどころ出現する言葉や技術に時代は感じますが、噂や口コミといった拡散力の恐ろしさや家庭間の問題、仕事への姿勢と、共感しやすい事柄もたくさんあります。

ミステリーの要素としては犯人特定の決定打を中心に少し物足りない部分があります。また、最後の展開も個人的には合いませんでした。途中の伏線がもっと必要ではと、違和感を覚えます。








 

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