映画 ~ 新聞記者 ~




新聞記者(しんぶんきしゃ)
配給:スターサンズ、イオンエンターテイメント
監督:藤井道人(ふじい みちひと)
脚本:藤井道人、詩森ろば(しもり ろば)、高石明彦(たかいし あきひこ)
出演:シム・ウンギョン、松坂桃李(まつざか とおり)
公開日:2019/6
ジャンル:サスペンス





「新聞記者」は真のジャーナリストと呼ばれた父を持つ新聞記者と、自身の仕事内容に疑念を抱く内閣情報調査室のエリート官僚が、内閣府が絡む事件を追う社会派サスペンス映画です。

監督は東京都出身の藤井道人さんです。他の監督作品に「オー!ファーザー」、「デイアンドナイト」があります。

脚本は藤井道人さん、詩森ろば さん、高石明彦さんの共同脚本です。詩森ろばさんは宮城県出身で、劇団「風琴工房」を旗揚げし脚本と演出を担当されています。高石明彦さんは映画「4月の君、スピカ。」やテレビドラマ「教場」のプロデュースを担当されています。

主人公の女性新聞記者役を、韓国出身でドラマ「のだめカンタービレ 〜ネイル カンタービレ」や映画「怪しい彼女」に出演されているシム・ウンギョンさんが演じています。

もう一人の主人公のエリート官僚役を、神奈川県出身で映画「彼女がその名を知らない鳥たち」や「蜜蜂と遠雷」に出演されている松坂桃李さんが演じています。

その他、本田翼さん、西田尚美さん、田中哲司さんといった方々が出演されています。

本作品は望月衣塑子さんのノンフィクションを原案としています。日本アカデミー賞の優秀作品賞等を受賞しています。



あらすじ


2月20日、午前2時過ぎ、都会の夜、記者である吉岡(シム・ウンギョン)は自宅で作業をしていました。テレビにはメディアの問題点に焦点を当てた番組が放送されています。

吉岡の父は日米で活躍した真のジャーナリストでした。しかし、とある事件が原因で彼はすでに亡くなっています。知人からは日本のメディアに殺されたと言われています。吉岡は現在、上司の陣野(北村有起哉)の指揮下で、同僚の倉持(岡山天音)らと東都新聞で働いています。現在は財務省の汚職を追いかけています。


同時刻、内閣情報調査室では、杉原(松坂桃李)がある報告を待っています。そばでは、吉岡が見ているのと同じテレビ番組が映っています。

そこに公安からの報告が到着します。それは不正入学で辞めた白岩局長と野党議員との不適切な関係を写した写真でした。反逆者は殺せ、それは内閣府に都合の悪い人物を葬るための仕事でした。翌日には全国紙でいっせいに報じられることとなります。

杉原は内閣情報調査室で働く官僚です。外務省から異動したエリートです。妻の奈津美(本田翼)と暮らしています。奈津美は妊娠しており、近々に女の子を出産予定です。

日々の業務は暗い部屋で何台も並ぶパソコンの前で情報操作を行っています。上司の多田(田中哲司)いわく、マスコミの情報捜査への対抗措置だということです。

直近の案件は、官邸の総理御用達のライターが起こした事件の被害者を悪者にしようとすることです。民間人に対してここまでする必要があるのかと疑問を問いかける杉原に対して、これも国を守るための大事な仕事だと、多田は答えます。

妻のそばにいたいという気持ち、自身の仕事の意味に関して悩む気持ち、それらを抱えていた杉原のもとに、電話がかかってきます。それは外務省時代に杉原がお世話になった上司の神崎(高橋和也)からでした__


一方で、東都新聞社には匿名のFAXが送られてきていました。穴が開いているように目が黒く塗りつぶされた羊の絵の表紙、そこには新潟県の特区に新設される大学院の情報がリークされていました。

吉岡は陣野から情報元とその内容を調査するように命じられます__



感想


自身のジャーナリズム精神に則って行動する新聞記者と、国のための仕事の意味に疑念を抱く官僚が、国家権力と対峙する重たい作品です。

国家という強大な権力に恐怖を感じるのは、警察の闇を描いた「ポチの告白」以来でした。ただし、さすがに国家機密といえども、あんなにも暗い部屋で黙々とPCで何人もが作業をする様子は荒唐無稽な気がしました。

主役の2人とそれぞれの上司がいい作品を作り上げていたように思います。また、全体的に間の取り方が印象的なシーンがありました。表情の微妙な変遷が登場人物の内心を表していたように感じました。

こういった政治や国の負の側面を描いた作品がもっと増えてもいいと思います。フィクションなのですから。



誰よりも
自分を信じ
疑え


ウソか本当かを決めるのはお前じゃない
国民だ





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