映画 ~ グリーンブック ~




グリーンブック
原題:Green Book
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ(ギャガ)
監督:ピーター・ファレリー(Peter Farrelly)
脚本:ピーター・ファレリー、ニック・バレロンガ(Nick Vallelonga)、ブライアン・カリー(Brian Currie)
出演:ヴィゴ・モーテンセン(Viggo Mortensen)、マハーシャラ・アリ(Mahershala Ali)
公開日:2018/11(2019/3)
ジャンル:ドラマ




「グリーンブック」は、ジャマイカ系移民を系譜とする著名なピアニストと、彼に雇われた口達者なドライバーが、20世紀中期の人種差別が色濃く残るアメリカ南部へ演奏ツアーを旅する映画です。

1960年に実際にあったコンサートツアーに参加した主役2人のインタビュー、作中にも登場している手紙をベースに本作品は製作されています。

監督はアメリカ出身、「メリーに首ったけ」、「愛しのローズマリー」のピーター・ファレリーさんです。

脚本はピーター・ファレリーさんとニック・バレロンガさん、ブライアン・カリーさんの共同脚本です。ニック・バレロンガさんは本作品の主人公の一人、トニー・リップの息子です。「プロフェッショナル」、「ダブルクロス/陰謀」の監督も務めています。

主人公の運転手役をアメリカ出身、「ロード・オブ・ザ・リング」、「ザ・ロード」に出演されているヴィゴ・モーテンセンさんが演じています。

主人公のピアニスト役をアメリカ出身、「ムーンライト」、ドラマ「4400 未知からの生還者」に出演されているマハーシャラ・アリさんが演じています。



あらすじ


1962年のニューヨーク、これは事実に基づいた物語です。

ナイトクラブ「コパカバーナ」で従業員を務めるトニー・ヴァレロンガ(ヴィゴ・モーテンセン)、彼は口と喧嘩が達者です。話術が長けていることからトニー・リップの愛称をもち、腕に覚えがあることから店内での客の揉め事には彼が駆り出されます。

また、トニーは抜け目ない性格をしています。チップをはずんでくれそうな客に取り入ることもうまく、路上駐車をするときにはちゃっかりとゴミ箱を利用して消火栓を隠します。

トニーには妻のドロレス(リンダ・カーデリーニ)と二人の子供がいます。トニーはイタリア系アメリカ人であり、義父をはじめとして家族を大切にしていて、トニーの家には多くの親戚が集まります。

黒人の作業員がトニーの家に来るということを口実に、親戚が集まりテレビで野球観戦をすることもあります。ドロレスには黒人に対する偏見はないようですが、親戚も含めトニーにも差別意識が少しあります。ドロレスが作業員に飲み物を出した際に使用したガラスコップを、トニーはこっそりとゴミ箱に投げ捨てています。ドロレスはトニーのそんな一面は理解できないようです。


ある日、コパカバーナが改装のため閉店するということで、トニーをはじめとする従業員が職を失うことになります。

トニーは休職中に近所の飲食店で早食い競争をして賞金を勝ち得てドロレスに渡したりしますが、次の職を見つける必要がありました。

トニーは以前、衛生局に勤めていましたが、局長を殴って首になっていました。親戚は今でもその話を持ち出し、もったいないと伝えます。

そんな折、劇場の上にある診療所にいるドクターが運転手を探しているとトニーは耳にします。彼は昼過ぎに面接会場であるカーネギー・ホールに向かいます。

案内された部屋には珍しい調度品やアンティーク、そして立派なピアノが置いてあります。ドクターと聞いて医者を想像していたトニーですが、そこにいたのは黒人のピアニストでした。彼はドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)と名乗り、コンサートツアーでアメリカ南部を周るために雑用係を兼ねた運転手を募集しているようです。

週100ドル、宿代と食事代が別という報酬はトニーにとって魅力的な条件でしたが、8週間家を離れなければならない点、そして、黒人相手に雑用までする気はトニーにはありませんでした。

しかし、レコード会社に調査を依頼し、トラブル解決役としてトニーをかっていたシャーリーが、トニーが要求する報酬の上乗せと、妻のドロレスに電話で仁義を通したことで、トニーは運転手役を引き受けることにします。

出発の当日、トニーがシャーリーから渡されたのは、旅程表と、南部を旅する黒人のためのガイドブックであるグリーンブックでした__



感想


水と油な関係の2人が行動を共にすることでお互いを認め合うことになる、ある種の王道バディ作品です。

本作品では人種差別という社会問題をテーマとして、それに関連するアイテムを作品のタイトルにしていますが、本作品の1番の魅力は、主役2人の会話のやり取りだと思います。

口達者で権力にも反抗的な態度をとることのある主人公は、ハードボイルドな魅力が感じられます。

全体を通して印象的な台詞も多いです。それが最後の展開に活かされていたりと、序盤から終盤まで楽しめます。

社会問題を扱っているからと構えて観賞する必要はなく、2人のロードムービーとして楽しめる作品です。



寂しいときは
自分から先に手を打たなきゃ

才能だけでは十分じゃないんだ
勇気が人の心を変える




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