映画 ~ ブラック・クランズマン ~




ブラック・クランズマン
原題:BlacKkKlansman
配給:フォーカス・フィーチャーズ(パルコ)
監督:スパイク・リー(Spike Lee)
脚本:スパイク・リー、デビッド・ラビノウィッツ(David Rabinowitz)、ケヴィン・ウィルモット(Kevin Willmott)
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン(John David Washington)、アダム・ドライバー(Adam Driver)
公開日:2018/8(2019/3)
ジャンル:サスペンス




「ブラック・クランズマン」は、1970年代の人種差別の意識が色濃く残るアメリカ、黒人の警察官とユダヤ系の白人警察官が協力する、人種主義団体へ潜入捜査を取り上げたサスペンス映画です。

ロン・ストールワースさんのノンフィクション小説「ブラック・クランズマン」を原作とした伝記犯罪映画となっています。

監督はアメリカ出身、「マルコムX」、「サマー・オブ・サム」のスパイク・リーさんです。

脚本はスパイク・リーさんとデビッド・ラビノウィッツさん、ケヴィン・ウィルモットさんの共同脚本です。

主人公の黒人警官役をアメリカ出身、元アメフト選手であり、デンゼル・ワシントンの長男であるジョン・デヴィッド・ワシントンさんが演じています。

相棒のユダヤ系白人警官役をアメリカ出身、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、「パターソン」に出演されているアダム・ドライバーさんが演じています。



あらすじ


たくさんの人が倒れている中、南部連合をお救いくださいとミード先生を探している女性、上空にはステイレンスバーナーの国旗がはためいています。風と共に去りぬの情景が映し出されます__

戦争終了後も争いは続いている、人種統合が蔓延する時代に我々は生きていると、ケネブルー・ボーリガード博士のクリップが映し出されます__

また別の映像、1957年8月25日アーカンソー州のブラウン判決、ユダヤ人に操られた最高裁が下した判決によって白人生徒が劣等人種との学習を強いられたと__

そして、ギング牧師の写真、マーティン・ルーサー・クーンとアカ軍団による公民権攻撃で白人プロテスタントの価値観は危機に陥ったと、大切な子供たちをネグロと一緒に?それを操るのは寄生虫のユダヤ人だと、陰謀だと__

人種差別、人種至上主義、この映画は実際の話をベースにしています__



警察募集の案内、そこにはマイノリティ歓迎と書かれています。アフロヘアの黒人、ロン・ストールワース(ジョン・デヴィッド・ワシントン)がそれを見て、コロラドスプリングス警察へ面接に向かいます。

ロンは面接で、ベトナム戦争、異性、夜遊び、酒、薬物のことを質問されます。ロンの返答に、ソウル・ブラザーにしては珍しいと面接官が言います。ロンは父親が軍人だったからしっかりと育ったと答えます。

質問の最後で、他の警官にニガーと呼ばれたら?と飛んできます。ロンが採用された場合に初めての黒人警官となり、ジャッキー・ロビンソンとまったく同じ状況が待っているだろうと言われます。必要とあれば我慢しますと、ロンは答え、彼は無事に警官になります。


ロンは資料室での勤務となりました。一部の同僚からは黒人であることで蔑称で呼ばれることもあります。ロンはトラップ署長に直談判に向かいます。資料室が嫌だから潜入捜査官でも何でもやりますと。

ある朝、夜勤明けのロンが寝ていると、署長から電話がかかってきてます。12時ちょうどに麻薬課に来いと署長はロンに伝えます。やや遅刻して署長室に到着したロン、そこには署長の他に二人の同僚が待っていました。

所長室には同僚が2人待っていました。フリップ・ジマーマン(アダム・ドライバー)とジミー・クリーク(マイケル・ブシェミ)です。ロンが呼ばれた理由は、黒人が集まる集会、ブラックパンサー党の元最高幹部のストークリー・カーマイケル(コーリー・ホーキンズ)の演説会への潜入を命じるものでした。

ロンは同僚から隠しマイクを装着してもらい、マリファナや銃を出されたときの対処法を助言されます。

集会に出向くとクワメトゥーレに改名したカーマイケルが熱心に演説し、参加者の敵愾心を煽ります。ロンはそこで団体の代表を務める一人の黒人女性、パトリス(ローラ・ハリアー)に出会います。ロンは彼女に惹かれますが、自身の身分は明かせません。


黒人集会への潜入後、事務所で勤務していたロンはとある新聞広告が目に留まります。ロンはそこに記載してあった連絡先に電話をし、得意の話術で自身が強烈な白人至上主義者であることアピールし、相手に取り入り、そして、その団体の集まりに参加することになります。

その団体とは白人至上主義団体の「クー・クラックス・クラン(KKK)」です。黒人のため参加できないロンに代わって、同僚のフリップがそこへ潜入することになります__



感想


人種差別を色濃く取り扱ったサスペンス映画です。黒人と白人が目的のために協力して、互いを認め合うという点では、公開時期が近かったということもあり、「グリーンブック」と共通しています。

本作品のメッセージの強さは、社会の根底にある差別意識です。メインストーリーは20世紀中盤を描いていますが、本作品の終盤には2017年にバージニア州で実際に発生した事件のドキュメンタリーが含まれており、今なお続く社会問題であることが示唆されています。

人種に限らない話ですが、権力を持つ、団体を結成する、ということが一歩間違えれば恐ろしい力を持つということを認識させられます。

物語としては少し印象が薄い部分があります。人種差別を脇に置けば、潜入捜査というスリルの部分はそこまで強く描かれていない印象です。これは人種差別の部分に強いメッセージ性を持たせる意図もあると思っています。

何より、主人公が電話担当で相棒がリスクの大きい潜入捜査担当ではバランスが釣りあっていないように感じました。もちろん、それは差別ではないのでしょうが。







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