『ラ』
配給:アークエンタテインメント
監督:高橋朋広(たかはし ともひろ)
脚本:高橋朋広
出演:桜田通(さくらだ どおり)、福田麻由子(ふくだ まゆこ)、笠松将(かさまつ しょう)
公開日:2019/4
ジャンル:ヒューマン
「『ラ』」は彼女と同棲しながらバンドの再結成に奔走するヒモ男を描いた作品です。
監督・脚本は埼玉県出身で、「それでも、お父さん」や「サンタはみんなに殺された。」等の監督作品を持つ高橋朋広さんです。
1年前に解散したバンドのボーカル役を、東京都出身でミュージカル「テニスの王子様」や映画「劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン」等に出演されている桜田通さんが演じています。
主人公を支える彼女役を、東京都出身でテレビドラマ「女王の教室」や映画「犬と私の10の約束」等に出演されている福田麻由子さんが演じています。
元バンドメンバーで主人公が復帰を願う友人役を、愛知県出身で映画「響 -HIBIKI-」や「デメキン」等に出演されている笠松将さんが演じています。
他にも、佐津川愛美さん、ダンカンさん、清水尚弥さんといった方が出演されています。
音楽をクボナオキさんが担当し、エンディング主題歌をSILENT SIRENさんが担当しています。
あらすじ
岡浜慎平(桜田通)はバンドのボーカルを担当していました。バンドは1年前に解散しています。満員の観客の前でライブをした実績もありますが、現在は一人で練習を続けています。
その日も、元メンバーがスタッフをしているスタジオで練習をしていましたが、気づけば時間だけが経過していました。スタジオを出た慎平は自転車で次の目的地である居酒屋に向かいます。
居酒屋には、バンドの柱だった黒須彰太(クロヤン/笠松将)が待っていました。久しぶりと言葉を交わしただけで、テーブルの上にはすでに料理が並び、クロヤンはそれを写真に収めることに夢中で慎平はどこか空気です。
インスタでもしているのかと慎平はクロヤンに尋ねます。飲食店探すアプリに1枚20円で売れると、クロヤンは答えます。慎平はバンドの再開を持ちかけますが、クロヤンは無駄なことはやめろとタバコをふかしながら答えます。
クロヤンはとある場所で働く予定があるということです。慎平がどんな仕事か尋ねたところ、うまくいけば1日で300万円稼げる仕事だと返ってきます。サラリーマンなんてやってられないと。
そこに偶然居合わせた一人の男が声をかけてきます。その男は通称ダビデと呼ばれていた、高校時代の同級生ヨシダでした。二人はヨシダのことを思い出せませんでしたが、三人で飲みなおすことになり、店を変えようとします。
慎平は持ち合わせを増やすために、彼女である加瀬ゆかり(福田麻由子)に連絡し、駅前で待ち合わせします。
慎平が待ち合わせ場所に到着すると、ゆかりは白いコート姿ですでに待っていました。慎平に財布を差し出すゆかり、慎平はそこから2万円を抜き取ります。
ゆかりの母親はすでに亡くなっていて、慎平は今、ゆかりの家で生活しています。いわゆるヒモ男です。
二人には約束がありました。それはゆかりがお金を貸すたびに、ゆかりが用意したスタンプラリーに慎平が指印をするというものです。マイルストーンには過去に達成した「デートをする」といった目的が設定されていています。今回2つ進んだことで、次の目的まであと1つとなりました。次の目的地は「結婚」です。
ゆかりと別れた慎平はクロヤンとダビデに合流します。ダビデが資産運用の話をし、クロヤンがそれに食いついていました。店から出た三人、クロヤンが離れている間、慎平はダビデと話します。
ダビデは二人分もおごると、高校時代に憧れていた二人と飲めて楽しかったといいます。ダビデは今は資産運用だけでなくリスク回避もかねてラブホを経営しているようです。何かあったら連絡してよと、連絡先を書いたホテルのアメニティを慎平は受け取ります。ダビデは送迎の車でその場から離れます。
残った二人は朝焼け間近の夜の道を歩きます。クロヤンはダビデのことを話します。ちんこ丸出しでいじめられていたからダビデと名づけた、蔑称だったのに大逆転したと、いつからこうなっちゃったんだろうな、と。
慎平は言います、バンドがこうなったのは俺のせいだよねと__
感想
夢と現実の狭間で揺れるモラトリアムを描いた作品です。邦画のモラトリアムといえば、目的もなく、閉塞的な空気が漂う中で物語が進行していく作品が多い印象がありますが、本作品の主人公には明確な目標があり、比較的前向きな作品と思います。
主人公とクロヤンのバンドの曲の歌詞と朝焼け空に行動する二人がリンクする点や、要所で存在感を放つ出演者の点が良かったです。
クロヤン目線で語られる作品のほうが観たいかなと思いました。主人公目線では、大きく進展している事柄もあるのですが、それ以上に中途半端な事柄が多すぎる印象です。あまりにも無責任な主人公の存在が個人的に合いませんでした。利己的な主人公と献身的な彼女の対比は良かったのですが、同列で扱われるシーンには違和感を覚えます。
あのね
赤ちゃんが生まれるときの産声ってね
みーんな『ラ』の音なんだって
世界中そうなんだよ すごくない
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