映画 ~ カノン ~




カノン
配給:KADOKAWA
監督:雑賀俊郎(さいが としろう)
脚本:登坂恵里香(とさか えりか)
出演:比嘉愛未(ひが まなみ)、ミムラ、佐々木希(ささき のぞみ)
公開日:2016/10
ジャンル:ヒューマン





「カノン」は北陸を舞台に母と三姉妹による家族の再生を描いた作品です。東京、富山、石川で離れて暮らす三姉妹が、祖母の遺言から死んだと聞かされていた母が存命であることを知り、会いに行くことになります。

監督は福岡県出身、映画「リトル・マエストラ」や「新・麻雀放浪記」といった監督作品があり、メディア事業を扱う株式会社サーフ・エンターテイメントの社長もされている雑賀俊郎さんです。

脚本は群馬県出身、映画「チェスト!」の脚本や漫画「ロータス・ガーデン」等の漫画原作も担当されている登坂恵里香さんです。

主人公の次女役を、沖縄県出身で、テレビドラマ「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」や連続テレビ「どんど晴れ」等に出演されている比嘉愛未さんが演じています。

長女役はテレビドラマ「ビギナー」や映画「この胸いっぱいの愛を」のミムラ(美村里江)さん、三女役はWEBドラマ「雨が降ると君は優しい」や映画「天使の恋」の佐々木希さんが演じています。

その他に、母親役を鈴木保奈美さん、祖母役を多岐川裕美さん、次女の恋人役を桐山漣さん、長女の旦那役を長谷川朝晴さん、次女の恋人の母親役を古村比呂さんが演じています。

本作品は2017年9月に中国のアカデミー賞である金鶏百花映画祭の国際映画部門で、最優秀作品賞、監督賞、女優賞を受賞しています。



あらすじ


北陸新幹線の金沢駅に降り立つ一人の女性、岸本藍(比嘉愛未)は急いでいます。向かう先は臨時休業中の老舗料亭「月華楼」です。本日はそこで葬儀が営まれます。

7月9日、料亭の女将であった故人、岸本辰子(多岐川裕美)の最後のお別れです。彼女には三人の孫娘がいます。

長女の宮沢紫(ミムラ)は東京で専業主婦として、姉のサキと弟のリク、旦那(長谷川朝晴)と暮らしています。

次女の岸本藍は富山で教師をしています。結婚を意識した彼氏の小出聡(桐山漣)がいて、彼の母親(古村比呂)とも近々顔を合わせる予定です。

三女の岸本茜(佐々木希)は金沢で祖母の後を継いで若女将となる予定です。

祖母の死因は脳の血管に動脈瘤が発症したことでしたが、死期を悟っていた彼女は死後のことも準備していたようです。そして、顧問弁護士であるヤツハシから三姉妹に遺言状が渡されます。

その中には一通の手紙が含まれていました。その手紙には“許して下さい。あなた達のお母さんは生きています。”と書かれています。三姉妹はその内容に驚愕します。母はすでに他界していると祖母から聞かされていたためです。

三姉妹は手紙に記載されていた富山県魚津市にある施設「あんどの里」に向かいます。そこにいたのはアルコール性認知症にかかり、三姉妹のこともわからなくなっている母(鈴木保奈美)がいました。祖母は嘘をついていたのです。警察から連絡があったとき、三姉妹がお母さんのことで思い悩まないように、前を向いてしっかりと自分の道を歩けるように__



感想


親の認知症や家庭内のモラルハラスメント、男女間の問題と、社会的な問題と向き合いながら成長し変化している人々の様子を描いた作品です。観賞していて疲弊する場面も多くあります。

様々な問題を抱えている割には物語の起承転結はきれいにまとまっているように感じました。母親に対する印象が観賞しているうちに変化していきます。欅平や高台の町並みといった北陸の情景と挿入されるパッヘルベルの名曲も感慨深いです(少し北陸押しが気に障るときもありましたが)。

予想以上に登場人物の背景が詳細に描かれていて、人の孤独を訴えながらも他人との繋がりの愛おしさを訴えてくれる作品であり、当初の期待を超えてくれるいい作品でした。演じている俳優陣もそれぞれが個性的でよかったです。

それにしても本作品に登場する男性陣の一部は何と身勝手な存在であることか……







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