映画 ~ 蘇える金狼 ~



蘇える金狼(よみがえるきんろう)
配給:東映
監督:村川透(むらかわ とおる)
脚本:永原秀一(ながはら ひでいち)
出演:松田優作(まつだ ゆうさく)、風吹ジュン(ふぶき じゅん)
公開日:1979/8
ジャンル:アクション、サスペンス




「蘇える金狼」は、昼間は真面目なサラリーマン、裏では大きな野望を抱き、時には非合法な行為も厭わない男の壮大な計画を描いたクライムサスペンスアクション作品です。

監督は山形県出身で、「あぶない刑事」や「はみだし刑事情熱系」といった人気TVシリーズをはじめとする数多くの作品を監督した村川透さんです。

脚本は東京都出身で、「惑星大戦争」や「ゴジラ」等の作品も担当している永原秀一さんです。

主演は、テレビドラマ「太陽にほえろ!」でジーパン刑事として親しまれ、アクションスターと名高い松田優作さんです。

経理部長の愛人として主人公と関係を持つこととなる女性役を、数多くの映画、TVドラマ、CMの出演暦を持つ風吹ジュンさんが務めています。

本作品には他にも、千葉真一さんや岩城滉一さんが出演されています。

本作品は1962年から1964年にかけて連載された、大藪春彦さんの同名小説が原作となっています。



あらすじ


紙幣を数える銀行員、複数のアタッシュケースに次々と敷き詰められていく金、それを次々と運んでいくスーツの男たち、雨の中、ある者は傘をさし、ある者はレインコートと帽子で雨を凌ぎます。

白バイにまたがる白いヘルメット姿の男が離れたところからその様子を伺っています。

哲也は金を運んでいる一人の男に近づき、声をかけて呼び止めたかと思うと、次の瞬間、拳を突き出し、男を襲い拉致します。

人気のいないところまで移動した白バイの男は銃を取り出し、男に向かって発砲します。計3発を男の身体に撃ち込み、最後に手錠に1発、そして、金の入ったケースを奪っていきます。



東和油脂のオフィスの一室、眼鏡に髪をしっかりと整えたサラリーマン(朝倉哲也/松田優作)が働いています。

その日の朝に発生した共立銀行の1億円強盗事件が社内で話題になっています。同僚たちはその金の話の流れから、東和油脂社内の不正の噂話をしています。そこから出世の話へ、朝倉は周囲から期待されている一方、夜間大学出身の補欠ギリギリで入社したため、出世は望めないだろうと謙遜しています。

朝倉が仕事している中、上司が共立銀行の人間を連れてきて皆にお願いがあると言います。それは今朝発生した1億円強盗事件に関して、紙幣のナンバーを控えているため、もしその番号と同じ紙幣を見かけたら連絡くださいという内容でした。

上司と銀行の人間が朝倉の側を通り過ぎたとき、朝倉は足元にあったリンゴのダンボール箱を足で奥に押し込みます。

就業し、同僚と一緒に帰宅しようとする朝倉、会社の出入口で社長令嬢の絵里子(真行寺君枝)とすれ違います。朝倉は立ち止まって彼女をじっと睨みつけていました。


とあるボクシングジム、トレーニングに励んでいる朝倉、実力も折り紙つきのようです。朝倉はトレーナーに血友病だから試合には出場できないと伝えているようです。


家に帰宅する朝倉、そこは電気も通っていない、地下のような場所でした。ラジオをつけると、今朝、東京丸の内で発生した1億円強盗事件のことが放送されています。

朝倉が持ち帰ったリンゴのダンボール箱、二重底となっていて、その下には大量の紙幣が入っていました。リンゴをかじり、めがねを投げ捨て、かつらも外す朝倉、彼には表と裏の二つの顔があるようです。

バイクで夜道に繰り出した朝倉、夜のネオンが輝く街を歩きます。とある路地を通り抜けしようとすると男がナイフで脅してきます。しかし、朝倉はその男を容易く返り討ちにします。男を拘束した状態で、薬の取引に関する情報を暴力で引き出そうとします。

男から引き出した情報をもとにクラブ「ドミンゴ」へと向かう朝倉、カウンターにいた朝倉のもとに一人の男が近づいてきて、そのまま店の奥へと朝倉を連れて行きます。

朝倉には大きな野望がありました__



感想


今から40年近く前の映画であり、松田優作さんの魅力を味わうため(だけ)のハードボイルド作品です。

何故か仕事中に銀行の人間が尋ねてきて、何故か銀行強盗の被害にあった紙幣はナンバーが控えていると説明したり、銃を降ろさせる際にわざわざ銃の種類の名称で指示したり、ストーリーの展開や演出に失笑してしまう場面もいくつかあります。

一方で、これが40年も前の作品だとした上で観賞すると、当時の流行のようなものを感じられ、また違った楽しみ方が味わえます。

そして、無茶苦茶と思えるストーリーや演出さえ飲み込んでしまう松田優作さんの存在感には一見の価値があるように思えます。逆に言うと、その部分と風吹ジュンさんのハードな演技以外は見所の少ない作品であり、もっと短い上映時間のほうが良かったと感じました。

結局、タイトルと最後の台詞が謎のままですが、インパクトは絶大です。



ねえ、ジュピターには何時につくんだ?
木星には何時につくんだよ
木星には何時につくんだ……





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