ウスケボーイズ
配給:カートエンターテイメント
監督:柿崎ゆうじ(かきざき ゆうじ)
脚本:中村雅(なかむら まさる)
出演:渡辺大(わたなべ だい)
公開日:2018/10
ジャンル:ヒューマン
「ウスケボーイズ」は、現代日本ワインの父と称される麻井宇介さんに影響を受け、国産ワインの製造に情熱を注ぐ人たちを描いたノンフィクションを映画化した作品です。
監督は山形県出身で、会社経営者でもあり、舞台作品の脚本等も手がけている柿崎ゆうじさんです。
脚本は石川県出身で、「ドラゴンヘッド」や「どろろ」のNAKA雅MURAさんの別名義である中村雅さんです(が、同姓同名の別人の可能性も0ではありません。正確なソースは確認できませんでした)。
主役のワイン造りに情熱を注ぐ男性役を、東京都出身で渡辺謙さんのご子息であり、妹が女優の杏さんでもある、数多くのドラマや映画に出演されている渡辺大さんが演じています。
他にも、内野謙太さんや安達祐実さん、橋爪功さんといった方が出演されています。
本作品は、河合香織さん著作のノンフィクション作品が原作となっています。マドリード国際映画祭において、最優秀外国語映画作品賞を受賞しています。
あらすじ
ムード漂うレストランの一幕、ワインを注ぐウェイターとそのグラスを見つめている女性(安達祐実)がいます。
パーティ会場の一幕、円形の席が複数あり、そのテーブルの上には各人毎に7つのグラスが置いてあります。その会の主役となる、日本ワインの父と称される麻井宇介(あさい うすけ/橋爪功)が壇上で挨拶を始めます。
癌の宣告を受け、余命が数ヶ月であることを麻井は告げます。今回の会を通してワイン造りに励む若者たちと話したいと述べます。
1993年、山梨県甲府市、とある一室で5人の男女がワインの品評会を開催しています。部屋の隅にはたくさんの空のワインボトルが置いてあります。その部屋の主である学生の岡村(渡辺大)が言うには、壁にボトルが置いてあることで、味とか香りの印象を思い出しやすいということです。
その品評会は「ワイン友の会」と呼ばれ、ワイン狂いの大学院生や社会人で構成されています。
ある日、岡村がワイン友の会に大学時代の後輩にあたる高山(内野謙太)を紹介します。高山は長野の実家でワイナリーを営んでいます。
高山を加えて実施されたワイン会、高山はピザに夢中になったり、いざワインを試飲しても水虫の薬と同じ臭いがすると言ったり、あまりワインに造詣は深くないようです。
聞いてみると、高山の実家で製造しているのはワイン友の会で嗜むようなワインではなく、フルーツワインを製造しているということです。そして、話の流れで、国産ワインでフランスワインに対抗するのは絶対無理だという意見と、そんなことはないという意見がぶつかります。
そこで、日本産とフランス産のワインをブラインドでテイスティングする会を開催することにします。
改めて開催されたテイスティング会、4本の日本産ワインと4本のフランス産ワイン、計8本のワインが用意されます。
品評を終えたメンバー、下位から順に何のワインだったか発表されていきます。8位から6位まで予想とおり日本産でした。ワインに詳しくない高山も下位3つに日本産のワインを選んでおり、意気消沈気味です。
しかし、続く5位はフランス産ワインでした。そして、4位もフランス産、3位もフランス産、思わぬ展開に押し黙るメンバーたち、1位のワインについた点数は40点で全員一致した意見でした。
そして発表された1位と2位__
そのテイスティング会で注目されたワインというのが、麻井宇介さんの製造したワインでした。麻井に憧れ国産のワイン造りに情熱を注いだウスケボーイズと称される人たちのはじまりです__
感想
日本のものづくりに焦点を当てた作品です。本作品はワインをテーマにしており、ワインに詳しくなくとも、造り手の視点からワインの魅力に触れられるおもしろい作品だと思います。
ドキュメント原作からの映画作品であり、それがいい部分でも悪い部分でも目に付いた印象があります。
まず、序盤こそワインに関する薀蓄が披露される場面がいくつかありましたが、中盤以降は造る過程や何を工夫したかが説明不足と感じる場面もありました。尺の限られた映画で長々と説明台詞があっても興ざめになる可能性もあるため、その点は良し悪しかなと思います。
また、中盤と終盤で印象が大きく異なったのが人間ドラマの部分です。中盤の仲間、男女間のいざこざに関して、ワイン造りを本格的に開始した直後の部分には尺をとっていません。そのため、そこでの登場人物の行動に軽薄な印象が残ってしまいました。
しかし、終盤に関しては、微塵も妥協ができないワイン造りに取り組む登場人物たちの魅力が画面から強く伝わってきます。ワイン造りを通して、大切なものに優越をつけることの本質を問いかけてくれるメッセージ性もある作品だと感じました。
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