映画 ~ 鳥 ~




鳥(とり)
原題:The Birds
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
監督:アルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock)
脚本:エヴァン・ハンター(Evan Hunter)(※エド・マクベイン/Ed McBain)
出演:ティッピ・ヘドレン(Tippi Hedren)、ロッド・テイラー(Rod Taylor)
公開日:1963/3(1963/7)
ジャンル:サスペンス、ホラー




「鳥」は、バードペットショップで偶然出会った男性を追いかける女性の旅先で、カモメやカラスの大群が街や人々を次々と襲撃する様子を描いたパニック・サスペンス映画です。

監督はイギリス出身、「サイコ」や「白い恐怖」等の作品を手がけ、サスペンス映画の神様とも称されるアルフレッド・ヒッチコックさんです。

脚本は小説「空とぶタイム・マシン」等の作品を持つ小説家のアメリカ出身であるエヴァン・ハンターさんです。エヴァン・ハンターさんは、「87分署シリーズ」のエド・マクベインさんの別名義となります。

主人公となる大手新聞社の社長の娘役を演じたのは映画「マーニー」や、テレビドラマ「4400 未知からの生還者」のゲスト出演暦のあるティッピ・ヘドレンさんです。余談ですが、ヘドレンさんの娘は「ボディ・ダブル」等に出演されているメラニー・グリフィスさんであり、ヘドレンさんの孫娘は「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」に出演されているダコタ・ジョンソンさんです。

主人公とペットショップで出会う弁護士役を「タイム・マシン 80万年後の世界へ」や「砂丘」等に出演されているロッド・テイラーさんが演じています。

原作はイギリスの小説家ダフニ・デュ・モーリエさんの短編小説です。



あらすじ

鳴き声が響き、空にたくさんのカモメが飛び交うサンフランシスコの街、メラニー・ダニエルズ(ティッピ・ヘドレン)がバードペットショップに向かいます。

メラニーは店員からお嬢様と呼ばれる、大手新聞社デイリー・ニューズの社長令嬢です。今日はカモメがやけに多いと雑談を交わします。

メラニーの来店した目的は注文したインド産の九官鳥の受け取りでした。しかし、約束した3時になっても、まだその姿は見えていません。

店員が状況を確認してみるとカウンターから離れたとき、一人の男性、ミッチ・ブレナー(ロッド・テイラー)が入店します。ミッチは11歳になる妹の誕生日プレゼントにラブバードを探しているとメラニーに伝えます。

ラブバードがいなかったため、メラニーは店内にいた九官鳥やカナリヤを勧めながらミッチとの会話を楽しみます。

メラニーが籠にいた一羽の鳥を取り出そうとしたとき、うっかり鳥が抜け出し、店内を飛びまわります。メラニーと戻ってきた店員が慌てて捕まえようとしますが上手くいきません。しかし、ミッチは紳士的に身に着けていた帽子を上手く利用して逃げていた鳥を捕まえて籠に戻します。

そして、ミッチはメラニーに対して、君も箱入り娘だろ、との言葉を投げかけます。ミッチはメラニーのことを知っているようです。メラニーは何故自身のことを知っているのか問いただしますが、ミッチはまともに取り合おうとしません。そうこうするうちにミッチは店内を出て行きます。

メラニーは店員にその男の正体を尋ねますが、店員も知らない男だと答えます。慌ててメラニーは男を追いかけるために店を出て、男が乗るシルバーの車のナンバーを控えます。

メラニーは店の電話を借りて、デイリー・ニューズの社会部次長であるチャーリーにお願いをします。交通局に電話して車の持ち主を調べて欲しいと。

さらにメラニーは店員に対して、明朝までにラブ・バードを手配するようお願いして店を出て行きます。



翌朝、ラブ・バードを手にとあるアパートのエレベータに乗るメラニー、調査済みの昨日出会った男性が住んでいるとされる部屋のドアの前に、ミッチ・ブレナー様宛ての手紙と、鳥かごをドアの前に置きます。

偶然メラニーと同じエレベーターに乗っていた男性がその様子を見ていて、メラニーに声をかけてきます。月曜までミッチは不在だと、週末は100km程北に位置するボデガ・ベイにいるはずだと。

鳥を放置するわけにいかないメラニーは仕方なく、それを持って帰ったかと思うと、そのまま運転してミッチの滞在先へ向かいます。

田舎道を優雅にドライブし、目的の街に到着したメラニーはそのまま食料品店へ立ち寄り、ミッチの居場所を尋ねます。

ミッチは港湾の向こう側にいて、サプライズを期待するメラニーは車で行くとばれてしまうため、ボートで行くことを決めます。

しかし、ボートでの移動中、一羽のカモメがメラニーに襲いかかります。それは、これから起こる事件の予兆でした__


感想


巨匠と称されるヒッチコック監督のパニックサスペンス作品です。日常の生活で目にする鳥を畏怖の対象としたことで、観賞中の緊張感が維持され、絶望感が煽られます。

作品の序盤、不気味な鳴き声や大量のカモメが空を飛び交う様子以外はラブロマンスです。そこから、徐々に徐々にと理不尽で凶暴な悪夢が襲い掛かってきます。そして相乗効果を生んでいる点が人間の描き方です。自身に被害がなければ無関心であったり、窮地に追い込まれ際に表面化する悪意、これらが融合することで印象深い作品となっています。

驚いたのは主人公演じるティッピ・ヘドレンと、他作品で観るダコタ・ジョンソンさんが祖母と孫娘の関係であることです。それほどまでに以前の作品なのかと改めて感じました。

時代が異なるために避けられない映像技術や演出の違和感はもちろんあるのですが、それすらも作品の味と感じてしまうくらいの素敵な作品だと思います。






 

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