裏切りのサーカス(うらぎりのサーカス)
原題:Tinker Tailor Soldier Spy
配給:スタジオカナル/ギャガ
監督:トーマス・アルフレッドソン(Tomas Alfredson)
脚本:ブリジット・オコナー(Bridget O'Connor)、ピーター・ストローハン(Peter Straughan)
出演:ゲイリー・オールドマン(Gary Leonard Oldman)、ベネディクト・カンバーバッチ(Benedict Timothy Carlton Cumberbatch)
公開日:2011/9(2012/4)
ジャンル:サスペンス
「裏切りのサーカス」は、イギリス秘密情報部(通称サーカス)内にソ連の2重スパイがいる疑惑を、過去に情報部に所属していた男が解明していくサスペンス映画です。
監督はスウェーデン出身、「ぼくのエリ 200歳の少女」のトーマス・アルフレッドソンさんです。
脚本は「くたばれ!イングランド」のイングランド出身であるブリジット・オコナーさんと、「スノーマン 雪闇の殺人鬼」のイングランド出身、ピーター・ストローハンさんです。
主人公となる情報部を退職した捜査官を演じたのは「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」のゲイリー・オールドマンさんです。主人公のチームに所属するサーカスの中堅幹部役を「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」のベネディクト・カンバーバッチさんが演じています。
原作はジョン・ル・カレさんが1974年に発表した小説「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」です。この作品は「スマイリー三部作」と称されるシリーズ作品の第一作にあたります。
あらすじ
イギリスの諜報部(通称「サーカス」)の工作員の男(ジム・プリドー/マーク・ストロング)、諜報部のチーフである年配の男(コントロール/ジョン・ハート)に呼び出されます。“尾行されていないか?”と警戒される中、ジムは中へと入っていきます。更に、“誰も信じるな”とコントロールから忠告が与えられます。ジムに与えられたのは極秘任務でした。その任務のため、ジムはハンガリーのブタペストへと飛び立ちます。
表向きは亡命を希望するハンガリーの将軍との接見であり、その裏には、とある情報の入手という目的があります。その情報とは、諜報部(サーカス)幹部の誰かがソ連が送り込んだスパイであり、それが誰かを示すもののようです。
ジムはカフェに向かいます。ジムと雑談する男は将軍の側近のようです。ウェイターが席に近づいてきます。ウェイターは尋常ではない量の汗をかいています。
周囲の不穏な空気を察して、ジムはその場を離れようとします。すると、背を向けたジムにウェイターが発砲します。ジムはその銃弾で血を流して倒れます。また、カフェにいた赤子を抱えた女性客が銃弾の巻き添えになってしまいます__
英国諜報部サーカス、その一室に6名の男、チーフであるコントロールと、幹部の5名、ジョージ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)、パーシー・アレリン(トビー・ジョーンズ)、ビル・ヘイドン(コリン・ファース)、ロイ・ブランド(キーラン・ハインズ)、トビー・エスタヘイス(デヴィッド・デンシック)が集まっています。
コントロールの手元にある書類は辞職届です。1973年11月14日と記載された日付、コントロールはそれに署名します。そして、コントロールは“君も署名してくれ”とスマイリーに頼みます。
こうして、諜報部のチーフと幹部の一人が去ることになります。
スマイリーは穏やかな日常に戻ります、川で泳いだり、眼鏡を変えたり、雪道を散歩したりしています。夫人であるアン・スマイリーは家を空けているらしく、手紙の束だけをまとめています。
コントロールに代わって新しくチーフの位置に就いたパーシーと幹部のロイが、外部次官、レイコン(サイモン・マクバーニー)のもとを訪ねます。
二人の目的は「ウィッチクラフト作戦」と称される情報戦略における、隠れ家のための予算を確保することです。去年のブダベストの大失態で予算減額の憂き目にあっているということもあり、レイコン次官も渋い態度を示します。
場面が変わって、レイコン次官宛に公衆電話から緊急の電話がかかってきます。電話の主はリッキー・ター(トム・ハーディ)、身元はサーカスのギラム(ベネディクト・カンバーバッチ)に聞いてくれと告げます。
ギラムが突然スマイリーの家にやって来ます。サーカス内のスパイ探しのために、退職したスマイリーをレイコン次官が呼びつけたのです。
サーカスに向かう道中、ギラムはコントロールが死んだという会話をスマイリーと交わします。
レイコン次官のオフィスで、スマイリーはサーカス内に何年も前からいるモグラを見つけ出して欲しいと依頼されます__
感想
冷然で複雑なスパイ映画です。仰々しいアクションや奇想天外なトリックを期待していては駄目です。ただし、非常に重厚な作品でもあります。
説明不足な中で登場人物が次々と登場するため、観ていて困惑する場面が序盤から中盤にかけてあります。正直、カーラという存在は終盤までよく理解しないまま鑑賞していました。
しかし、作品全体の雰囲気と台詞や演出の間接的な描写、そして俳優陣の魅せる表現は味のある諜報作品として満足いくものでもあります。
冷然と最初に述べていますが、人物間の心の奥にある感情は、俳優陣と細かい演出、僅かな台詞によって、静かに観客に訴えていきます。見ごたえのある作品でした。
彼は狂信者だからだ
狂信者は常に心に疑念を宿している
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