インターステラー
原題:Interstellar
配給:ワーナー・ブラザース
監督:クリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)
脚本:クリストファー・ノーラン、ジョナサン・ノーラン(Jonathan Nolan)
出演:マシュー・マコノヒー(Matthew David McConaughey)、アン・ハサウェイ(Anne Jacqueline Hathaway)
公開日: 2014/11
ジャンル:SF
「インターステラー」は異常気象による食糧危機に瀕した地球、農業を営む元宇宙飛行士が、超常現象によるメッセージを自宅で受け取ったことを契機に、宇宙へ新天地を求めるプロジェクトに参加する様子を描いたSF作品です。
監督は「メメント」、「プレステージ」、「インセプション」等、数多くの監督作品を持つクリストファー・ノーランさんです。
クリストファー・ノーランさんと共に共同脚本を務めているのは、監督の弟でもあるジョナサン・ノーランさんです。「メメント」や「プレステージ」でも脚本を担当されている他、テレビドラマの「PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット 」シリーズの原案・脚本・製作総指揮を担当しています。
主人公の元宇宙飛行士役に「ダラス・バイヤーズクラブ(2014年にアカデミー賞主演男優賞を受賞)」、「マジック・マイク」のマシュー・マコノヒーさん、主人公の同僚となる宇宙船クルー役を「プリティ・プリンセス」や「プラダを着た悪魔」の出演暦を持つアン・ハサウェイさんが務めています。
2017年にノーベル物理学賞を受賞した理論物理学者のキップ・ソーンさんが、科学コンサルタント兼製作総指揮を務めていることも特筆すべき事柄です。
あらすじ
“父は農夫でした”、何かのインタビューに答えている老婆が画面に映っています。制御不能の飛行中の機体、元宇宙飛行士のジョセフ・クーパー(マシュー・マコノヒー)が何とかしようとあがいていますが、機体は墜落寸前です。
次に気がつくと、クーパーは暗い部屋のベッドで横たわっていました。墜落は夢だったようです。
10歳の娘のマーフィー(マーフ/マッケンジー・フォイ※幼少期)が深夜、部屋の入り口からその様子を見ていました。“また墜落の夢の話?”と父であるクーパーを気遣います。
またインタビューされる人たちが映ります。
近未来のアメリカ、世界的な異常気象により地球規模で危機が迫っています。じゃがいもや小麦は全滅、疫病により畑を焼いた農家もたくさんいます。現在ではコーン畑が頼りです。クーパーのいる地域では頻繁に砂埃が舞うようになっています。
クーパー家の朝、クーパーにとって義父にあたるドナルド(ジョン・リスゴー)、15歳の息子のトム(ティモシー・シャラメ※幼少期)とマーフの4人で食卓を囲みます。マーフは2階の自室で、本が勝手に落ちる現象が発生していることをクーパーに伝えます。それを“幽霊のせい”とクーパーに主張しますが、オカルトではなく科学で解明できることだとクーパーは説明します。
トムの三者面談があるため、クーパーはトムとマーフを乗せて車で学校へ向かいます。道中、タイヤがパンクしてしまいます。
タイヤの修理中、手持ち無沙汰のマーフがクーパーに尋ねます。どうして自分の名前を、マーフィーの法則から名づけたのかと、マーフは少し不満があるようです。
そのとき、飛行物体が突然、クーパーたちの頭上を通過します。インド空軍のドローンのようです。興奮した様子でそれを追いかけるクーパーたち。道など関係なしに畑の中をつっきていきます。
世界的な食糧危機の影響で、インドもアメリカも空軍がなくなって10年経っています。なぜ、突如としてインド空軍のドローンが空に出現したかは不明ですが、クーパーはその制御権を奪い、解体して再利用することにします。
クーパーは学校でトムの三者面談に臨みます。クーパーはトムに勉強を続けさせたいのですが、今の成績ではトムの大学進学は厳しいということ、さらに、今不足しているのはエンジニアではなく食料だと学校から言われてしまいます。
また、マーフの担任からは、同級生に見せてはいけない、絶版となった教科書の月面着陸の写真を教室で見せていた、ということで注意を受けます。しかし、その件でクーパーはマーフを反省させる気はまったくありませんでした。結果、マーフは停学になってしまいます。
クーパーの奥さんは脳の問題により亡くなっています。クーパーは、贅沢と浪費が制限されたこの世界でも科学の力が希望を与えてくれることを信じています。
クーパーが家に帰ろうとすると、義父から無線が入り、コンバインが勝手に集まってくる、との連絡を受けます。GPSの不具合か何か、原因は不明ですが、クーパーは設定を初期化して対応します。
2階では相変わらず、本棚から特定の本が落ちているようです。マーフはモールス信号ではないかと疑います。
別の日、野球観戦にいくクーパーたち、しかし、観戦中に砂嵐が襲ってきます。ゴーグル、マスクは必須です。視界が悪い中、何とか家にたどり着きます。
帰宅したクーパーは、マーフの部屋の本が落ちる様子を確認します。その幻想的な雰囲気と規則的な何かを感じ取り、幽霊ではなく、重力の影響だと確信したクーパー、それがバイナリーデータによる座標のメッセージだと解析します。
二人はその座標へと車を走らせます。周辺までくると、行き止まりでした。クーパーがボルトカッターを使って開けようとすると、突然誰かがクーパーを気絶させ、悲鳴をあげるマーフと一緒に身柄を拘束します。
クーパーが目を覚ますと、目の前にはロボットがいて、尋問してきます。その機械はTARSというようです。
徐々にその施設の全貌が明らかになっていきます。そこはNASAの極秘研究施設でした。世界的な食糧危機の中、宇宙の調査に予算をかけるなど世論が許しません。そのため、秘密裏に、その場所でとある計画を進めているようです。
その計画の名前は「ラザロ計画」、“地球以外の移住できる星を探し、人類を移住させる”ことが目的です。
ラザロ計画では、土星の近くにワームホールが発生しており、別の銀河系にワープできることを確認しています。過去のクーパーの墜落事故も、それが原因だったのではないかと判明します。
そのワームホールには人為的なものが感じられ、誰かが助けようとしている?とも言われているようです。
クーパーは人類のために、家族のために、その計画のパイロットとして参画しようとします__
感想
壮大なSF作品です。量子力学、相対性理論といった科学に加えて、家族愛や孤独、信頼といった人間ドラマにも重点を於いている作品です。
未知の星に降り立つという冒険のロマンを感じる作品であり、食糧危機に瀕するという社会問題もあり、物理学を用いたSF理論があり、宇宙空間や次元を超えてメッセージを伝えようとする愛があります。本作品に登場する計画の名前が“ラザロ”、キリスト教の聖書に登場する人物の名前から引用しているように、科学だけではなく、様々なテーマを含めた作品です。
しかし、個人的には愛という言葉にかこつけて、どこか釈然としないものも感じました。そんな都合よく重力の特異点のデータを収集してメッセージを送信したり、土星の近くに放り出されたりするでしょうか。それが誰かの力だというのであれば、よりスマートに諸々の問題を解決できていたような気がします。
そもそも地球を見捨てている時点で、傍にいてと願う娘と和解せぬまま出発した時点で、愛を押し出されても個人的には違和感を抱きます。ずっと一緒にいると愛を誓いながら、人生は冒険だからと離れていく昔のドラマでいた人みたいです。
ということで、本格的なSF作品として期待したら失敗して、SFファンタジーとして鑑賞すればおもしろい作品である、というのが率直な印象です。サウンドノベルゲーム「うみねこのなく頃に」で、“愛がなければ視えない”という頻出する言葉がありましたが、この作品を楽しめるかどうかにも使える気がします。
ただし、本作品に登場するロボットのTARSはとても良い存在でした。少し皮肉屋だけど情を持ち合わせ寄り添っている、相棒のような姿がとても魅力的です。
泣くな、俺はロボットだ。命令には従う
TARS お前の正直レベルは?
90%だ
90%?
完ぺきな正直さは時として感情を持つ相手を傷つける
Hey, TARS, what's your honesty parameter?
Ninety percent.
Ninety percent?
Absolute honesty isn't always the most diplomatic, nor the safest form of communication with emotional beings.
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