映画 ~ バッド・ジーニアス 危険な天才たち ~




バッド・ジーニアス 危険な天才たち(ばっどじーにあす きけんなてんさいたち)
原題:ฉลาดเกมส์โกง(Chalard Games Goeng)
英題:Bad Genius
配給:GDH 559
監督:ナタウット・プーンピリヤ(Nattawut Poonpiriya)
脚本:ナタウット・プーンピリヤ、タニーダ・ハンタウィーワッタナー(Tanida Hantaweewatana)、ワスドーン・ピヤロンナ(Vasudhorn Piyaromna)
出演:チュティモン・ジョンジャルーンスックジン(Chutimon Chuengcharoensukying)、チャーノン・サンティナトーンクン(Chanon Santinatornkul)
公開日: 2017/5(2018/9)
ジャンル:サスペンス、クライム




「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」は、貧困な家庭で育つ一人の天才女子高校生を中心とした、国際的な大学統一入試における集団カンニングの様子を描いたタイのクライムサスペンス映画です。

監督は「Countdown」や「The Library」のナタウット・プーンピリヤさんです。

主人公役をチュティモン・ジョンジャルーンスックジンさんが演じています。チュティモンさんは、世界的なファッション誌「ハーパーズ バザー」等のモデルからキャリアをスタートさせ、多くのミュージックビデオに出演されている方です。

主人公のライバル的存在の役をチャーノン・サンティナトーンクンさんが演じています。

本作品はタイのアカデミー賞と称される<スパナンホン賞>で監督賞や主演女優賞をはじめとした史上最多の12部門を受賞しています。



あらすじ

国際的な一般教養試験STIC、米国への大学留学を希望する受験生の登竜門となる試験です。

しかし、その試験で問題漏洩による不正が行われたと、監督機関から発表されます__


合わせ鏡のある一室、その鏡に一人の女子学生が映っています。彼女の名前はリン・ダラー(リン/チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)、高校3年生です。

彼女は尋問を受けているようです。彼女は答えます。不正は私じゃないと__


とある学校の一室、リンとリンの父親(タネート・ワラークンヌクロ)、名門校の理事長(?)での入学面接が実施されています。

リンは小学校1年生のときから成績は全て「A判定」、中学校でも常に首席、地区の数学コンクールと国際クロスワード大会で優勝経験有り、水泳大会でも優秀な成績を収めている天才です。

ただし、リン本人はそこまで積極的に入学したいという姿勢ではないようです。その理由を理事長がリンに尋ねると、年間15万バーツかかることとなる費用が心配だと言います。

リンの家庭は決して裕福とはいえません。授業料だけでなく、交通費や食費も含めて、年間15万バーツをかけてまで入学したいとはリンには思えないようです。

すると、理事長から思わぬ申し出があります。リンのその才能を評価して、授業料を無料に、さらにランチも無料にすると提案します。リンとリンの父は、その申し出を受け、無事に名門校に入学します。

学生証のための写真を撮る一幕、リンが卒なくカメラの前での対応を終えたとき、一人の女子生徒が近づいてきます。その女子生徒は、3年間使用する写真なのだから、もっと見栄えがいいほうがいいと、リンがかけていた眼鏡を外すなどしてリンの魅力を引き出そうとします。

白いリボンをつけた可憐なその生徒は、グレース(イッサヤー・ホースワン)とリンに名乗りました__


再び、合わせ鏡のある一室、次はグレースが尋問されているようです。

グレースはリンと学生証が連番で3年間ずっと近くにいて、リンと親友だったと言います。リンは学校行事の催事は得意ですが、成績のほうはよろしくないようです__


図書室で向かい合って床に座っているリンとグレースの二人、グレースはあることを悩んでいます。

それは、新しくできた規則のせいで成績が3.25以下だと、グレースが楽しみにしている催事である演劇に出られないという内容でした。

リンは演技をするのは勉強より難しいと思うから大丈夫だと言います。しかし、グレースは補習を受けても勉強はわからない、特に数学がネックだと、参考書を手のひらに開きながら答えます。

リンはグレースが持っていた参考書をチラッと見ただけで、答えは3番だと瞬時に答えてしまいます。グレースがどうして?と尋ねると、リンはグレースに説明します。グレースは家庭教師になってとリンに頼みますが、リンは断ります。毎日ミルクシェイクをおごるからとグレースは諦めません。結局、友達想いのリンは、“リン先生、いい響き”と言って、グレースの家庭教師の真似事を始めます__


再度、リンが尋問されているシーン、彼女は答えます、家庭教師をすることは悪いことですか、と__


中間テストが始まります。数学は全部で60問です。問題を見てリンは驚愕します。図書室で見ていた問題、家庭教師をしていたときの範囲がそのまま出題されていました。

リンは思わず後ろの席のグレースに話しかけてしまいます。しかし、グレースは覚えていないと不安そうな表情を見せます。

監督教師から私語はやめろと注意が飛びます。リンは即座に問題を解き、マークシートを塗りつぶしていきます。

すると、一通り回答を終えたリンは突然、消しゴムに答えを書いていきます。そして、自身の革靴にそれを放り込み、靴を後ろの席にいるグレースに脚を使って渡します。

靴の片足がないリン、今度はグレースが自身の革靴をリンに渡そうと右足を振り出します。ところが、靴ははるか右前方へと飛んでいきます。

焦る二人、すると、リンが機転を利かして、席を立ち上がり、移動しながら右前方に放り出されていたグレースの革靴を履いて回答を提出します。

危機を乗り越えた二人、グレースの成績は3.87で無事目標点数をクリアしました。グレースの彼氏であるパット(ティーラドン・スパパンピンヨー)の家でお祝いしようと、グレースはリンを誘います。

パットの家はプールがある豪邸です。リンは初めてパットと話します。すると、パットから中間テストのカンニングの話が出ます。リンは驚いてグレースのほうを見ます。グレースはカンニングのことをパットに話しているようです。

そして、リンはパットから報酬と引き換えにカンニングを頼まれます。報酬は1科目につき一人当たり3千バーツということです。一人につき?とリンが尋ねると、カンニング希望者は5人いるということです。

対象科目は体育を除いた13科目、報酬金額は合計で23万4千バーツになります。高額な報酬にリンは揺れます。

パットとグレースはリンを説得しようとします。学校もワイロを受け取っていると、グレースは入学のために40万バーツ、パットはパソコン20台を寄付しているということです。

リンは自宅で確認すると、入学金として20万バーツを支払っていました。領収書と一緒に離婚届もありました。それを見てリンは涙を流します。

ピアノを演奏するリン、曲はハッピーバースデーです。父親が近づいて来て、珍しいなとリンに語りかけます。昨日が母親の誕生日だったとリンは答えます。リンは名門校でなくてもよかったと改めて父親に伝えます。父親はリンに海外留学する機会を失わせたくなかったと答えます。

父親がその場を離れてからも、リンはピアノを引き続けます。そのとき、リンは何かを思いつきます__


リン、グレースに続いて、今度はパットが尋問されているようです。パットはリンにお金を払ったことを認めました。しかし、それはあくまでピアノのレッスン料だったと答えています__


リンたちは2年生になりました。同級生にはリンとは別にもう一人、特待生であるバンク(チャーノン・サンティナトーンクン)がいます。

リンたちの組織的なカンニングは続いていました。しかし、あるとき、バンクの友人が原因でトラブルが発生します__



感想


クライムサスペンスといえば金を奪う金融系が多い中で、高校生が試験をカンニングする作品です。

カンニングは誰でもやっているものではないと思いますが、試験は多くの人が経験している身近なものです。決して命の危険があるわけではないですが、身近に感じる試験を舞台とした監督官とのスリリングな攻防は下手なスリラー系の作品よりも緊張感があって楽しめます。

また、貧困で懸命に努力した生徒と金の力で楽する生徒の試験成績が同じだったり、大人が自分たちの金儲けだけを容認したり、金の力を許されない行為に利用したり、社会の不条理、負の側面が垣間見られるストーリーも良かったです。

主人公の親友も可愛かったのですが、主人公がとても印象に残りました。モデル出身のスタイルの良さに目を引かれ、クールで凛とした佇まい、他の作品での活躍も観たい俳優さんです。





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