映画 ~ WEEKEND BLUES ウィークエンド・ブルース ~



WEEKEND BLUES(ウィークエンド・ブルース)
監督:内田けんじ(うちだ けんじ)
脚本:内田けんじ
出演:中桐孝(なかぎり たかし)、熊沢麻衣子(くまざわ まいこ)
公開日:2008/5
ジャンル:ヒューマン、サスペンス




「WEEKEND BLUES」は、失恋で失意のドン底にいるサラリーマンが、親友から渡された不思議な薬を服用したことで記憶を失い、ある事件に巻き込まれていく様子を描いたサスペンスです。

監督・脚本は「運命じゃない人」、「鍵泥棒のメソッド」等の監督も務める神奈川県出身の内田けんじさんです。

本作品は第24回ぴあフィルムフェスティバル「PFFアワード2002」にて企画賞とブリリアント賞を受賞しています。



あらすじ


体の大きい男が日暮里駅近くの高架橋から通り行く電車を眺めています。男の名前は山本健介(やまもと けんすけ/中桐孝)、28歳のサラリーマンです。

健介は持っていたハンドバッグを床に置き、靴を脱ぎ、手すりから身を乗り上げようとしています。その顔は今にも泣き出しそうです。飛び降りようとする健介は右足を手すりにかけます。

ふと隣を見ると、偶然居合わせたカップルと目が合います。

気まずくなった健介は、足を下ろして、靴を履き、鞄を持ちます。カップルがその場から立ち去ります。

健介は財布から1枚の写真を取り出します。そこには、さっちゃんと呼ばれる健介が付き合っていた女性が写っていました。

さっちゃんは、“ごめんなさい”を8回、“今までありがとう”を4回残して、健介の人生から去っていきました。さっちゃんがいなくなって半年、健介はただなんとなく生きてきました。

健介には健二(けんじ/内田けんじ)という幼馴染の親友がいます。健二は仕事もせずにパチンコで日々を怠惰に過ごしていますが、仲間想いの一面があります。


週末の金曜日の夜、健介は差し入れを持って健二の家に向かいます。すると、サトウアユミと名乗る一人の女性(熊沢麻衣子)が部屋にいました。

アユミが席をはずしている間に、健介と健二の二人は語り合います。健二は、インターネットのチャットを通じて1ヶ月前に彼女と知り合い、一目惚れしたということです。

しかし、健二は会社員と彼女に嘘をついていました。そのため、本気で就職活動を始めたようです。とてもいい子なんだと、料理をしてくれて泣きそうになったと、健二は健介に熱く語ります。よかったなと、健介は答えます。

そして健二はさっちゃんと別れた健介のことを心配します。健二が今何をしているか調べてやろうかと提案しますが、健介は断ります。

ビールで乾杯する二人、しかし、アルコールに弱い健介はすぐにトイレに駆け込み、戻します。

戻ってきた健介に、健二が何かの粒剤を勧めてきます。使ったら気持ちよくなるという、パチンコ屋のおじさんに勧められた怪しげな薬です。

それを一気に全部流し込む健介、しかし、何も感じないようです。


少し経ち、アユミがもう帰ると二人に言います。健介はアユミと一緒に帰ることにします。

その帰り道、アユミと別れて自販機の前に立っていた健介、突然、意識を失ってしまいます。

気づくと朝でした。うつぶせで道路に倒れていた健介、あたりは見知らぬ場所でした__



感想


内田けんじ監督の原点といわれている作品、人情味あふれるドラマと、前半の謎が後半に明かされていく爽快感はこの作品から健在です。

映像は少しチープに感じてしまいますが、それが日常の風景や生活感を訴えかけるのに一役買っている気がして、個人的にはそこまでマイナスの印象にはなりませんでした。

ただ、美しい映像や印象的な音が映画には必要なのかな、とは観ていて改めて感じました。

元カノのこと、謎の住所、出所不明の大金、等々、次々と発生する小さなイベントを丁寧に回収していく形はワクワクします、一方で、作品全体のカタルシスという点では、内田監督のその後の作品のほうが大きかったように思います(それは観た順が大きく影響していると思われますが)。


「カマキリの雄は交尾のあと
そのまま雌カマキリの餌となって
食べられちゃったりするそうですが
それはなんというか
雄としては非常に正しい
うらやましい運命のような
気がいたします」




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