映画 ~ パンとバスと2度目のハツコイ ~




パンとバスと2度目のハツコイ(ぱんとばすとにどめのはつこい)
製作会社:関西テレビ放送
監督:今泉力哉(いまいずみ りきや)
脚本:今泉力哉
出演:深川麻衣(ふかがわ まい)、山下健二郎(やました けんじろう)
公開日:2018/2
ジャンル:恋愛






「パンとバスと2度目のハツコイ」はパン屋に勤める女性とバス会社に勤める男性との恋愛映画です。周囲との結婚に対する価値観の違いに戸惑う女性が、中学生時代の同級生と再会したことをきっかけに、恋愛観と改めて向き合う作品です。

監督・脚本は映画「鬼灯さん家のアネキ」やテレビドラマ「セーラーゾンビ」、乃木坂46さんの「日常」のミュージックビデオ等、様々なメディアでの監督作品をもつ今泉力哉さんです。

主演はテレビドラマ「日本ボロ宿紀行」等に出演、「乃木坂46」の元メンバーであり、静岡県出身で“まいまい”の愛称で呼ばれる深川麻衣さんです。

主人公の中学時代の同級生役を、「三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」に所属し、日本テレビの朝の情報番組「ZIP!」の火曜メインパーソナリティとしてお馴染みの京都府出身、山下健二郎さんです。

他にも、主人公の同級生役として、テレビドラマ「トランジットガールズ」で主演を務めた伊藤沙莉さんや、主人公の妹役として、テレビドラマ「チア☆ダン」等に出演している志田彩良さんがいます。



あらすじ


大型オーブンからパンを取り出す女性(市井ふみ/深川麻衣)、彼女は美大出身で、現在はパン屋「naturally」に勤めています。

ある日、「naturally」に一人の女性が入店してきます。“高野さんという方はこのお店に?”と問いかける女性、フミの同僚の高野さん(安倍萌生)が応対します。

“私のことわかります?”、“何のようですか?”と二人の会話は要領を得ません。いったん会話が終わったかと思うと、入店してきた女性が店にあるフランパスを持って高野さんの頭に殴りかかります。

二人を止める周囲の人たち、高野さんに事情を聞くと、“こちら、私の好きな人の奥さんです”と、高野さんはサダハルさんという男性と不倫しているようです。

フミはそんな二人のやり取りを、“このとき私は目の前の二人の愛情をうらやましく思っていた。どうしてこんなに深く人を愛せるのだろうか”と傍観していました。

喫茶店にはフミと不倫ちゃんこと高野さんの二人、高野さんは不倫がいけないことだとはわかっているが、好きになったものは仕方がないと言います。フミは、私にはわかんないと答えます。


場面が変わって、きれいな夜景の見える高層ビルのバー、フミと2年間付き合っている柏木という男(勇翔)が指輪を差し出し、フミにプロポーズします。

フミは“ずっと好きでいられるかわからない、自信がない”と答え、プロポーズを断ります。


フミは緑内障で右目の右上のほうが見えません。毎日1回決められた目薬を服用しています。


プロポーズから3ヵ月後、3時半、目覚ましのアラームが鳴り響き、トーストを食べ出勤の準備をするフミ、まだ外は少し暗くて、夜が白むくらいの時間帯から彼女は出勤しています。

退勤後、立川バス株式会社というバス会社に立ち寄るフミ、彼女には帰宅途中にパンを食べながら洗車中のバスを眺める少し変わった趣味があります。

アパートに帰ると部屋の前に女の子が待っています。約束を忘れていたと謝るフミ、待っていた女の子は予備校に通っているフミの妹(市井二胡/いちいにこ/志田彩良)で、フミの家に泊まりに来ました。

ニコはフミを被写体にデッサンをしたり、夕食の準備をしたりします。

8時に寝ようとするフミに驚くニコ、さらに、ニコは“なんで柏木さんと別れたの?”とフミに尋ねます。“お姉ちゃんに彼氏がいることが違和感があった”と失礼なニコ、二人は仲良く床につきます。


ある日、フミの出勤中に、立川バスの運転手(湯浅たもつ/山下健二郎)が来店してきます。その運転手がフミを見て、突然声をかけてきます。偶然にも、その運転手はフミの知り合いで、静岡で暮らしていたときの中学校の同級生でした__



感想


パン、バス、ハツコイ、といった言葉から、もっとファンシーな雰囲気を想像していたのですが(冒頭のフランスパンアタックも一因な気がします)、等身大な登場人物が織り成すリアルな空気感がいい方向に予想外で、心地よい作品でした。

ふわふわした自然体の雰囲気、恋愛に対して慎重な価値観を持つ主人公のフミと、恋愛に真っ直ぐで主人公と反対の恋愛観を持つタモツ、決して映画のために誇張しているわけではない、どこか近くにいそうな性格の登場人物、演じたのがこの二人でよかったと思えた作品です。

片思いや孤独に対する作品のメッセージも感じられました。その考え方に共感できない方もいるでしょうから万人向けではないのかもしれませんが、お勧めしたくなる作品だと思います。

絵のことや、コインランドリーの書棚のこと、1970年代のギルバート・オサリバンさんの名曲「Alone Again」とパン屋の店名といった些細な演出も好きです。ただ、もう一人の同級生がフミのことを好きである設定だけは、必要かな?という感覚でした。


好きだった人のこと
付き合わないで嫌いになれる?

なれないよ……
だって、嫌いになるほど
その人のこと知らないんだから


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