狼と香辛料(おおかみとこうしんりょう)
作者:作画 小梅けいと(こうめ けいと)、原作 支倉凍砂(はせくら いすな)
出版社:KADOKAWA
掲載誌:電撃マオウ
巻数:全16巻(2008/3~2018/2)
「狼と香辛料」は中世のヨーロッパを想起させる世界を舞台に、荷馬車で各地を旅する青年行商人が、狼の耳と尻尾を持つ賢狼と呼ばれる女性と出会い、彼女の故郷を目指してともに旅をするファンタジー経済作品です。
作画担当の小梅けいとさんは本作品以外にもゲームのキャラクターデザインを担当されていたり、「アマガミ」と作家のコラボレーション企画として発表された作品「アマガミ -Various Artists-」でカバーイラストを担当されたりしています。
原作は支倉凍砂さんの小説であり、2005年に本作品で第12回電撃小説大賞銀賞を受賞されています。
本作品は、アニメ化やゲーム化もされています。
あらすじ
王政や宗教権威の影響が残る中世ヨーロッパのような世界、荷馬車に毛皮と麦を積んで移動するロレンス、彼は12歳のときに親戚の行商人に弟子入りして、18歳時に独立、そこから7年目を経た現在25歳、自分の店を持つことを夢見て、広大な未開拓の市場で商機を追い求める行商人です。
彼はヨーレンツ方面の山の中にある小さな村に塩を売り、引き換えに毛皮と寒さに強い麦を仕入れてパスロエの村に向かっています。
道中の修道院がある街の城門入口前には騎士がいてロレンスを呼び止めます。
商人らしくロレンスは物で騎士を介入して、異教徒の祭りが近辺で開催されるとの噂があり、それによって彼らが警備を任されているとの情報を得ます。騎士から異教徒の祭りに関して何か知っていないか、とロレンスは尋ねられますが、両手を組んで考えながらも思い当たることはないと答えます。
その後、パスロエの村に到着したロレンス、昔から懇意にしているヤレイという男のもとに向かおうとします。
ヤレイの畑に近づくと人だかりができています。実は、パスロエ村では収穫祭(異教徒の祭り)の真っ只中でした。
“豊作の神を捕まえて、次の年も麦畑を守ってもらう”、ヤレイはこの年の豊作の神、ホロ役ということで、祭りの間、ロレンスはヤレイと会うことはできなさそうです。
村長に挨拶と騎士の言っていた情報を伝えて村を出ようとするロレンス、村長はロレンスに泊まっていってはどうかと尋ねますが、祭事中は部外者を追い出すしきたりがあることを知っているロレンスは丁重に断ります。
パスロエ村を後にした満月の夜、川辺で荷馬車の馬と一緒に野営の準備をしていたロレンス、寒さに耐えるため、毛皮を利用しようとすると荷馬車の覆いの下に眠る1人の密行者を見つけます。
それは狼の耳と尻尾を持つ可憐な少女でした__
感想
ファンタジーの幻想的な部分を取り入れつつ、メインは中世を舞台にした経済学、マネーゲームを扱っている点がおもしろい作品です。
そして、そのマネーゲームを更に楽しくしているのが中堅行商人のロレンスと、狼少女の外見をした賢狼ホロのキャラクター、二人の間のやり取りです。
もともと小説が大人気ということでアニメ化や漫画化がされた作品ですが、現在と異なる時代のマネーゲームや、主役二人の軽快な、時にくすぐったくなるような会話のやり取りの妙、その巧みさにワクワク、ニヤニヤする作品であり楽しめます。
漫画版では、自分のペースで気軽に読み進められるという点で最も入りやすいと思いますが、小説版、アニメ版もそれぞれの良さがあり、比較してみるのもおもしろいと思います。
一人では少し広すぎる御者台も二人では少し狭い__
そんなことにいまさら気がついたのだった
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