映画 ~ 恋するマドリ ~



恋するマドリ(こいするまどり)
配給:シネカノン
監督:大九明子(おおく あきこ)
脚本:大九明子
出演:新垣結衣、松田龍平、菊地凛子
公開日:2007/8
ジャンル:恋愛




「恋するマドリ」は、建築デザイン系を専攻する女子大生が、引越しを縁に出会った尊敬する建築家の女性と、憧れる研究者の男性との三角関係に悩む様子を描いた恋愛映画です。

監督は「勝手にふるえてろ」、「放課後ロスト」等の神奈川県出身の大九明子さんです。

主演は新垣結衣さんで、本作品が映画初主演となっています。

原案クレジットには、伊坂幸太郎さん小説原作の2008年に公開された「Sweet Rain 死神の精度」の監督と脚本を務めた筧昌也(かけひ まさや)さんの名前が確認できますが、詳細は不明です。

また、新日本プロレスに所属する中西学さんが中核人物として登場するのをはじめに、大日本プロレスやプロレスリングFREEDOMS所属の選手も本作品のなかで運送会社を兼業するプロレスラーとして出演されています。



あらすじ


部屋の中に三つ編みの一人の少女(青木結/あおき ゆい/新垣結衣)、結は美大の女子大生で、初めての一人暮らしのために引越しの準備中です。

引越し会社はヘラクレス運輸という、“「破壊はリングの上のみ、力自慢はリングの上のみならず!!”がキャッチコピーの屈強なレスラーたちが担当する運送会社です。

はい 安全に(安全に)
はい 丁寧に(丁寧に)
はい 慎重に(慎重に)
物を壊すのは(リングの上だけ~♪)

バタバタと引越しの準備を進めていく中、結は部屋にある椅子を見つけて4ヶ月前の出来事を思い出します。


姉と二人で借家に暮らしていた結、3ヶ月後にカフェをオープンするということでオリジナルデザインの椅子をプレゼントしようと、ミニチュアを密かに作っていました。

プレゼントは秘密にしているため、お姉ちゃんが帰ってくる気配がすると、その借家の秘密の場所にミニチュアを隠します。

ところが、帰宅した姉から突然、できちゃった結婚するという報告を結は受けます。

椅子のデザインをさせておいて、自分の夢を捨てて男と結婚するという姉に対して、“格好悪い”と言い放つ結、“恋愛なんて格好じゃないのよ”、と姉は答えます__


物思いにふけった後は、引越し先の賃貸アパートに移動しての荷物搬入作業です、その途中、部屋の外から物音が聞こえてきます。

結が外を覗くと、一人の男(大野隆/おおの たかし/松田龍平)がソファーを抱えて、たまに壁にぶつけながら階段を上っている姿を目撃します。

続いて、部屋の中から何かが割れた音がします。

確認すると、運送会社の人が茶碗を落として壊してしまったようです。

お詫びといってその運送会社が運営しているプロレスのチケットを結は受け取ります。


引越しが一段落したところで、結は近所に挨拶に行きます。

303号室に越してきた結、さっきソファを運んでいた男である大野は真上の部屋に住んでいるようです。大野は結に対して、“いつ契約なさったのですか”と尋ね、さらには“仕事中なのですいません”とそっけない態度です。


ある日、忘れ物をしたということで、不動産屋に連絡し、新しい住人(温子/あつこ/菊地凛子)が住んでいる前の借家に結は向かいます。

からくりを動かして秘密の場所から忘れ物の椅子のミニチュアを取り出す結、温子はその様子を見て、“昔の建築っていいなあ”と言います。


美大生の結は、自作の物品棚を取り付けたり、壁にイラストを書いたりと部屋をアレンジしていきます。

結は近々開催されるデザインコンクールに作品を出品する予定のようです。

コンクールのパンフレットを眺める結、ふと、パンフレットに記載されている椅子が温子の家にあったことを思い出します。

温子のもとを訪ねる結、温子は一級建築士であり、結にアドバイスをあげます。そして、温子が近いうちにインドに留学予定であることを結は知ります。


別の日、結が部屋にいると玄関でチャイムが鳴ります。ドアを開けると部屋に入ろうとする大野の姿がありました。大野は“間違えた”と言います。

さらに別の日、結が友達の代わりとしていくこととなった研究所のアルバイト、そのバイト先には偶然にも大野がいて、結は大野の指示のもとで働くこととなります。

結は大野に惹かれているようです。


あるとき、部屋の床下に前の住人が残していったと思われる布地を結は見つけます。
それを広げてみると中心には穴があって、どこかで見た模様です。

実はそれは温子が製作した椅子で使った材料でした。つまり、結が新しく入ったアパートの前の住人が温子であり、結が以前に住んでいた家には温子が住んでいるという、偶然にもお互いが住んでいる場所が入れ替わっていたことがわかります。


温子や大野と親しくなっていくうちに、結は温子と大野が恋人同士であったことを知ります。

そして、温子は自分が必要ないと思って大野から逃げたと言っていて、大野は別れも告げずに温子が自分のもとから去っていたと思っています。

お互いにまだ相手のことが好きなのではないか、そして大野のことが気になっていて、温子のことも好きになっている結は、この三角関係に悩みます__



感想


「勝手にふるえてろ」の大九明子さんと新垣結衣さんのタッグ作品、そして本作品で三角関係になる主演の三人は2018年秋クールの日本テレビ系ドラマ「獣になれない私たち」でも共演されています。そして新日本プロレスの中西学さんということで魅力的なキャストをそろえた作品でした。

ストーリー的にはまったりと観れる映画なのですが、消化不良感が残る作品でした。

例えば、いつ、なぜ、結が大野のことを気になりだしたのかがわかりにくかったり、せっかくコンクールのために出品した作品が特に印象に残らないままだったりといった点です。

削れないシーンばかりであればまだ上記のような状態も理解できなくなくはないのですが、空港までの移動シーンは完全に不要だったと個人的に感じた分、不満が残りました。

あと序盤から中盤にかけて結はマフラーとストールを多用していたように思ったのですが、終盤はまったく着用していなかったのは何か意味があったのでしょうか。暖かくなってきたという理由が真っ先に考えられますが、他のキャラクターの服装を見る限りでは、その理由だとしっくりきません。

序盤は結が紫のパーカーや紫のマフラーを着用していたことから、紫色の服装が好きなのかな?と思っていたのですが、大野に恋人がいると知ったシーンでは青いマフラー、大野と二人で帰宅しているときはピンクのストールと、そのときの結の心情に応じて小物の色も変えているのではないかと、序盤から中盤にかけて注目して見ていました。

しかし、残念ながらそれ以降は見かけなくなってしまい、せっかくの美大生が主人公ということでファッションや小道具にもこだわりがあったように思えるシーンもたくさんあったのにと、どうにも消化不良な印象が残ります。



あの椅子 二人で座るにはちょうどよく見えたんだ
でも実際座ってみると 窮屈なんだ




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