封神演義(ほうしんえんぎ)
作者:藤崎竜(ふじさき りゅう)
出版社:集英社
掲載誌:週刊少年ジャンプ
巻数:全23巻(1996/1 ~ 2000/12)
「封神演義」は3000年前の中国、殷の王朝時代を舞台に、人間界に干渉し悪影響をもたらす仙女の悪行を止めるべく、一人の道士(仙人見習い)が人間界に派遣され、仲間の協力や宝貝(パオペエ)という仙界の道具を駆使し、仙女を神界に封じ込める「封神計画」を遂行していく歴史ファンタジー作品です。
作者の藤崎竜さんは青森県出身で、他の著書に、小野不由美さんが原作のホラー小説「屍鬼」のコミカライズや、田中芳樹さん原作のSF小説「銀河英雄伝説」のコミカライズといった作品等があります。
本作品は、1999年夏~秋クールにかけてアニメ化されています。また、時を経て、2018年冬~春クールにかけても再度アニメ化されています。
更に2018年には、本編の続編および外伝として「封神演義 外伝」が短期集中で連載されました。
2019年の1月には「ミュージカル封神演義-目覚めの刻-」として舞台化もされています。
あらすじ
中国の四大怪奇小説、「西遊記」、「三国志演技」、「水滸伝」、そして「封神演義」、3千年以上前の紀元前11世紀、今の中国、当時の殷の王朝時代末期の話です。
そこには人間だけではなく、不老不死であったり、不思議な力や道具を操る仙人や導士、妖怪が混在する混沌とした世界でした。
仙人たちは通常は天空で過ごし、人間は地上に住んでいます。
殷の第30代皇帝の紂王(ちゅうおう)は若くして文武共に優れた名君であり、周りの人たちは彼が殷をますます発展させることを信じて疑いませんでした。
しかし、そんな紂王の前に、絶世の美女であり、仙人界でも指折りの実力と邪心を持つ仙女の妲己(だっき)が現れ、術の力によって紂王を操り、仲間を従え、自身は皇后の地位につき、王朝を支配しようとします。
重い税を課せられ貧困にあえぐ民、贅沢三昧の豪遊に明け暮れる王朝、国は瞬く間に乱れていきました。
そんなやりたい放題の妲己を仙人界が見逃すわけにはいきません。
仙人界崑崙山の教主であり、三大仙人の一人である元始天尊(げんしてんそん)は一人の弟子を呼び出します。
その弟子の名前は太公望(たいこうぼう)、もともとは呂望(りょぼう)という名で人間界で暮らしていたのですが、妲己の悪行によって村一帯が人狩りにあい独りになってしまったところ、元始天尊に才能を見出され仙人界で修行を続けてきました。
一見すると怠惰なように見える太公望ですが、実際はとても優れた頭脳を持つ策士の道士です。
元始天尊は太公望に、悪の仙道を神界に封じ込め、新たな王朝を作る計画「封神計画」を実行させるように命じます。
太公望は「打神鞭(だしんべん)」という仙人の力を増幅させる武器、宝貝(パオペエ)と、「四不象(スープーシャン)」という霊獣をお供に、計画実行のための仲間を求め旅にでます__
感想
三国志を舞台とした李學仁さんと王欣太さんの「蒼天航路」、春秋戦国時代を舞台とした原泰久さんの「キングダム」等、中国の歴史を舞台にした作品にはスケールが大きいことが多いですが、本作品は更に仙人というファンタジー要素を取り入れている点で違う軸でもスケールの大きい作品となっています。
少年ジャンプらしく、強大な敵に立ち向かうために強力な味方を仲間にしていくという王道の展開がある一方で、知略軍師的存在である主人公が、目的遂行のために時には非情な選択も選ばざるを得ないといった展開も多くあり、それが作品に厚みをもたらしているように感じます。
独特な絵柄や悪い意味でアバウトすぎると感じるシーンもあることで人を選ぶ作品ではあると思いますが、個人的にはストーリーとキャラの魅力から好きな漫画の上位に位置する作品であり、お勧めしたい作品です。
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