映画 ~ 残穢 -住んではいけない部屋- ~




残穢 -住んではいけない部屋-(ざんえ すんではいけないへや)
配給:松竹
監督:中村義洋(なかむら よしひろ)
脚本:鈴木謙一(すずき けんいち)
出演:竹内結子、橋本愛
公開日:2016/11
ジャンル:ホラー、ミステリー






「残穢 -住んではいけない部屋-」は読者投稿をもとに怪談雑誌に寄稿している作家が、あるマンションにおける怪奇現象の投稿をきっかけに、その部屋だけでなくマンション全体、果ては別の場所で生じた怪奇現象へと辿り、それに呑み込まれていくホラーミステリー映画です。

監督は「白ゆき姫殺人事件」や「アヒルと鴨のコインロッカー」、「殿、利息でござる!」等の茨城県出身の中村義洋さんです。

脚本は「ゴールデンスランバー」、「仄暗い水の底から」等の神奈川県出身の鈴木謙一さんです。

中村義洋さんと鈴木謙一さんは大学時代の先輩・後輩の関係にあたり、数多くの作品でタッグを組んでいます。

主演は「黄泉がえり」や「いま、会いにゆきます」等、数多くの映画やドラマの出演経験を持つ竹内結子さんと、「告白」や「あまちゃん」等、こちらも多くの映画やドラマに出演されている橋本愛さんです。

他にも滝藤賢一さんや佐々木蔵之介さん、坂口健太郎さんと個性的で豪華な俳優陣が出演されています。

本作品の原作は「屍鬼」や悪霊シリーズで著名であり、綾辻行人さんの妻であることでも有名な小野不由美さんの小説です。



あらすじ


Mさんがまだ小学生だったときの話です。

九州の没落した炭鉱地にある親類の古い家、夜、トイレが近くなり目を覚ました少年が廊下に出て歩いていると、突然、ゴォオオという地鳴りのような音が聞こえてきます。

その音は、決してあけるなといわれていた部屋から聞こえてきます。

その部屋の戸をあけて、中を覗き込もうとするMさん、暗い部屋の奥からは何かのうめき声が聞こえます。

すると視界の外から突然、焼きただれた手がMさんの目の前に__


とあるカフェでの作家と編集者の打ち合わせ、作家(竹内結子)は小説家として活動する傍ら、半年前から怪談雑誌の記事を担当していました。

その記事は読者の投稿をもとに作成しています。

そして、2012年の5月に、すべての始まりとなる手紙が届きます。


都内で建築を専攻している女子大学生(仮名 久保さん/橋本愛)、彼女は大学のミステリー研究会に所属しており、郊外のとある町に引っ越してきたばかりでした。

岡谷マンションという5階建ての賃貸マンションの202号室に住むことになった久保さんですが、その部屋に得体の知れない何かがあrるような気がする、という内容の手紙でした。


202号室のリビングでノートパソコンを使って建築の設計作業をしている久保さん、しかし、隣の畳の寝室から不気味な雰囲気を感じています。

そこから何か物音がします。思い切ってベッドの下を覗き込みますが、何もありません。

パソコンの前に戻り作業を再開する久保さん。しかし、明らかに何か擦れている音がします。

改めて音がする部屋のほうを見ても誰もいない、しかし、誰かがずっと箒を動かしているような音がし続けています。


その手紙の内容を自身の夫にも話す作家、彼女の夫も小説家であり、二人ともに心霊現象否定信者であることから、その部屋特有の科学的な理由があるのではないかと考えます。


そして、同じ年の秋に久保さんから続報が届きます。

畳に体を向けているときは音がしないとわかったようです。しかし、その部屋を視界にいれているとどうしても気になってしまう。

1度、普段はあけたままにしている戸を久保さんが閉めてみたところ、今度は、戸を叩く音がするようになり、また、依然として箒を動かすような音がより鮮明に聞こえるようになったということです。

そこで、久保さんも、そして作家もその音からあるものを連想するようになります。

その音は、着物の帯がたれて、床を擦っているのではないか、つまり、着物姿で首吊り自殺をした人間の様子です。

ロープに吊れ下がって揺れる体、それに呼応する形で着物の帯が振子のように地面に擦れ続けている音が聞こえてくる気がしてきます。


手紙を読んで何かひっかかるものを感じた作家、過去の投稿を確認してみたところ、同じマンションの別の部屋から手紙が届いていました。

それは2010年6月に岡谷マンションの405号室から届いたものでした。


引っ越して3ヶ月経つマンションの部屋がおかしいという手紙、昼に主婦がアイロンをかけていたところ、何かが床を掃いているような音がするという内容でした。

また、娘が顔を高く上げて、何もないはずの空間を見ていることがあるということです。
投稿者が気になって娘に何があるか聞いてみると、ブランコがあると娘は答えます。

そして、あるとき、娘がぬいぐるみの首にビニールテープを巻き、それを揺れ動かして、ブランコといって遊んでいました。

手紙の内容はそこで終わっています。


作家が久保さんに405号室の住人を確認してみるよう依頼すると、すでに別の家族が入居していたということでした。

同じマンションの特定の一室だけでなく、別の部屋でも過去から同じような怪奇現象の報告があった事実、作家は科学現象ではとても説明がつかない恐ろしいその土地に「残」された「穢」れに触れてしまうことになります__



感想


ホラー作品である一方、その心霊現象の原因を過去に起こった事件やその土地の歴史を遡りながら追究していく様子はミステリーやサスペンスのようでもあり、個人的にはその点は他のホラー作品よりも好意的に捉えられました。

無駄に大きな音をあげるような演出等もなかったと思います。ただ、ミステリーの要素が強いために、純粋にホラーを求めている人には物足りない作品だと思います。

音といえば、小説は未読なのですが、着物の帯が畳を擦る音や床下の音、そういった音を映像化して不気味な印象を与え続けられるのは映像化の利点だと思います。

しかし、最後の2シーンは「えっ?」と思ってしまいました。
どうしてそこを選択したのでしょうか、まだ理由があれば納得したのでしょうが、正直に言ってその人選がホラーです。原作もそうなのでしょうか。

一方で、エンドロールの場面も理由が欲しいなとは思いましたが、その演出には惹きつけられました。映画で気になる終わり方が許されるのはホラーの特権だと思います。

ところでサブタイトルは何でつけたのでしょうか、全くあっていない気がするのですが。





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