映画 ~ アフタースクール ~



アフタースクール
配給:クロックワークス
監督:内田けんじ(うちだ けんじ)
脚本:内田けんじ
出演:大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人
公開日:2008/5
ジャンル:ヒューマン、サスペンス




「アフタースクール」は、妊婦を残して忽然と姿を消したサラリーマン、その男の行方を追う人を信用しない探偵、そしてひょんなことからその探偵と行動を共にすることになったサラリーマンの同級生の人の良い教師、三人の男が係わり事件が展開していくサスペンスです。

監督・脚本は「運命じゃない人」、「鍵泥棒のメソッド」等の監督も務める神奈川県出身の内田けんじさんです。

俳優陣は大泉洋さん、佐々木蔵之介さん、堺雅人さんと個性的で実力のある魅力的な男性陣を中心に、常盤貴子さんや田畑智子さんも出演されています。



あらすじ


とある中学校、玄関前で誰かを待っている様子の女子生徒、そこに一人の男子生徒が来て、「木村君」と女子生徒が呼び止め、手紙を渡します__


場面変わって、とある団地、お腹が大きくなっている妊婦(常盤貴子)とスーツを着たサラリーマン(堺雅人)が朝食をとっています。部屋には義父と思われる男が同居しており、スーツを着た男に小言を言っています。

感謝の気持ちとして玄関に新しい靴を用意したという妊婦、スーツを着た男は「ありがとう」と言ってその靴をはいて出かけます。

団地の前には左ハンドルの高級車が停車しており、そこからラフな格好をした男(大泉洋)が出てきます。その男は神野という名前で、周囲からは先生と呼ばれています。

サラリーマンの男は木村という名前で、神野と知り合いのようです。
木村は神野から車を借りるぞと一方的に言い、なぜか合鍵も持っていて、そのまま車を運転して出かけていきます。

残された神野は木村がいた部屋に行って、ベビーベッドを設置しています。
こんなことまでしてもらってごめんなさいと言われながらも、神野は夏休み中だから暇だと笑って答えます。

雑談の中で神野から木村の話題を振りますが、木村はあまり話をしてくれないタイプのようであり、横浜で働いていることも知らなかった、との答えが返ってきます。
木村は中学のときから余計な口数を使わなかったからな、と神野はフォローします。


一方、選挙のアピールが近くで開催されているホテルのロビー、そこで誰かを待っている木村、少し待っていると、「お待たせ」と若い女(田畑智子)が対面に座ってきます。



さらに場面が変わって、とある会社の喫煙室、同僚が木村のさぼりを目撃したという会話があり、その内容を気にする男がいます。

また場面が変わって、どこかの雑居ビルの一室、拳銃の取引をしている男二人、拳銃をこっそりと隠している男は北沢という名前であり、ギャンブルで借金を背負っている私立探偵のようです。

その後、木村の勤めている会社の男から、木村を捜して欲しいという依頼が北沢のもとに届きます。


夜、妊婦の女から神野のもとに子供が生まれるという電話が入ります。
急いで向かう神野、どうやら木村とは未だに連絡がとれない状態のようです。

神野は女を連れて、偶然居合わせた男をタクシー代わりに使い、急いで病院に向かいます。
そして、病院で無事に女の子が生まれます、しかし、木村とは連絡が取れません。


一方で、木村の行方を捜すように依頼を受けた北沢はホテルの監視カメラの映像を入手し、木村が女と一緒に行動していることを確認します。

何か情報がないかと考えた北沢は、翌日、木村のいた中学校に向かい情報を得ようとします。

北沢はそこで神野に出会います。実は神野は木村と同じ中学校出身で、今ではその学校で教員をしています。

経緯は違えど木村の行方を追っている二人はその偶然をきっかけに一緒に木村の行方を追おうとします。

人を疑わない中学校教師である神野と、人を信用しない探偵の北沢、正反対の二人が妊婦をおいて他の女と一緒にいた木村の行方とその理由を追い求めていきます__


感想


淡々とあらすじを書こうとしたときに違和感を覚えていた本作品、後半に進むにつれてその違和感の正体がわかってくる点ではスッキリとできるおもしろい作品です。

何よりもそのギミックをフェアに提示しようとしている点がとても好印象です。

ただし、その一方で物語の序盤から中盤では最低限の情報しか提示できないため、その点ではいまいちスッキリできない点もあります(最後まで見ても政治家の関連はわかりにくいです、また、ギミックを知った後だと妊娠のくだりは謎の部分があります)。


しかし、そんな序盤から中盤にかけて盛り上がりに欠けそうな構成の中で、主演三人の役者の存在が印象に残る点も本作品の素晴らしい部分だと思います。

一見すると人当たりがよさそうだが何を考えているかわからず、姿をくらましてしまうサラリーマンを堺雅人さんが、社会を斜に見て、他人をすぐに信用する人間が理解できない探偵を佐々木蔵之介さんが、そして、困っている人をすぐに助けようとする人の良い教師を大泉洋さんが、それぞれハマリ役で演じられていたように思います。

俳優の印象が強すぎると物語の登場人物に感情移入しにくくなるという弊害も作品によってはあるのですが、この作品の場合、視聴者はあくまで第三者として物語の顛末を楽しむということが大切だと思うため、いい方向に作用していると感じます。


タイトルの意味を考えようとすると、学校で培った性格や人間関係は社会に出てからもそうそう変わらない、とでもなりそうですが、それはそれでどこか寂しい気もしますし、作中では登場人物の学生時代の場面はほとんどありません。

内容が良かった分だけ、タイトルについてもスッキリしない部分があります。



学校なんてどうでもいいんだよ
お前がつまんないのは お前のせいだ









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