去年の冬、きみと別れ(きょねんのふゆ、きみとわかれ)
配給:ワーナー・ブラザース
監督:瀧本智行(たきもと ともゆき)
脚本:大石哲也(おおいし てつや)
出演:岩田剛典、山本美月、斎藤工、浅見れいな、北村一輝
公開日:2018/3
ジャンル:ヒューマン、サスペンス
「去年の冬、きみと別れ」は、ある写真家のスタジオで発生したモデルの焼死事件、その謎を追う結婚を間近に控えたルポライターが写真家の密着取材をする過程で、その異端な写真家の行動に巻き込まれていくサスペンス作品です。
監督は「脳男」、「犯人に告ぐ」等の京都府出身の瀧本智行さん、脚本は映画「デスノート」やテレビドラマ「金田一少年の事件簿」も手がけた福岡県出身の大石哲也さんです。
原作はノワール小説、犯罪小説、ハードボイルド小説系統の分野に貢献した作家に贈られるアメリカの文学賞「デイビッド・グーディス賞」を2014年に日本人として初受賞した中村文則さんの小説です。
あらすじ
点字で手紙を書いている女性、その頬には涙が伝っています。
場面変わって、大雨のなか火に覆われている屋敷、四方を火で囲まれ助けを叫ぶ女性と、カメラを抱えながらただ驚愕して立ち尽くしている一人の男性がいます。
その男性(斎藤工)は警察に連行されます。
男の名前は“木原坂雄大(きはらざか ゆうだい)”、職業は“写真家”、姉(浅見れいな)が用意した弁護士の力もあり、殺人罪から保護責任者遺棄致死罪として執行猶予を受けます。
更に場面が変わって、百合子(山本美月)という婚約者との結婚を10月18日に控えているフリーライターの耶雲恭介(やくも きょうすけ/岩田剛典)、彼は出版社の週刊誌を担当するデスクの小林(北村一輝)に記事を持ち込みます。
写真家のスタジオで発生したモデルの焼死事件、被害者は3日前に失踪届けが出されていた視覚障害者であり、インターネット上では、あれは事故ではなく殺人事件で、火に囲まれた被害者を撮影した写真が存在するという書き込みもあり、その真偽について記事にしたいという内容でした。
編者者である小林は、確固たる証拠がない限り記事にはしないと恭介に伝え、恭介は取材を進めることになります。
蝶の収集家や木原坂の同級生、元警視庁捜査一課刑事の証言者から話を聞いているうちに、恭介は木原坂姉弟の異常性に触れていくことになります。
木原坂の父は非常勤の大学講師を勤めていましたが、姉弟が小学生のときに強盗に襲われて死亡しています。
父には姉弟への虐待の疑いがあり、父を殺したのは姉弟ではないかという意見もあります。
しかし、姉弟もまた強盗に襲われて傷を負っており、その傷は大人でなければつけられないようなものであることから、その可能性は低いという元刑事の証言もあります。
また、木原坂の同級生からは、姉弟に異常な兄弟愛を感じたこと、また、木原坂が他人の恋人を奪うようなことを過去にしていたことを聞きます。
恭介は記事の作成に集中するあまり、結婚式を延期したいと彼女に伝えます。
その様子を車から覗いている木原坂、恭介の彼女に「あなたはまだ本当の魅力に気づいていない」と彼の手が忍び寄ります_
感想
尺が限られているためにどこか物足りなさを感じることが多いサスペンス映画のなかで、本作品はとても満足のいくおもしろい映画でした。
サスペンスはわかりやすさと難解さのバランスをとることに苦労するイメージがあります。
この映画にも肝となる要素がもちろんあるのですが、観ている側としてシンプルでフェアな構成になっている印象を受けました。
俳優陣も主演の岩田剛典さんを除いては過去に他の作品で数多く目にしている好きな方たちばかりであり、作中の演技も満足いくものでした。
岩田剛典さんは2018年春に放送されたドラマ「崖っぷちホテル!」の印象が強かったのですが、本作品の眼鏡をかけた熱い面を持つ男性も魅力的です。終盤の海岸のシーンもとても良かったと思います。
また、一部、金沢を舞台にする場面も本作品にはありました。E7(もしくはW7?)をサスペンス映画で観たのは初めてだったかもしれません。
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