小説 ~ 燃えつきるまで ~




燃えつきるまで(もえつきるまで)
著者名: 唯川恵(ゆいかわ けい)
出版社: 幻冬舎
発売日: 2002/06
ジャンル:恋愛





「燃えつきるまで」は 唯川恵さん著作、恋愛も仕事も順調だった30代の女性が結婚するはずだった男性との失恋を契機に自ら人生を狂わせていく恋愛小説です。

著者の唯川恵さんは石川県金沢市出身の作家さんで、2001年には「肩ごしの恋人」で第126回直木賞を受賞されてます。

本作品は2002年の夏に、4話×3章形式の「恋愛偏差値」というフジテレビ系のドラマの1章として、中谷美紀さん主演で映像化もされています。



あらすじ


責任ある仕事を任され後輩にも慕われるキャリアウーマンであり、5年間付き合って結婚を約束している素敵な彼氏もいるという人生順風満帆だった31歳の主人公、怜子(れいこ)は、その結婚相手となるはずだった耕一郎(こういちろう)から突然別れを告げられます。

別れの理由を聞いてもすっきりせず、自分が振られたことに到底納得できない玲子は当初こそ自身のプライドもあり、平静なふりをして日々の生活を取り戻そうとします。

しかし、失恋を引きずることしかできずに苦しむ怜子は、恋愛をときに犠牲にしてまで真摯に取組んできた仕事へのモチベーションも失っていき、また心が脆弱に、加えて体調を崩し、心身とも疲弊していきます。

自分はこんなにも悩み苦しんでいるにもかかわらず元彼が平気で生活しているのはおかしい、自分がこれまで積み重ねてきたはずの仕事の信頼がたった1度のつまらないミスで失われるのはおかしい、自分がこんなにも弱っていることを社会の誰もわかってくれないのはおかしい、というように怜子の中で嫉妬や憎悪の業火が大きくなっていき、ついには周囲にも異常と思える行動を見せるようになっていきます。



感想


30代前半女性の失恋と再起がテーマのようであり、玲子に共感できる部分も多々ありました。

もちろん中盤以降の常軌を逸した行為は客観的に見ておかしいのですが、それだけ玲子の衰弱していく経緯や内に秘めた想いが詳細に書かれていたと思います。

あと突然の別れと裏表紙に書いてありましたけど、結構フラグを乱立していたような気がします。

別れを告げる2年前にはプロポーズをされたにもかかわらず自分の都合で保留していて、彼氏の母親に紹介されるはずだった約束を仕事ですっぽかし、むしろ傷心の玲子よりも新しい1歩を踏み出すのをいつまでたっても邪魔されている耕一郎のほうが気の毒だと感じられます。

失恋した直後や玲子と年齢が近くなったときに読むと一層おもしろいかもしれません。


主人公が序盤に別れる理由がはっきりしないのが納得いかないと言っていた部分を、終盤にまたその話を持ち出して上手くまとめていたのがよかったです。



本当の物語はハッピーエンドの後から始まる。
いつだって、人生は「こんなはずじゃなかった」との戦いだ。





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