骨が腐るまで(ほねがくさるまで)
作者:内海八重(うつみやえ)
出版社:講談社
掲載誌:マンガボックス
巻数:全7巻(2016/10~2018/04)
「骨が腐るまで」は5年前に殺人を犯した幼馴染の高校生5人組が、過去の事件を知る何者かに脅迫され、罪の意識や友情の絆に苛まれながらも、問題を解決していこうとするクライム・サスペンス作品です。
著者の内海八重さんは、八海薫さんの名義で週刊少年マガジンにて「新海綴の読解録」を連載していた方です(マンガボックスさんの公式Twitterより)。
あらすじ
何のとりえもない高校2年生の中村信太郎、彼には仲の良い幼馴染の4人がいて、5人には大きな秘密がありました。
それは、5年前の夏に5人で協力して一人の大人、信太郎に暴力を振るう信太郎の父親を殺して、洞窟の奥に死体を埋めたことでした。
それから毎年、5人は夏休みの夜に罪を忘れず、友情を裏切らないための儀式を約束していました。
しかし、ある日、埋めていたはずの死体が忽然と消えてしまい、突如近くにあった携帯電話が鳴り響き、死体を盗んだという謎の男からの脅迫電話がかかってきます。
5人はその脅迫電話の主が命じる指令を果たそうとしますが……
部屋に残された謎のメッセージ、何かを隠しているような不穏な仲間、過去に人を殺害したという罪の意識、死体が盗まれたことをきっかけにして、大切な日常と友情を脅かす出来事が5人に襲い掛かります_
感想
キャラクターは秀才の生徒会長や才色兼備の美少女、なぜかそういった注目を集める人たちと一緒に行動している何のとりえもない主人公という、わかりやすいキャラクター、そして各キャラのビジュアルがいいと思います。
この点だけ見ればただの青春物なのですが、5人には殺人を犯した重い過去があり、それが理由で謎の人物から脅迫を受けます。その点でサスペンスではあるのですが、少年漫画に近いキャラクター設定や絵柄のおかげで作品が読みやすくなっている気がします。
細かい点で気になることがまったくないわけではありませんが(なぜ毎年、リスクを冒してまで死体を掘り返す儀式が必要なのか等)、クライムサスペンスの犯人側の視点として、人を殺したという罪悪感や仲間への葛藤、青春真っ只中の視点として、友情や愛情で悩む様子や行動は読んでいて楽しめます。
たまたまタイトルに“骨”がつくWEB掲載漫画にジャンプ+の「透明人間の骨」という作品がありますが、この二つは主人公が父親を殺した過去を持つ未成年という点で共通しています。
ただ、一方は罪を犯しながらも平和な日常を送っていたにもかかわらず、非日常的な事件に巻き込まれていき、周囲の人間に対して疑心暗鬼になる要素を持つ作品であり、もう一方は、もともと普通じゃない生活を送っていた主人公が、些細な日常の幸せを感じていき、周囲の人たちを大切に思っていく要素を持つ作品でした。
似たような背景がありながら作中でのベクトルが異なる点がおもしろく、たまにはこういった形で比較して読むのもおもしろいかなと思います。
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