小説 ～ シアター！ ～

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シアター！
著者名： 有川浩
出版社： アスキー・メディアワークス(KADOKAWA)
発売日： 2009/12/16
ジャンル：ドラマ(演劇・舞台)

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「シアター！」は有川浩さん著作の演劇に打ち込む人たちを題材とした青春ドラマ小説です。

著者の有川浩さんは高知県出身の作家で、「塩の街 wish on my precious」の自衛隊三部作や、「
図書館戦争シリーズ」といった代表作があります。

本作の続編として、「シアター!2」や、脚本集「有川浩脚本集 もう一つのシアター!」もあります。

この作品のモデル劇団はTheatre劇団子さんとのことです。

あらすじ

学生的のサークル的なノリで今まで公演していた小劇団「シアターフラッグ」、劇団の主宰を脚本を考えるのが得意で天然ジゴロの要素を持つ春川巧が務めています。

それまでは楽しく演劇に打ち込んでいた劇団だったのですが、とある転機が訪れます。

それはプロとして実績のある声優である羽田千歳が劇団員になりたいと希望してきたことをきっかけに、本格指向を目指したいと巧が宣言したこと、そして、それに反発した一部のメンバーが離脱した結果、劇団には借金が発生したことでした。

脚本を考えるのは得意でも、経営に関する事柄にはまったく無頓着だった巧は、人一倍損得勘定にこだわる打算的な面がある一方、その何倍も弟想いな面を持つ兄である春川司に相談します。

司はもともと劇団とは関係ありませんでしたが、借金を肩代わりする代わりに、劇団存続に条件をつけます。

それは、2年間の公演で借金返済となる300万円の収益をあげることでした。

劇団存続のため、シアターフラッグ劇団員たちの奮闘が始まります＿

感想

小説の中で演劇を取り扱う場合は"作中作"と言うのか、"劇中劇"と言うのか、はたまた"作中劇"と言えばいいのかわかりませんが、小説内で演劇を取り扱った作品です。
(※"劇中劇"も"作中作"も入れ子構造が原則のため違うのですが)

この小説は、まず、借金の金額が現実的で劇団の目的もはっきりしていること、そして、もともとわかりやすい性格の登場人物が多いのに加えて、登場人物が他の登場人物の行動を説明、補足している場面が多いため、キャラ設定が非常にわかりやすいこと、そういった理由からかなり読みやすくなっています。

作中で羽田千里がシアターフラッグに惹かれた理由として次の言葉があります。

『演劇を見慣れていない人でも気軽に楽しめるわかりやすい舞台がとても好きです。』

上記の言葉を借りるのであれば、小説を読みなれていない人でも気軽に楽しめるよう、この小説があるようにも思います。


演劇を扱った作品では、主役の座を実力以外の部分で醜く争う場面があったり、出演者同士のドロドロの恋愛関係模様が描かれたりといった暗いイメージを私は勝手に持っていたのですが、この小説では本来の演劇の明るい魅力を気軽に楽しめるような気がします。