映画 ~ ユリゴコロ ~



ユリゴコロ(ゆりごころ)
配給: 東映、日活
監督:熊澤尚人(くまざわ なおと)
脚本:熊澤尚人
出演:吉高由里子、松坂桃李、松山ケンイチ
公開日:2017/9
ジャンル:ヒューマン、サスペンス




「ユリゴコロ」は、カフェを経営する男が余命僅かと宣告された父親の家で“ユリゴコロ”と名づけられた殺人衝動のある女性の手記を発見したことから始まるヒューマンサスペンス作品です。

「DIVE!!」や「君に届け」の熊澤尚人さんが監督を務めています。
爽やかな2作品の監督というイメージが強かったために、最初「ユリゴコロ」の監督ということに驚きました。

第14回大藪春彦賞を受賞し、第9回本屋大賞にもノミネートされた沼田まほかるさんのミステリー小説が原作です。



あらすじ


自然に囲まれたペンション風のカフェを経営している亮介(松坂桃李)、小さいときから男手ひとつで育ててくれた父親(貴山侑哉)に千絵(清野菜名)という婚約者を紹介して穏やかな生活を続けていこうとした矢先、千絵が突然に失踪して、父親が末期のすい臓ガンであることがわかります。

失意の中でも何とか日々の生活を取り戻そうとする亮介、ある日、父親が不在時に実家の書斎に入った亮介は、「ユリゴコロ」と書かれた一冊の奇妙なノートを発見します。

「私のように平気で人を殺す人間は、脳の仕組みがどこか普通と違うのでしょうか……」という一文で始まるノートは、生まれたときからうまく言葉が発せず、周りの人と同じように生活ができない、人の死に触れることが唯一の喜びに似た感情、それが唯一の“ユリゴコロ”であるという女性の複数の殺人を告白する手記でした_



感想


「PG-12」指定作品であり、映画の前半からグロいシーンが何回かあります。
しかも、加害者側や被害者側が未成年となっている点で、不気味さが増幅しています。

個人的にはそういった非日常的なシーンでの光の使い方が印象的でした。
グロシーンが印象的な邦画であれば「冷たい熱帯魚」や「凶悪」を思い出すのですが、それらの作品におきての非日常的なシーンは青くて暗かった記憶があります。

一方で本作品では、非日常的なシーンほど不自然なほど光が入っていたような気がします。その光の多さによってグロいシーンも幻想的な雰囲気になり、印象的な映像になっていると思いました。


作品としてもサスペンスと愛の両部分を楽しめる作品になっていると思います。同じく沼田まほかるさん原作で1ヶ月違いで上映された「彼女がその名を知らない鳥たち」もサスペンスと愛を題材にしている点では共通(松坂桃李さんがメインで出演している部分も共通)ですが、幻想的な映像美と人間の狂気という点でこちらの作品の印象が強いかなと思います。


尚、“ユリゴコロ”とは“拠り所”の聞き間違いという説明が作中にあります。

植物の百合の花言葉には「純潔」という意味があるようですが、黒百合の花言葉には「恋」と「呪い」という二つのベクトルの違う意味があるようです。

恐らく、このタイトルにおけるユリとはクロユリを指しているのではと思います。


あと、ひっつき虫が何度か出てきましたが、あれはオナモミやササクサといった植物らしいです。見ていて懐かしく思いました。



うれしいという 心が丸く膨らんでいく快感
膨らみすぎて はじけてしまうのでは という不安も混じっている
それはどこか ユリゴコロ と似ていました




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