映画 ~ 想いのこし ~




想いのこし(おもいのこし)
配給: 東映
監督:平川雄一朗(ひらかわ ゆういちろう)
脚本:岡本貴也(おかもと たかや)、HARU(ハル)
出演:岡田将生、広末涼子
公開日:2014/11
ジャンル:ヒューマン、コメディ





「想いのこし」は交通事故をきっかけに、身勝手で自由気ままに生きていた男の前に成仏できない4人が現れ、金と引き換えに、その4人の想いのこし、最後の願いを叶えるために男が奔走するヒューマンコメディ作品です。

「そのときは彼によろしく」や「僕だけがいない街」の大分県出身である平川雄一朗さんが監督を務めています。

原作は脚本家でもあり舞台演出家でもある兵庫県出身の岡本貴也さん、この映画の原作小説である「彼女との上手な別れ方」の著者です。

主演は「重力ピエロ」での“奥野春”役の印象が強い岡田将生さん、岡田さん演じる主役と深くかかわる四人の共演者に、広末涼子さん、木南晴夏さん、松井愛莉さん、鹿賀丈史さんがいます。

また、この作品の主題歌「あなたを想う風」はHYさんが担当しています。


あらすじ


女と金が好きで自己中心的な男、ガジロウ(岡田将生)、ダフ屋行為をして金を稼いだ後、帰宅していた途中で道路に飛ばされた紙幣を拾おうと車道へ進入し、車にはねられてしまいます。

病院に搬送されたガジロウですが命に別状なく、すぐに退院することができました。
しかし、ガジロウの飛び出しが原因による交通事故で、車を運転していた男性一人と、同乗者である三人のポールダンサーが亡くなっていました。

そして、四人は突然の出来事に命を奪われたために、成仏できずに幽霊として存在していました。幽霊であるために、姿や声が周囲の人や残された人に届くわけもありません。

一方、ガジロウは亡くなった相手のことを気の毒に思わないどころか、自分が事故の被害者であることを訴え、遺族から賠償金を請求しようと企てます。

そうして向かった先は唯一の家族であった母親を奪われた小学生の子供の元でした。

そこで、子供が気がかりで成仏できずにいる幽霊、笠原ユウコ(広末涼子)とガジロウが出会い、ガジロウが成仏できない4人と会話や接触ができることがわかります。

まったく反省していないどころか遺族に金をせびろうとするガジロウに呆れながらも、唯一現世との連絡手段となり得るガジロウに対して、結婚直前で死んでしまったルカが貯金を全部あげてもいいから、最後の願いを叶えて欲しいと伝えます。

その願いとは、ルカの代わりにガジロウが新婦役となって結婚式を開いて欲しいという内容でした_


感想


無責任な男と成仏できない霊とのやり取りをコミカルに進める一方で、男女愛、青春、仕事、親子愛といった少し切ないヒューマンドラマを楽しめる作品です。

この作品のよいところは、がっつりとまるまる1本の映画の中で結婚や高校野球や家族といった内容に焦点を当てるのではなく、コメディ作品の中で、それぞれの登場人物のドラマをオムニバスの形で見れるため、話の流れや細かいことをそれほど気にせず楽しめ、ほっこりとできる点だと思います。

主人公のガジロウを演じるのが岡田将生さんでよかったと思いました。

だらしない男の役ではあるのですが、ウエディング姿で花嫁の代わりをしたり、消防士として活躍したり、そして少しずつ心境が変わっていき終盤での遺族とのやり取りが変わっていく様子は見ていて清々しかったです。


また、演出面でも気に入っているシーンがありました。

序盤の交通事故と、終盤とでガジロウの周囲でお金が舞い上がるシーンがあります。
それらのシーンはいずれもガジロウに転機が訪れていることを示している演出であったように思えます。きれいごとの話ではありますが、節目のシーンで金という実益の存在も忘れていないと思わせてくれることは大事だと思うため、そういった点も気に入っています。


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