映画 ~ 私の男 ~




私の男(わたしのおとこ)
配給: 日活
監督:熊切和嘉(くまきり かずよし)
脚本:宇治田隆史(うじた たかし)
出演:浅野忠信、二階堂ふみ
公開日:2014/6
ジャンル:恋愛、サスペンス





「私の男」は北海道と東京を舞台に、自然災害により孤児となってしまった少女と、その彼女を引き取ることになった遠縁の男との奇妙な関係と生活を描いた映画です。

監督は今回の映画の舞台のひとつである北海道出身の熊切和嘉さん、脚本は和歌山出身の宇治田隆史さんで、この二人のタッグ作品は多く、最近事務所からの独立のニュースを発表した加瀬亮さんの初主演作品「アンテナ」もこの両名の監督脚本作品です。

原作は桜庭一樹さん著作で第138回の直木賞を本作品で受賞されています。

映画と原作では時系列が変わっているようです。

桜庭一樹さんといえば、他に「GOSICK -ゴシック-」や「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」が代表作としてあげられると思いますが、個人的には名作アドベンチャーゲーム「EVEシリーズ」のシナリオにも携わっていた方ということで印象が強いです。

主演は浅野忠信さんと二階堂ふみさん、浅野忠信さんは代表作がたくさんあるのですが、「FRIED DRAGON FISH」や「殺し屋1」、「アカルイミライ」のねっとりとしたキャラクターの印象が多く、本作品でもそういった雰囲気をまとう男性を演じられています。


あらすじ


雪で覆われた陸地と流氷が漂う海岸、一人の女が海から這い上がってきます。
寒さで震えながらも女は薄笑いを浮かべています__


場面が変わって、波が打ちつける夜の海岸、ごみが大量に廃棄され、近くには打ち上げられた死体のようなものも見える中、一人の少女が海岸から歩いてきます。

少女の名前は花(山田望叶/二階堂ふみ)、地震と津波によって孤児となった花に出会った遠縁にあたる腐野淳悟(浅野忠信)は彼女を引き取ることにします。

震災で両親を失った少女とそれまで孤独に過ごしていた男、互いに寄り添うように暮らしていく中で、二人は親子とは別のどこか奇妙な関係を形成しつつ日々を過ごしていくことになります。



感想


冒頭からなんとなく画面が粗く(後からわかったのですが、時代ごとに16ミリフィルム、35ミリフィルム、デジタルと映像フォーマットを変えているようです)、また災害のシーンであったため、重苦しい雰囲気が当初からありました。

しかし、程なくしてわかるのですが、単純に重苦しいだけでなく、主演二人や周囲の人々との間のやり取りに妙な不気味さを覚えていきます。


詳細な内容については割愛しますが、タイトルの「私の男」というのもこの作品の不気味さに一役買っているように思います。

震災で父親に抱きかかえて逃げるシーンを思いだして嗚咽の声が溢れだす花、そんな彼女に対して淳悟が言った台詞、”今日からだ_  俺はお前のものだ”、作品序盤の台詞がまさかあんな展開を迎えるとは予想していませんでした。


ところで、とある情事シーンの血の雨の演出は個人的にやり過ぎというか意味不明だったのですが他の方はどうだったのでしょうか。

たぶん、原作を読んでからの人であれば問題ないと思うのですが、初見の人にとっては突然の出来事に理解が追いつかない状況に置かれてしまうのではないかと思いました。



後悔なんてしない
好きな人にもさせたくない

俺は親父になりたいんだよ







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