映画 ~ 逆光の頃 ~



逆光の頃(ぎゃっこうのころ)
配給: スポッテッドプロダクションズ(SPOTTED PRODUCTIONS)
監督:小林啓一(こばやし けいいち)
脚本:小林啓一(こばやし けいいち)
出演:高杉真宙、葵わかな
公開日:2017/7
ジャンル:青春





「逆光の頃」は古都・京都の夏を舞台に、高校二年生である男子学生の友情や恋、将来への不安といった思春期のひと夏を描いた青春映画です。

監督である小林啓一さんは過去作品として「ももいろそらを」が有名なほか、ミニモニ。さんやDA PUMPさんのミュージックビデオの演出も手がけている方です。

原作はタナカカツキさん著作で1989年に発売された漫画であり、映画では主人公が高校二年生ですが、原作では中学三年生のときの話を中心とした短編で構成されています。2017年に完全版が講談社から発行されています。

主演の高杉真宙(まひろ)さんは福岡県出身で劇場版仮面ライダーの出演経験もあり、6月公開予定の「世界でいちばん長い写真」でも主演が予定されています(本作と同じく日々冴えない生活を過ごす高校生役のようです)。

ヒロイン役の葵わかな さんはNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「わろてんか」で主演の藤岡てんを演じている、今後ますます目にする機会が増えていきそうな若手女優です。


あらすじ

風鈴の音が鳴り響く夏、和室のポップな絵柄の布団で何かを考えている高校二年生の赤田孝豊(あかた たかとよ)、彼は模擬試験の当日、家を出る時刻が遅れたため、舞妓が通る京都の街を自転車で急ぎます。

そんな学校に急ぐ途中の路で同級生の公平とすれ違います。

公平を呼び止め、模擬試験を受けないかと尋ねたところ、彼はライブと重なったために模擬試験は受けないと平然と言いのけます。

自分とはまったく違う道へと進もうとする仲の良い同級生、ヤンチャな同級生、伝統工芸の職人である父親、そして、幼馴染の少女との微妙な距離、古都・京都の街並みを背景に、理想と現実のはざ間で揺れ動く少年のひと夏が描かれます。



感想


上映時間が1時間程度で、多くの人が経験する・したであろう思春期のひと夏を題材にした作品、もともと原作が短編集のような形であり、本作品はそのなかのいくつかをベースとした作品となっているため、作品全体を通した起承転結はあってないようなものであり、そのために見やすい作品になっていると思います。

おもしろさを求めるというよりは、安らぎ・癒し・のどかさを楽しむ感じです。

京都の街並みの美しい情景に、主演二人と仲の良い同級生役を演じた清水尋也さんや不良同級生役を演じた金子大地さん達の爽やかさや京都弁を楽しめる映画です。

気になったのは夏の登り坂を自転車をこいで進んだシーンのように真夏の京都を舞台にしながらまったく汗が見えない演出と、ところどころにあるアニメーション、見てる途中は違和感がありました。

しかし、作品の冒頭と末尾のシーンで赤田が布団の中でぼんやりとしているシーンや作中で挿入される散文のナレーションを考えると、現実か非現実かを曖昧にしている演出なのでしょう。そう考えるとスッキリするような気がします。


公平
東京はどうや
どんな街や
俺はなんやかんや言うたかて
ここが好きみたいや
ここしかいるとこないわ
あの娘(こ)もいてるしな



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