公演:ENG第七回公演「ロスト花婿」
演出: 久保田唱(企画演劇集団ボクラ団義)
脚本: 久保田唱(企画演劇集団ボクラ団義)
公演期間:2018/03/16(金)〜2018/03/25(日) 全15公演
公演会場:シアターグリーンBIG TREE THEATER
ルド女の「未来への十字架」に出演されていた、長橋有沙さんと七海とろろさんきっかけで3月17日(土)に舞台「ロスト花婿」の昼公演(マチネ)を観劇、もとい参列してきました。
あらすじ
以下、ENG公式ホームページ様より引用しています。
ドラマのような出逢いをし、順風満帆に恋を育み、それ以外の選択肢が考えられないと結婚式までの道を歩んだ奏太(そうた)と玖美那(くみな)。
だが、その結婚式の披露宴会場・控え室で驚愕の事件が起こる。さっきまでいた筈の新郎・奏太がいなくなったのだ。「こんな大事な日にどうして」涙を堪えながら辺りを探し回る玖美那。参列してくれた二人の友人たちも必死に探してくれる。
そんな中、新郎である奏太はなんと、“自分がいなくなったと大騒ぎになっている『その控え室』の中にいた”
ENG第7回公演は、本当の愛を確かめる!?結婚式のその日に互いの秘密がダダ漏れになる方式の結婚式コメディ!!
『同じ控え室』にいながらにして、玖美那を含め“誰からも認識されなくなった”花婿・奏太。「自分はここにいる」その叫びは誰にも届かず、周りは慌てる。
当然調べられる自分が残した携帯電話や、止むを得ずと“誰にも話してなかった秘密”を親切に喋りまくる友人たち。期せずして結婚式のその日に“自分が知らなかった奏太”を沢山知った玖美那が思うこととは?
必死で叫ぶ奏太に唯一話しかける一人の女。「どうやってもあなたの声は届かないよ?それよりもここだからこそ垣間見える、あなたが知らない本当の彼女(玖美那)の顔、見てみない?」
認識されない奏太に話しかけた女の正体とは?本当の奏太をどんどん知った玖美那がとる行動とは?奏太は再び、本当の意味でその控え室に戻れるのか!?
「それでもこれから一生、一緒に居たいと望めますか?」過去最悪な余計なお世話から始まる!秘密ダダ漏れ方式の結婚式コメディ!!
キャスト
以下もENG公式ホームページ様より引用しています。
添田翔太(企画演劇集団ボクラ団義)
栗生みな
伊喜真理(ハグハグ共和国)
石部雄一
大友歩(企画演劇集団ボクラ団義)
菅野英樹
小島ことり(Bobjack theater)
齋藤彩夏
齋藤伸明(黒雪構想)
斎藤未来
CR岡本物語(空想嬉劇団イナヅマコネコ)
椎名亜音(劇団6番シード)
図師光博
田中彪
民本しょうこ(Bobjack theater)
中舘早紀(演劇集団TOY'sBOX)
中野裕理
長橋有沙
七海とろろ(バクステ外神田一丁目)
平山空(企画演劇集団ボクラ団義)
福地慎太郎
松木わかは
水崎綾
桜の花と花火をモチーフとしたロゴも印象的なENGさんはDMF所属役者の佐藤修幸さんが舞台プロデュースする際の企画名ということです。こちらも詳細は公式ホームページに記載されています。
2013年からENGさんとして過去6回、ENGさんとDMFさん(こちらも詳細は~以下略)の提携で過去3回にわたり公演されています。
バラエティはそれほど見ないため、期待と不安が入り混じった中での観劇でした。
ストーリー等の補足
後で見返したときのための簡単な補足情報です。
・プロローグは二人の出会いの場面で新郎の職場の美容室が舞台、その日は花火大会が開催されていた
・プロローグ以外はすべて式場の控え室で物語が進んでいくワンシチュエーションコメディ
・水崎綾さん演じる謎の女とは、式場の建物が生み出した小悪魔、本物の愛を確かめるために余計なお世話をかけている
・鏡越し、背中越しのやり取り
・新郎は白衣の天使が好き
・海の幸のクレープ包み きのことリドヴォのエトゥファを添えて クリーミーなソースアメリケーヌと共に
・プロデューサーの佐藤修幸さんのありがたい前説、私が参列した際にはオオザワくんとハリガネくんのお話
感想
以下、印象に残った点です。
・登場キャストがそこそこ多いと思っていたため、プロデューサーの佐藤修幸さんがTwitterで事前にキャストやキャラの見所を挙げているのはとてもありがたかったです。
・冠婚葬祭をテーマにした舞台らしくパンフレットは水引紐付き、ポストカードは結婚式招待状でした。
・客席までの通路には華やかなウェルカムボードやメッセージノートが用意されていて、おもしろいと思いました。
・密度のある華やかな歌とダンスがオープニングから展開されグッと引き込まれます。
・コメディのため、バタバタとしている賑やかなシーンも多いのですが、新郎不在による新婦の不安そうな様子が観客席側にまで伝わってきます。とあるタイミングで右頬を涙が伝ったシーンはとても印象的でした。
・同じくドタバタといろいろなキャラの濃い人物が次々と交錯していくのですが、舞台全体を観ていると、新婦の親友はずっと新婦のそばで寄り添っていたり、新婦の元カレはちょいちょい新婦に視線を向けていたりと、細かい部分もとても丁寧に演じられていると思いました。1回しか参列していない私が見逃している場面もたくさんあるような気がします。
・童謡「あめふり」が作中で用いられていて、雨に少し好意的な印象を持たせてくれました。雨が多い日本海出身者としてはちょっと嬉しかったりします(まあ本音は晴れのほうがいろいろと生活しやすいに決まっているのですが)。
・結婚という二人で実現するイベントをテーマとしているためか、本作は物販でペアブロマイドがあったようにペアについて注目が集まるようになっていました。
これは簡単に言ってしまえばボケと突っ込みの役割が明確にできるし、二人でその役割を全うすることでコメディでありながらストーリーの本流を決してロストさせない効果があったように思えます。
何よりペア同士のやり取りはいずれも微笑ましく観れました。
・「ルミファンタジア」の青白い光を使用するシーンがあり、その中で新婦が演奏したいというシーンがありましたが、演出上はオレンジ色のスポットライトでした。
オレンジ色のほうが暖かい優しい印象ですが、私は一連の流れを考えると違和感のほうが強かったです。
・笑いどころとしては天使と悪魔に関する一連のくだりが1番好きでした、あとカーテンコール中の石部雄一さんのキレのある突っ込み等もおもしろかったです。
総評的なものでいうと、冠婚葬祭は映画やお笑いコントでも取り上げられることが多くはなくてもそこそこあると思っています。
この作品の場合は花婿が見えなくなるというSF要素を取り入れたことで、2時間という限られた時間の中で起承転結をわかりやすくしていて、おもしろい作品であったと思います。
(ワン)シチュエーションのストーリー的な話だけで言えば、映画「12人の優しい日本人」や「キサラギ」、葬式をテーマとした藤崎翔さん著作の「神様の裏の顔」といった思わぬ方向へと話が展開することも醍醐味であり、本作品ではそういった流れはなかったのですが、登場人物の多さと舞台のわかりやすさ、結婚という祝辞を扱っていることを考えればこれくらいの内容が最適だと思いました。
恐らく登場人物がもっと少なければストーリー展開はより複雑で濃いものになったと思うのですが、あの人数だからこそOPやEDに迫力が生まれますし、今回のペアシステムも輝いたものになったのかなと、トレードオフを考えれば成功だったのではないでしょうか。
ただ、やはり老若男女様々な人が観劇する上でコメディは難しいなと改めて思いました。
コメディだと普段は食指が動かないのですが、今回はいい舞台に参列できてよかったと思います。
コメント
コメントを投稿