映画 ~ ドント・ブリーズ ~




ドント・ブリーズ
原題: Don't Breathe
配給: スクリーン・ジェムズ( ソニー・ピクチャーズ)
監督: フェデ・アルバレス
脚本:フェデ・アルバレス、ロド・サヤゲス
出演:ジェーン・レヴィ、ディラン・ミネット、スティーヴン・ラング
公開日: 2016/08(日本 2016/12)
ジャンル:ホラー、サスペンス





「ドント・ブリーズ」は盲目の老人宅へ強盗を試みる三人の青年たち、その老人が元軍人であったために、逆に自分たちが命の危機にさらされることになるホラーサスペンス、スリラー映画です。

「死霊のはらわた」で有名なサム・ライミさんが製作総指揮に名を連ねています。



あらすじ


三人の青年、アレックス、マネー、ロッキーはゴーストタウン化した都市デトロイトで窃盗を重ねています。

アレックスは父親が警備会社に勤めており、それを悪用して防犯セキュリティの隙をつき、友人であるマネーと、想いを寄せるロッキーのために空き巣を繰り返しています。

マネーは盗品の換金や、ターゲットとなる家屋の情報を集めており、無鉄砲でイケイケで仲間想いです(まあこの映画ではマネーが鉄砲を所持していたために大きな反撃を受けるのですが)。

ロッキーは育児放棄と思われる母親とその彼氏、妹と暮らしているようですが、まとまった金を用意して妹と一緒にカリフォルニアに行くことを夢見ています。


これまでは比較的安全な方法で空き巣を繰り返していた三人ですが、元軍人で盲目の老人が大金を隠し持っているとの情報をマネーが入手し、妹とすぐにでもデトロイトを離れたいロッキーも次のターゲットをその老人宅にすることに強く賛同します。

アレックスは盲目の老人から大金を強奪することに良心を痛めて乗り気ではありませんでしたが、ロッキーのために今回を最後とする条件で協力することにします。

老人は荒廃した街中にある一軒屋に番犬と暮らしているようであり、周囲には人の気配はなく、下見した三人はその深夜に強盗を決行することになります。

番犬であるロットワイラーを睡眠薬入りのエサで眠らせ、いざ侵入しようとする三人ですが、出入口や窓が異常なほど堅牢であることに気づきます。

小柄なロッキーが何とか窓から侵入し、アレックスの力でセキュリティシステムを解除し、二階の寝室にいた老人をマネーが睡眠ガスを利用して眠らせます。

後は家の中にある大金を盗むだけのはずでした。

しかし、大金が隠されている雰囲気の部屋のドアを破壊しようとしている最中に突然、眠っているはずの老人が暗闇のなか三人の前に現れます__



感想


幽霊や怪奇現象を利用せずに、単なる一軒の民家での盗人対住人の話でここまでスリルを演出できるシンプルな設定にすごさを感じます。

しかも狩られる対象は盗人に侵入された住人のほうではなくて盗人のほうです。

老人は退役軍人で命を奪うことに躊躇しないため、本来であれば出会った瞬間ゲームオーバーでもおかしくないのですが、ここに盲目という設定が加わることで、タイトルの意味である「呼吸を止めろ」という危機一髪の緊張感を味わえます。

前半からハラハラさせられました。

上記のとおり、ホラー映画というよりはスリラー映画といったほうが適切でしょう。


主人公たちは働くことをせずに楽して儲けようとしているため、感情移入しにくいと思うのですが、それでも主人公たちに迫る恐怖は観てる側にも充分伝わってきます。

逆に、主人公たちの背景についてはもっと感情移入できる設定のほうがスリルを味わえた気がします。

しかし、主人公たちが悪役だからこそ、老人の痛烈な撃退が目を引くのかもしれません。


あとは動物を無駄に虐待していない部分が好きだったりします。

盲目の老人の相棒としてロットワイラーが番犬として登場します。このワンちゃんは冒頭で睡眠薬入りの餌を主人公たちに餌付けされ、物語の途中から復活して主人公たちに襲い掛かるという雄姿を見ることができるのですが、この映画では犬に対する暴力的な描写がなかったと思います。

主人公たちは悪役だったり命懸けで逃げる必要があったりするため、毒入りの餌であったり、道具を利用して殴打したりしてワンちゃんが無残な姿になる場面もあるかなと思っていたのですが、そういった場面はありませんでした。

ストーリー上はおかしいのかもしれませんが、個人的にはこっちのほうが好きです。

私は怨霊や怪奇現象といった類よりも人の恐ろしさに焦点をあてた作品のほうが好きだと改めて思いました。



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